太陽光は何年で元が取れるか 4つの数字で確かめる

回収年数を決めるのは設置費用・年間発電量・自家消費の割合・売電と買電の単価の4つです。国の想定値で計算すると5kWでおよそ8〜15年の幅に収まります。

木々に囲まれた住宅の屋根に設置された太陽光パネル(ドローン撮影)
木々に囲まれた住宅の屋根に載せた太陽光パネル。同じ枚数でも、発電した電気をどれだけ家で使うかで回収年数は変わる。
目次
  1. 回収年数は4つの数字で決まる
  2. それぞれの数字が意味するもの
  3. 5kWの家で計算してみる
  4. 自家消費の割合が変わると年数はどう動くか
  5. この試算が当てはまらない家
  6. 判断する前に確認すること

回収年数は4つの数字で決まる

回収年数を動かすのは、設置費用・年間発電量・自家消費の割合・売電と買電の単価の4つです。この4つが分かれば、あとは割り算で年数が出ます。

「何年で元が取れるのか」という問いに、一つの数字で答えるのは無理があります。同じ5kWの設備でも、屋根の条件と家の電気の使い方で答えは数年ずれるからです。代わりに、年数を動かしている4つの数字に分けて見ていきます。

図1 回収年数を決める4つの数字(2026年9月7日時点)
設置費用(kWあたり)
想定値25.5万円/kW。見積り次第で上下
▼ 割る
年間発電量(kWあたり)
設備利用率13.7%年1,200kWh前後
▼ を、次の割合で分ける
自家消費する割合
想定は3割(余剰売電比率70.0%)
▼ それぞれに単価をかける
売電・買電の単価
売る24円→8.3円/使う約30〜40円
①を、②③④から出る「1年あたりの効果」で割ったものが回収年数。運転維持費(想定値3,000円/kW/年)は毎年の効果から差し引く。

①から③は調達価格等算定委員会が「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」で示した想定値です。④の売電側は資源エネルギー庁が公表する調達価格、買電側は電力会社が公表する従量料金で、どれも公式資料で確認できます。

それぞれの数字が意味するもの

4つのうち、住んでいる人が後から動かせるのは主に③の自家消費の割合です。①②④は契約と屋根で決まってしまいます。

図2 後から動かせる数字と、動かせない数字
屋根と契約で決まる
①設置費用25.5万円/kW(想定値)
②発電量年1,200kWh/kW前後
④単価売る24円→8.3円
暮らし方で動く
③自家消費想定は3割
上げる方法昼の在宅・昼沸き上げ・EV昼充電
効き方7割まで上げると約8年
①は見積り比較と補助金で下がる余地がある。②④は後から変えにくい。右列の年数は後半の図6の試算による。

①の設置費用は令和8年度の想定値で1kWあたり25.5万円、5kWなら127.5万円です。これは制度の価格を決めるための平均的な前提で、実際の見積りはこれより安いことも高いこともあります。

②の年間発電量は設備利用率13.7%という想定から出ます。1年は8,760時間なので、1kWあたり年1,200kWh前後です。南向きで影のない屋根ならこれを上回り、北寄りの面や影のかかる屋根では下回ります。

③の自家消費は、発電した電気のうち家で使い切る分です。委員会の想定は余剰売電比率70.0%、つまり家で使うのは3割という前提になっています。昼間に人がいる家、エコキュートの昼間沸き上げ、EVの昼充電などで、この割合は上がります。

④の売る値段は、住宅用のFIT価格が運転開始から4年目まで24円/kWh、5〜10年目は8.3円/kWhです(2025年度下半期の価格。資源エネルギー庁の注記により2026年度にも同じ価格が適用されます)。買う値段はある大手の従量電灯Bで1段階目29円80銭、2段階目36円40銭、3段階目40円49銭です。

図3 売るより、使うほうが単価は高い
売る(5〜10年目)
8.3円/kWh
FITの調達価格。4年目までは24円/kWh
使う(買わずに済む)
30〜40円/kWh
従量電灯Bの電力量料金は29.80〜40.49円/kWh
5年目以降は、1kWh売って得るお金より、1kWh買わずに済ませて浮くお金のほうが3〜5倍大きい。

