千葉県で使える制度の全体像
出どころは国・県・市町村の3層ですが、設備を購入する人が今使えるのは市町村の補助だけです。国の蓄電池補助は5月に終わり、県の制度はリース・PPA事業者向けで、購入者は申請できません。
太陽光と蓄電池の補助金は、国・都道府県・市町村の3層で考えるのが基本です。ただし千葉県は、この基本形がそのままは当てはまりません。県の制度が「住宅所有者に配るもの」ではなく「リース・PPA事業者に配るもの」として作られているためです。
つまり千葉県では、設備を買って設置する人が受け取れるのは市町村の補助だけになります。国の家庭用蓄電池補助は2026年5月に終わっているので、購入者にとっての選択肢は市の制度1本です。住んでいる市に制度がなければゼロ、市川市なら最大29.5万円(太陽光の予算は残りわずか)、という開き方をします。
上限60万円/申請。千葉県の補助ではない
太陽光 7万円/kW + 蓄電池 12万円。申請者はリース・PPA事業者。購入者は申請できない
千葉市・船橋市・市川市・松戸市・柏市・浦安市・流山市などに制度あり。金額も条件も市ごとに違う
国の制度でもらえるもの
国の家庭用蓄電池補助(DR家庭用蓄電池事業・上限60万円/申請)は、2026年5月29日に予算到達で終了しています。「千葉県の蓄電池補助金60万円」は、この国の事業の上限です。
国の家庭用蓄電池補助は「DR家庭用蓄電池事業」でした。DRとは、電力の需給に応じて蓄電池の充放電を調整する仕組みに参加することです。執行はSII(環境共創イニシアチブ。国の補助事業を実施する団体)で、1申請あたりの上限は60万円でした。
この事業は終了しています。公式サイトには「2026年5月29日(金)に交付申請額の合計額が予算に達したことを確認したため、公募は終了しました」とあります。年度の途中で枠がなくなった形です。「千葉県の蓄電池補助金は60万円」という情報を見かけることがありますが、この60万円は国の事業の上限で、千葉県の補助ではありません。国のほかの制度は国の補助金の記事で整理しています。
千葉県の制度でもらえるもの
太陽光7万円/kW、蓄電池12万円。ただし申請するのはリース・PPA事業者で、住宅所有者は申請できません。受け取り方はリース料金の引き下げなどになります。
県の制度は「千葉県住宅用太陽光発電設備等に係るリース等導入促進事業補助金」です。金額は太陽光が発電出力1kWあたり70,000円、蓄電池が120,000円で、太陽光は10kW未満が対象です。太陽光と蓄電池をセットでリースまたはPPAにより県内の住宅に設置する事業が対象になります。
仕組みは2段階です。まず事業者が県に「設置プラン」を登録し(令和8年度の募集は5月7日から10月30日まで)、そのプランで県民と契約した事業者が県に補助金の交付申請を行います。交付申請の受付期間は令和8年6月26日から12月18日までです。住宅所有者が県の窓口に出向く場面はありません。
還元の形は現金の振込とは限りません。県は「補助事業により交付を受ける補助金については、登録プランに係る契約において、契約の相手方である住宅所有者に全額還元すること」を事業者に求めており、県のページは「補助金はリース料金等の低減を通じて、県民へ全額還元」と説明しています。契約前に、還元額がいくらで、月額にどう反映されているかを書面で確認しておく必要があります。
県にはもうひとつ「太陽光発電設備等共同購入支援事業」があります。こちらは補助金ではなく、購入希望者をまとめて一括発注することで価格を下げる共同購入の仕組みです。令和8年度の参加登録期間は4月1日から12月15日までで、入札で選ばれた施工事業者が県のページに載っています。補助金と混同しやすいので、金額の見込みには入れないでください。
市町村の制度でもらえるもの
購入者にとっての本命です。太陽光の単価は千葉市の1万円/kWから市川市の5万円/kWまで5倍の開きがあり、蓄電池は多くの市が7万円で揃っています。
市町村の制度には、はっきりした傾向が2つあります。ひとつは、蓄電池の補助額が7万円で横並びになっていることです。千葉市・船橋市・市川市・松戸市・柏市・浦安市・流山市の7市すべてが、蓄電池の基本の額を7万円としています(流山市は太陽光と併設すると5万円の上乗せ)。もうひとつは、太陽光の単価だけが市ごとに大きく違うことです。
