太陽光のリースとは 初期費用0円の3つの型と補助の受け方

太陽光のリースは、事業者が初期費用を負担して設備を置き、家は10〜15年程度の契約期間に月々の料金を払う仕組みです。期間後は設備が原則無償で譲られます。途中でやめにくく、総額は高くなりやすい契約です。

夕方の屋根に整然と並ぶ太陽光パネル
戸建ての屋根に並ぶ太陽光パネル(実際の設置例)。リースでも設備は同じように屋根に載り、契約期間中の持ち主が事業者になります。
目次
  1. 太陽光のリースは「借りて使う」契約
  2. 初期費用0円には主な3つの型がある
  3. 補助金は事業者に出て、料金の減額で戻る
  4. 東京都・神奈川県・千葉県・所沢市の補助の額
  5. 契約の前に知っておく4つの制約
  6. 契約期間が終わったあと
  7. リースか購入かを決める前に確かめること

太陽光のリースは「借りて使う」契約

太陽光のリースは、事業者が自分の費用で設備を屋根に置き、家は月々のリース料を払って使う契約です。契約期間中の持ち主は事業者で、期間が終わると設備は原則として家に無償で譲られます。

図1 購入とリースの違い(2026年10月4日時点)
購入
初期費用家が負担する
設備の持ち主はじめから家
月々の支払い無し(ローンを除く)
維持管理家が手配する
リース(初期費用0円)
初期費用事業者が負担する
設備の持ち主契約期間中は事業者
月々の支払いリース料(10〜15年程度)
維持管理契約期間中は事業者
神奈川県「0円ソーラー」、千葉県のリース等導入促進事業、所沢市の初期費用ゼロ円太陽光事業の各ページをもとに編集部が整理した。契約期間は神奈川県が「概ね10年」、所沢市が「概ね10年から15年」と案内している。

神奈川県の説明では、事業者は初期費用をリース料などで回収し、回収が済む概ね10年後に設備を住宅の持ち主へ無償で譲ります。千葉県に登録されたリースのプランは、契約期間が10年または15年です。

契約期間中の故障や点検は、原則として事業者が受け持ちます。神奈川県は、設備の不具合があっても経費はかからないとしつつ、途中で契約を解除するなど持ち主の側の理由なら負担が生じる場合があると書いています。

リース料は、発電した量や使った電気の量に応じた料金ではなく、設備を借りることへの対価です。千葉県も、リースを「毎月決まったリース料金等を事業者へ支払う契約」と説明しており、晴れが少ない月でも支払いは変わりません。

初期費用0円には主な3つの型がある

初期費用0円の太陽光には、リースのほかに、電気を買う「電力販売(PPA)」と、売電の権利を渡す「自己所有モデル」があります。何に対して払うかと、余った電気の行き先が型ごとに違います。

図2 初期費用0円の主な3つの型(2026年10月4日時点)
リース
払うもの毎月決まったリース料
家で使う電気電気代がかからない
余った電気家が売電できる(一部は不可)
電力販売(PPA)
払うもの使った分の電気料金
電気の契約一般に事業者へ切り替える
再エネ賦課金太陽光から使った分は不要
自己所有モデル
払うもの月々のサービス料金
設備の持ち主はじめから家
余った電気売電の権利を事業者へ渡す
神奈川県「0円ソーラー」のQ&Aと、東京都の実施要綱の定義をもとに編集部が整理した。東京都の要綱は、事業者が屋根を借りて使用料を払う「屋根借り」も対象に挙げている。

電力販売(PPA)の場合、神奈川県は、一般に今の電力会社から契約を切り替える必要があると説明しています。そのうえで、家で使う太陽光の電気と、夜間など太陽光以外で使う電気の料金を事業者に払います。

自己所有モデルは、東京都の要綱では、売電の権利の全部または一部を事業者に渡す代わりに、設備の所有権を住宅の持ち主に置く型です。家で使う分の電気は、持ち主が使える方法を残すことが条件になっています。