5kWの家で計算してみる

設置費用127.5万円、年間発電量6,000kWh、自家消費3割、買電単価35円という前提だと、回収はおおむね12年前後になります。

5kWの設備で、①25.5万円/kW、②1kWあたり年1,200kWh、③自家消費3割、④売電はFIT価格、買電は35円/kWh(従量電灯Bの2段階目付近)として計算します。運転維持費は想定値の3,000円/kW/年を引きます。

図4 5kWの設置費用と年間発電量(委員会の想定値による)
①設置費用
25.5万円 × 5kW
127.5万円
②年間発電量
1,200kWh × 5kW
6,000kWh
③使う分
6,000kWh の3割
1,800kWh
設備利用率13.7%を1年8,760時間にかけると1kWあたり約1,200kWh。残る4,200kWhが売る分。屋根の向きと影で上下する。

1年あたりの効果は、4年目までが「使う1,800kWh×35円」と「売る4,200kWh×24円」の合計から運転維持費1.5万円を引いて約14.9万円。5年目からは売電単価が8.3円に下がり、約8.3万円になります。

図5 1年あたりの効果(5kW・自家消費3割・買電35円/kWhの場合)
運転開始〜4年目(売電24円/kWh)
自家消費 6.3万円売電 10.1万円−1.5万円
5〜10年目(売電8.3円/kWh)
自家消費 6.3万円売電 3.5万円−1.5万円
帯の長さは金額に比例。4年目までは年約14.9万円、5年目からは年約8.3万円。灰色は運転維持費で、差し引く分。

4年間で約59.5万円を回収し、残る68万円を年8.3万円ずつ回収すると約8.2年。合わせておよそ12年です。10年でFITが終わったあとも自家消費分の価値は残り、余った電気は小売電気事業者と個別に契約して売ることになります。

自家消費の割合が変わると年数はどう動くか

自家消費の割合が2割か7割かで、回収年数はおよそ14年と8年に分かれます。同じ設備、同じ費用でも6年の差が出ます。

4つの数字のうち、暮らし方で最も動くのが③です。そこだけを変えて、ほかの条件をそろえて計算し直すと、こうなります。

図6 自家消費の割合と回収年数の目安(年・5kW・買電35円/kWh)
14
2割
12
3割
9.5
5割
8
7割
6,000kWhのうち家で使う量は、2割=1,200kWh、3割=1,800kWh、5割=3,000kWh、7割=4,200kWh。設置費用25.5万円/kW、FIT価格24円・8.3円、買電35円/kWhでの編集部試算。

設置費用も同じくらい効きます。自家消費3割のまま、1kWあたりの費用だけを動かすと、年数はこう変わります。

図7 設置費用が変わると(自家消費3割・買電35円/kWh)
20万円/kW
約9年
5kWで100万円
25.5万円/kW
約12年
委員会の想定値
30万円/kW
約15年
5kWで150万円
中央が図4と同じ前提。買電単価を30円で見るか40円で見るかでも1年前後は動く。編集部試算。

つまり「何年」という数字は、前提を書かずに出しても意味を持ちません。年数を比べるときは、いくらの費用と何割の自家消費で計算したのかをそろえてから比べます。

この試算が当てはまらない家

屋根の向きと面積、影、昼間の在宅の有無で前提が崩れます。北面中心や影のかかる屋根では、発電量の想定そのものが成り立ちません。

図8 これに当てはまると、想定から外れる
1北寄りの屋根面・影・積雪年1,200kWh/kWを下回る
2平日の日中は誰もいない自家消費が2割を下回ることも
3屋根の形が複雑で足場が要る1kWあたりの単価が想定値から離れる
410年超のパワコン交換この試算には入れていない費用
1は発電量、2は自家消費の割合、3と4は費用に効く。当てはまる数が多いほど年数は伸びる。