市川市:太陽光の単価が最も高いが、予算は残りわずか
市川市のスマートハウス関連設備導入費補助金は、太陽光が1kWあたり50,000円で上限225,000円、蓄電池が上限7万円です。太陽光は市内事業者等が施工したもの、蓄電池は住宅に太陽光が設置されていることが条件です。現在受付中の市では単価が最も高く、上限に達するまでの4.5kW分をフルに使えます。
太陽光の枠は残りわずかです。令和8年10月7日現在で、太陽光は予算6,750,000円に対し申請28件・残額991,000円、太陽光以外は予算18,700,000円に対し申請73件・残額12,790,000円です。太陽光の残額は、上限額225,000円で4件分ほどです。受付は5月7日に始まり、太陽光のみ令和9年3月31日必着、太陽光以外は令和9年2月26日必着と、期限も市の中では長めです。
上限で頭打ち
柏市:太陽光の枠は8月に終わり、蓄電池だけが残っている
柏市は年度当初、1kWあたり7万円・最大5kW相当の35万円という、この記事で比べた市の中で最も高い単価の太陽光補助(太陽光発電設備設置加速化補助金)を出していました。蓄電容量4kWh以上の蓄電池かV2H充放電設備の設置が条件で、市の交付決定の後に契約・着工する事前申請の制度でした。この制度は令和8年8月24日に「予算額に達したため、申請の受付を終了しました」と告知されています。
一方で、ゼロカーボンシティ促進総合補助制度(家庭向け)の蓄電池枠は残っています。上限70,000円で太陽光発電設備の併設が必須、受付は令和8年5月1日から令和9年2月26日までの先着です。制度全体(蓄電池以外の設備も含む)の予算残額は、令和8年10月1日時点で33,250,000円中21,343,000円です。柏市で今から検討する場合、太陽光分は市の補助なしで見積もる必要があります。
千葉市・船橋市・松戸市・浦安市・流山市
千葉市は太陽光が1kWあたり1万円で最大4.5万円(既築住宅のみ)、蓄電池が7万円です。受付は令和8年5月1日から令和9年1月29日必着で、残り受付目安は太陽光が約140件/約200件、蓄電池が約320件/約460件と公表されています(9月24日更新の市のページ)。補助金の申請は工事(補助事業)の完了後に行います。
船橋市は太陽光が1kWあたり1.5万円で上限6万円、蓄電池が7万円ですが、併設要件が両方向にかかります。太陽光には蓄電池かHEMSの併設が、蓄電池には太陽光の併設が必要です。太陽光の枠は、令和8年10月9日に予算を超える申請があり受付を終了しました(同日の申請分は抽選)。太陽光以外は、10月9日現在で予算2,845万円に対し1,463万円が残っています。
松戸市は太陽光が1kWあたり2万円で上限6万円、蓄電池が上限7万円。受付は令和8年4月1日から令和9年2月26日までの先着です。浦安市は太陽光そのものが補助対象に入っておらず、蓄電池のみを「補助対象経費または70,000円のうち、いずれか少ない額」で補助します。太陽光を導入済みであることが条件です。
流山市は建物の新旧で単価が変わります。太陽光は新築が1kWあたり15,000円で上限60,000円、既存住宅が25,000円で上限100,000円。蓄電池は70,000円で、太陽光と併設する場合は50,000円の上乗せがあります(1住宅1回限り)。ただし「流山市内の事業者から購入し、流山市内の事業者に設置させた設備であること」という要件があり、施工会社の所在地で対象外になる点に注意が必要です。
主要市の一覧
各市の公式ページをもとに編集部が整理しました(確認日:2026年10月14日)。先着制の市が多く、状況は週単位で変わります。申請前に必ず各市の公式ページで確認してください。
| 自治体 | 状況 | 太陽光 | 蓄電池 |
|---|---|---|---|
| 市川市 | 受付中(〜令和9年3/31・太陽光以外は2/26。太陽光の残額は10/7現在99.1万円) | 5万円/kW・上限22.5万円(市内事業者等の施工) | 上限7万円(太陽光の設置が条件) |