蓄電池も同じ形で置けます。神奈川県は、初期費用0円の蓄電池もリースなどの契約で、期間中は月単位で料金を払い、満了後に無償で譲られると説明しています。太陽光だけでは夜に電気を使えないため、停電に備えるなら蓄電池まで含めたプランを比べることになります。

補助金は事業者に出て、料金の減額で戻る

東京都・神奈川県・千葉県・所沢市の初期費用ゼロの補助は、どれも事業者が申請して受け取ります。家は申請できず、補助の分は料金の減額などで戻ります(東京都は全額還元を要綱で定め、神奈川県はキャッシュバックを認めず料金への還元を求めています)。

図3 補助金が家に戻るまでの流れ(東京都の場合)
1プランの登録公社が事業者のプランを審査して登録
2家と事業者が契約補助を申請し全額戻すことの説明を受ける
3事業者が申請個人は申請できない
4事業者に交付補助金は事業者に支払われる
5家に還元利用料の減額や一括のキャッシュバック
クール・ネット東京「住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進の増強事業」の「本事業の流れ」と、東京都の実施要綱第5条・第7条をもとに編集部が整理した。

東京都の要綱は、契約のときに、補助を申請することと、その額が全額家に戻ることを説明するよう求めています。神奈川県・千葉県・所沢市も、補助はリース料などを下げる形で家に戻ると案内しています。

東京都の公社は、登録したプランは一定の要件を形式的に確かめたもので、内容を都や公社が保証するものではないと書いています。登録は入口の確認と考え、料金や条件はプランごとに見比べる必要があります。

要綱で決まっている登録の条件もあります。東京都に登録されるプランは、停電時にも電気を送り続けられる設備で、故障したときに事業者かメーカーが速やかに交換・修理することが条件です。事業者は、標準の価格と、このサービスで利用料が下がることを公表することになっています。

東京都・神奈川県・千葉県・所沢市の補助の額

太陽光1kWあたりの補助は、4つの中では東京都が最も大きく、既存住宅は3kW以下で18万円、3.75kW超で12万円です。神奈川県と千葉県は7万円、所沢市は3万円(上限15万円)です。

図4 初期費用ゼロ向けの太陽光の補助単価(1kWあたり・2026年10月4日時点)
東京都既存住宅・3.75kW超
12万円
3kW以下は18万円
神奈川県10kW未満
7万円
補助枠1億2,700万円
千葉県蓄電池とセット
7万円
申請は12/18まで
所沢市上限15万円
3万円
見込み60件
東京都の既存住宅は、3kW以下が18万円/kW、3kW超3.75kW以下が一律45万円、3.75kW超が12万円/kW。各都県・市の公式ページと要綱(2026年10月4日確認)。補助金は事業者に交付され、料金の減額などで家に戻る。

東京都は、新築では3kW以下15万円/kW、3kW超3.6kW以下は一律36万円、3.6kW超は10万円/kWです。蓄電池は、太陽光と一緒に新しく置く場合に限り10万円/kWhで、1戸あたり120万円が上限です。

蓄電池の扱いは都県で違います。神奈川県は0円ソーラーの太陽光と一緒に置く蓄電システムに1台15万円、千葉県は太陽光と蓄電池をセットで置くことが条件で蓄電池12万円です。所沢市は、太陽光と同時に置く場合に限り蓄電池1kWhあたり3万円(上限24万円)で、太陽光と合わせて1戸あたり39万円が上限です。

神奈川県の補助には、設備の価格の条件もあります。太陽光は10kW未満で、設備費と工事費を合わせた1kWあたりの単価が、国の委員会が示した住宅用のシステム費用の平均値(29万円)未満であることが要件です。

図5 受付の状況(2026年10月4日時点)
東京都
受付中
申請は契約から1年か令和13年3月31日の早い方まで。予算約110億円(令和4〜12年度の全体)
神奈川
受付期間中
5/11〜12/28。先着順で、補助枠を超えた時点で終了。締切日は抽選の場合あり
千葉県
受付中
6/26〜12/18。9/11に申請額が予算の25%に到達
所沢市
令和8年度も実施
見込み60件。予算額に達し次第、受付を終了
各都県・市の公式ページ(2026年10月4日確認)。どれも事業者が申請する制度で、家が申請するものではない。