発電量が2割減れば、回収年数はおおよそ2割以上伸びます。逆に在宅勤務、エコキュートの昼間沸き上げ、EVの昼充電がある家では自家消費が5割を超えることがあり、検針データや時間帯別の使用量の記録である程度は確かめられます。

パワーコンディショナ(直流を交流に変換する機器)の交換費用は、10年を超えたあたりから見込んでおく項目です。

判断する前に確認すること

見積りを比べる前に、自分の家の4つの数字を紙に書き出すことです。数字が埋まれば、提示された回収年数が妥当かどうかを自分で検算できます。

図9 見積りを受け取る前に確認する順番
1①費用をkWあたりに直す総額でなく「万円/kW」で比べる
2②発電量の根拠を聞く向き・傾き・影を反映した数字か
3③自家消費の前提を確かめる高く置けば年数はいくらでも短く見える
4④売電・買電の単価を見る5年目からの8.3円が入っているか
5補助金を引いて計算し直す自治体の制度で①が下がる
4つの前提が書かれていない回収年数は、検算のしようがない。

見落としやすいのが3番目です。提示された年数が短いときは、何割の自家消費で計算しているかを確かめてください。

4番目も同じです。住宅用のFIT価格は4年目までと5年目以降で3倍近い差があるため、初年度の売電収入を10年間そのまま伸ばした計算は実態から外れます。①の設置費用は、自治体の補助金を差し引いた後の金額で見ます。

金額についての注記
※本記事は 2026年9月7日時点 で公開されている制度の内容にもとづきます。制度は年度ごとに改定されます。
※いずれの制度も予算の上限に達した時点で受付が終了する場合があります。記事中で「受付中」としたものが、閲覧時点では終了していることがあります。
※実際の設置費用と補助額は、住宅の条件・選ぶ機器・施工会社によって異なります。記載の金額は制度上の単価や上限であり、受け取れる額を保証するものではありません。

よくある質問

Q. 何年で元が取れると言い切れますか
言い切れません。この記事の年数は、国の委員会が示した想定値と現行の買取価格を使った試算です。実際の設置費用、屋根の向きや角度、住んでいる人の生活時間帯で結果は動きます。同じ設備でも数年の幅が出ます。
Q. 蓄電池を足すと回収は早くなりますか
発電した電気を家で使う割合は上がるので、1kWhあたりの価値は上がります。ただし蓄電池そのものの費用が加わるため、太陽光だけの回収年数より短くなるとは限りません。蓄電池は災害時の備えや電気の使い方の自由度も含めて判断する項目です。
Q. 11年目からはどうなりますか
FITの買取期間は住宅用で10年です。11年目以降は小売電気事業者と個別に契約して売るか、自家消費に回すことになります。売電単価は下がりますが、パネル自体は動き続けるので、自家消費分の価値は残ります。

この記事の用語

kW
発電設備の出力の大きさを表す単位。「4kWの太陽光」はこの値。パネル1枚は0.4〜0.5kW程度で、戸建てでは3〜6kWが多い。 用語集で見る
kWh
電気の量を表す単位。蓄電池の容量(何kWhためられるか)や、1か月に使った電力量に使う。1kWの機器を1時間動かすと1kWh。 用語集で見る
FIT
太陽光などでつくった電気を、国が決めた価格で一定期間(住宅用は10年)電力会社が買い取る仕組み。 用語集で見る
自家消費
発電した電気を売らずに自宅で使うこと。買う電気を減らせるので、売電単価より買電単価が高い今は有利になりやすい。 用語集で見る
パワーコンディショナ
太陽光パネルがつくる直流の電気を、家庭で使える交流に変換する機器。補助金の出力判定に使われることがある。 用語集で見る
売電
発電した電気を電力会社などに売ること。単価は制度と時期で決まる。 用語集で見る

出典

発行元ページ名確認日
資源エネルギー庁買取価格・期間等|FIT・FIP制度2026年9月7日
調達価格等算定委員会(経済産業省)令和8年度以降の調達価格等に関する意見(令和8年2月5日)2026年9月7日
東京電力エナジーパートナー料金単価表‐電灯2026年9月7日