| 柏市 | 太陽光は8/24終了/蓄電池は受付中(〜令和9年2/26) | ―(終了。終了前は7万円/kW・最大35万円) | 上限7万円(太陽光の併設が必須) |
| 流山市 | 受付中(7/21〜令和9年3/31) | 既存2.5万円/kW・上限10万円/新築1.5万円/kW・上限6万円 | 7万円+太陽光併設で5万円上乗せ |
| 松戸市 | 受付中(4/1〜令和9年2/26・先着) | 2万円/kW・上限6万円 | 上限7万円 |
| 船橋市 | 太陽光は10/9終了/太陽光以外は受付中(〜令和9年2/26) | ―(終了。終了前は1.5万円/kW・上限6万円、蓄電池かHEMSの併設必須) | 7万円(太陽光の併設必須) |
| 千葉市 | 受付中(5/1〜令和9年1/29必着・完了後申請) | 1万円/kW・最大4.5万円(既築のみ) | 7万円 |
| 浦安市 | 受付中(4/1〜令和9年2/26) | 対象外 | 上限7万円(太陽光導入済みが条件) |
| 市原市 | 未確認(公式ページで要確認) | 未確認 | 未確認 |
併用できる組み合わせ・できない組み合わせ
県と市の併用を考える場面はほとんどありません。県の枠がリース・PPA限定なので、購入した時点で県の分は最初から存在しないためです。
神奈川県や東京都では「県と市を足していくら」という計算が成り立ちますが、千葉県ではその足し算が起きにくくなっています。購入した場合、県の補助はそもそも対象外だからです。逆にリース・PPAを選んだ場合は、市の補助のほうが対象外になることがあります。たとえば市川市は、県の補助事業で蓄電池をリース契約で設置した人を蓄電池の補助の対象外としています。
そのため千葉県での比較は、補助金の合計額ではなく、購入とリースのどちらが総支払額で有利かという形になります。購入なら市の補助(市川市なら最大29.5万円)を受けて設備は自分のもの、リースなら県の補助が料金に反映されるかわりに契約期間中の所有権は事業者にある、という違いです。
経費控除の扱いも確認しておく点です。市川市は蓄電池の補助額を「補助対象経費から国等の補助申請額を引いた額」と7万円の少ない方としています。国の補助を受けると市の補助が目減りする方式ですが、DR事業は終了しているため、国の補助を受けていなければ差し引く額はありません。
申請の順番と、間に合わなくなりやすい点
今受付中の市の制度は、工事が終わってから申請する型が中心です。先に申請する型だった柏市の太陽光は8月24日に終わりました。工事を終えた時点で枠が残っているかが分かれ目です。
つまずく箇所は3つあります。ひとつめは申請の時期です。千葉市・市川市・浦安市・柏市(蓄電池など)は、市のページで設置や工事の完了後に申請すると案内しています。工事を先に終える型なので、申請した時点で枠が埋まっていれば受け取れません。千葉市の残り受付目安や市川市の予算残額は、工事の前に見ておく情報です。
ふたつめは先着と予算到達です。柏市の太陽光補助は、12月28日までの受付期間を待たず8月24日に終わりました。船橋市の太陽光の枠も10月9日に予算を超え、受付を終えています。年度の初めに調べた情報のまま秋に動くと、制度が消えていることがあります。
みっつめは設備と施工会社の要件です。流山市は市内の事業者からの購入と市内の事業者による施工を求めており、市外の会社に頼むと対象外になります。船橋市は蓄電池に太陽光の併設が必要で、柏市の蓄電池も太陽光の併設が必須です。市川市の太陽光は市内事業者等の施工に限られます。金額を調べる前に、自分の計画がその市の要件に当てはまるかを先に確かめてください。
よくある質問
- Q. 千葉県の蓄電池補助金は60万円ですか
- 60万円は千葉県の補助ではなく、国のDR家庭用蓄電池事業の1申請あたりの上限です。この事業は2026年5月29日に交付申請額が予算に達し、公募が終わっています。千葉県の県補助は蓄電池12万円で、リース・PPA事業者が申請する制度です。
- Q. 千葉県には県の補助金がないということですか
- 制度自体はあります。ただし申請するのはリース・PPA事業者で、住宅所有者が自分で申請することはできません。設備を購入して設置する場合、県の補助は届かず、使えるのは市町村の制度だけになります。