東京都では、2026年10月1日以降に結ぶ契約から、蓄電池は国の事業でSII(環境共創イニシアチブ)が令和8年度以降に登録した機器だけが対象になりました。また、同じ機器で都と公社の助成を重ねて受けることはできません。

都県ごとの購入向けの補助は、東京都・神奈川県・千葉県の記事にまとめています。所沢市の購入向けの制度とゼロ円太陽光の違いは所沢市の記事で扱っています。

契約の前に知っておく4つの制約

リースは途中でやめにくく、総額は自分で買うより高くなりやすい契約です。年齢や築年数で申し込めないこともあり、所沢市はこれらをデメリットとして挙げています。

図6 リースの主な制約(2026年10月4日時点)
1途中でやめにくい期間中いつでも解除できる契約ではない
2解除の負担違約金や一括返済が要る場合がある
3総額が高い自分で設置する場合より高くなる
4申し込みの条件年齢・築年数・屋根の形で設置できない場合
1は東京都の実施要綱第3条のリースの定義、2〜4は所沢市「初期費用ゼロ円太陽光事業」のデメリットの記載をもとに編集部が整理した。

東京都の要綱は、リースを「リース期間の中途において、当事者の一方又は双方がいつでも当該契約の解除をすることができない」契約と定めています。家の売却や建て替えの予定がある場合は、そのときの扱いを契約の前に書面で確かめてください。

契約の相手は事業者です。千葉県は、契約は事業者と住宅の持ち主の間で直接結ぶもので、個々の契約について県が責任を負うものではないとしています。神奈川県も、県は契約の締結に関与せず、設置の保証などの責任を負うものではないと明記しています。

自宅のテーブルで、住宅の持ち主と事業者が資料を確認するイメージ
料金や途中解約、契約終了後の負担は、契約前に事業者へ確認しておきます。※画像はイメージです。
図7 神奈川県のページに載る12事業者の申し込み条件
年齢の制限
60〜70歳未満
既存住宅の上限は事業者ごとに違い、最高で70歳未満(86歳未満は新築のみ)
+
築年数の制限
新築のみ〜制限なし
事業者ごとに上限が違う
神奈川県「0円ソーラー」のプラン一覧(2026年10月4日確認)。年齢の制限には例外もあると県は注記している。プランの中身は事業者に確かめる必要がある。

神奈川県は、年齢や築年数のほか、建物の管理状況、屋根の形、日当たりによっても設置できない場合があるとしています。条件は事業者やプランごとに違うため、申し込む前に自分の家と年齢が条件に入るかを確かめてください。

契約期間が終わったあと

契約期間が終わると、設備は家に原則として無償で譲られ、発電した電気はすべて家で使えるようになります。その後の維持管理と、いずれ撤去するときの廃棄は家の責任です。

図8 契約から譲渡のあとまで
契約
プランを選んで契約
資料請求・見積りは事業者に直接
設置
事業者が設置
初期費用は事業者が負担
期間中
月々の料金を払う
故障や点検は原則事業者
終了
設備を原則無償で譲渡
発電した電気は全て家のもの
その後
家が管理・廃棄
撤去のときは自分の責任で廃棄
千葉県のリース等導入促進事業、神奈川県「0円ソーラー」、所沢市「初期費用ゼロ円太陽光事業」の各ページをもとに編集部が整理した。

神奈川県は、太陽光発電は10年たっても使えるとしたうえで、同時に置くパワーコンディショナの保証期間は15年程度だと注記しています。譲渡のあとは、点検や故障の費用を家が持つことになります。

設備の動き方や機器の役割は太陽光発電の仕組み、譲渡後に売電を続けるときの選択肢は卒FITのあと売電はどうなるかで扱っています。譲渡のあとに「点検が義務化された」と点検の契約を勧められることもあります。国民生活センターは、安全に使うには定期的な点検を行うことが重要としたうえで、安易に契約せず、まず点検の要否を確かめるよう呼びかけています。

リースか購入かを決める前に確かめること

決め手は、初期費用を用意できるかと、契約期間の支払い総額の差です。神奈川県は、一般的には購入の方がメリットが大きいと言われていると書いています。

図9 契約の前に確かめる5点
1支払い総額月額×期間を購入の見積りと比べる
2補助の還元いくらがどの形で料金に戻るか
3途中の解除売却・建て替えのときの費用
4余った電気家が売電できるプランか
5譲渡後の負担点検・故障・廃棄を誰が持つか
東京都・神奈川県・千葉県・所沢市の公式ページの記載をもとに編集部が整理した。

神奈川県は0円ソーラーのページで、容量や電気の使い方によるとしたうえで「一般的には、購入した方のメリットが大きいと言われています」と書いています。一方で、まとまった初期費用を出さずに、停電時の非常用電源を持てて、電気代を節約できる可能性がある点は、神奈川県・千葉県・所沢市が利点に挙げています。

東京都の公社は、月々の料金は一定かという問いに、プランにより異なるとして、複数の事業者から見積もりを取るよう勧めています。購入した場合に何年で元が取れるかは、太陽光は何年で元が取れるかで確かめられます。

購入を選ぶ場合の補助もあります。神奈川県は0円ソーラーのページで、より安く購入できるように住宅用の補助金と共同購入事業を案内しており、受付を終えている場合もあるので各事業のページで確かめるよう添えています。

金額についての注記
※補助の金額と受付期間は、2026年10月4日時点で各都県・市の公式ページと要綱で確認した数字です。補助金は事業者に交付され、家には料金の減額などの形で戻ります。家が直接受け取る額ではありません。
※月々の料金・契約期間・年齢や築年数の条件はプランごとに違います。実際の料金は、事業者の見積りで確かめてください。

よくある質問

Q. 太陽光のリースは、途中で解約できますか
東京都の要綱は、リースを「リース期間の中途において、当事者の一方又は双方がいつでも当該契約の解除をすることができない」契約と定めています。所沢市も、原則として契約期間中は設備を撤去できず、解除には違約金や一括返済が必要になる場合があると説明しています。家の売却や建て替えの予定があれば、契約前にその場合の扱いを書面で確かめてください。
Q. リースでも補助金はもらえますか
東京都・神奈川県・千葉県・所沢市には、初期費用ゼロのサービスを出す事業者向けの補助があります。申請するのは事業者で、個人は申請できません。補助の分は、月々の料金の減額などで家に戻る仕組みです。東京都は全額を戻すことを要綱で定め、神奈川県はキャッシュバックを認めず料金への還元を求めています。
Q. 購入とリースはどちらが得ですか
神奈川県は0円ソーラーのページで、容量や電気の使い方によるとしたうえで「一般的には、購入した方のメリットが大きいと言われています」と書いています。所沢市も、自分で設置するより支払い総額が高くなると説明しています。初期費用を用意できるかどうかと、総額の差を見比べて決めてください。

この記事の用語

kW
発電設備の出力の大きさを表す単位。「4kWの太陽光」はこの値。パネル1枚は0.4〜0.5kW程度で、戸建てでは3〜6kWが多い。 用語集で見る
kWh
電気の量を表す単位。蓄電池の容量(何kWhためられるか)や、1か月に使った電力量に使う。1kWの機器を1時間動かすと1kWh。 用語集で見る
SII
国の補助事業の執行を担う一般社団法人。補助対象になる蓄電池の登録製品リストを管理している。 用語集で見る
パワーコンディショナ
太陽光パネルがつくる直流の電気を、家庭で使える交流に変換する機器。補助金の出力判定に使われることがある。 用語集で見る
売電
発電した電気を電力会社などに売ること。単価は制度と時期で決まる。 用語集で見る
PPA
事業者が家の屋根に太陽光を設置して所有し、家庭はその電気を買う仕組み。初期費用がかからない代わりに設備は自分のものではない。 用語集で見る

出典