- Q. リース契約なら県の7万円/kWを受け取れますか
- 現金で受け取る形ではありません。県は登録事業者に対し、補助金を契約相手である住宅所有者に全額還元するよう求めています。還元はリース料金の引き下げなどの形になるため、契約前に還元額と月額をあわせて確認してください。
- Q. 太陽光だけ、蓄電池だけでも市の補助は使えますか
- 市によって違います。船橋市は太陽光に蓄電池かHEMSの併設が必要で、蓄電池には太陽光の併設が必要です(太陽光の枠は2026年10月9日に受付を終えています)。浦安市は太陽光そのものが対象外で、蓄電池のみを太陽光設置済みの住宅に対して補助します。市川市(市内事業者等の施工が条件)や松戸市のように、太陽光を単体で補助の対象にしている市もあります。
この記事の用語
- kW
- 発電設備の出力の大きさを表す単位。「4kWの太陽光」はこの値。パネル1枚は0.4〜0.5kW程度で、戸建てでは3〜6kWが多い。 用語集で見る
- kWh
- 電気の量を表す単位。蓄電池の容量(何kWhためられるか)や、1か月に使った電力量に使う。1kWの機器を1時間動かすと1kWh。 用語集で見る
- 交付決定
- 補助金を出すという行政の正式な決定。通知書の日付が基準になり、これより前に工事を始めると対象外になる制度が多い。 用語集で見る
- 経費控除
- 国や県の補助額を設置費用から差し引いてから、市の補助額を計算する方式。単純な足し算にならない。 用語集で見る
- SII
- 国の補助事業の執行を担う一般社団法人。補助対象になる蓄電池の登録製品リストを管理している。 用語集で見る
- V2H
- 電気自動車の電池から家に電気を送る設備(Vehicle to Home)。車を大きな蓄電池として使う考え方。 用語集で見る
- DR
- 電力の需要と供給に合わせて、家庭の蓄電池などの充放電を調整する仕組み。国の蓄電池補助の参加条件になっていた。 用語集で見る
- 家庭用蓄電池
- 太陽光でつくった電気や夜間の安い電気をためて、必要なときに使う装置。停電時の備えにもなる。 用語集で見る
- PPA
- 事業者が家の屋根に太陽光を設置して所有し、家庭はその電気を買う仕組み。初期費用がかからない代わりに設備は自分のものではない。 用語集で見る
出典
| 発行元 | ページ名 | 確認日 |
|---|---|---|
| 千葉県 | 千葉県住宅用太陽光発電設備等に係るリース等導入促進事業補助金 | 2026年10月14日 |
| 千葉県 | 令和8年度千葉県住宅用太陽光発電設備等に係るリース等導入促進事業設置プランの募集について | 2026年10月14日 |
| 千葉県 | 太陽光発電設備等共同購入支援事業【住宅用】 | 2026年10月14日 |
| 環境共創イニシアチブ(SII) | DR家庭用蓄電池事業 事業概要 | 2026年10月14日 |
| 千葉市 | 住宅用設備等脱炭素化促進事業補助金(住宅向け) | 2026年10月14日 |
| 船橋市 | 令和8年度 太陽光発電システム等に関する補助金の概要 | 2026年10月14日 |
| 船橋市 | 令和8年度 補助金の新着情報・予算額 | 2026年10月14日 |
| 市川市 | 市川市スマートハウス関連設備導入費補助金交付事業 | 2026年10月14日 |
| 松戸市 | 住宅用省エネルギー設備等設置費補助金 | 2026年10月14日 |
| 柏市 | 令和8年度柏市ゼロカーボンシティ促進総合補助制度(家庭向け) | 2026年10月14日 |
| 柏市 | 【新規受付終了】令和8年度柏市太陽光発電設備設置加速化補助金 | 2026年10月14日 |
| 浦安市 | 浦安市住宅用設備等脱炭素化促進事業補助金 | 2026年10月14日 |
| 流山市 | 流山市住宅用省エネルギー設備等脱炭素化促進事業補助金 | 2026年10月14日 |
| 流山市 | 太陽光発電設備(補助金額・要件) | 2026年10月14日 |
| 流山市 | 定置用リチウムイオン蓄電システム(補助金額・要件) | 2026年10月14日 |
