千葉県の太陽光・蓄電池補助金 買う人と借りる人で変わる

千葉県の県補助はリース・PPA事業者が申請する制度で、設備を購入する人は申請できません。買う場合に使えるのは市町村の制度だけで、国の蓄電池補助は2026年5月に終了しています。

寄棟屋根の3面に分けて設置した太陽光パネルの俯瞰
寄棟屋根の3面に分けて載せた太陽光パネル。千葉県では買うか借りるかで使える補助が変わる(編集部取材の設置例)。
目次
  1. 千葉県で使える制度の全体像
  2. 国の制度でもらえるもの
  3. 千葉県の制度でもらえるもの
  4. 市町村の制度でもらえるもの
  5. 併用できる組み合わせ・できない組み合わせ
  6. 申請の順番と、間に合わなくなりやすい点

千葉県で使える制度の全体像

出どころは国・県・市町村の3層ですが、設備を購入する人にとっては実質2層です。県の制度はリース・PPA事業者向けで、購入者は申請できません。

太陽光と蓄電池の補助金は、国・都道府県・市町村の3層で考えるのが基本です。ただし千葉県は、この基本形がそのままは当てはまりません。県の制度が「住宅所有者に配るもの」ではなく「リース・PPA事業者に配るもの」として作られているためです。

つまり千葉県では、設備を買って設置する人が受け取れるのは市町村の補助だけになります。国の家庭用蓄電池補助は2026年5月に終わっているので、購入者にとっての選択肢は市の制度1本です。住んでいる市に制度がなければゼロ、市川市なら30万円近く、という開き方をします。

図1 千葉県で使える補助金の3層構造(2026年9月7日時点)
DR家庭用蓄電池事業2026年5月29日に終了
上限60万円/申請。太陽光単体への国の直接補助は現在なし
▼ 別々に申請
千葉県
リース等導入促進事業補助金受付中(6/26〜12/18)
太陽光 7万円/kW + 蓄電池 12万円。申請者はリース・PPA事業者。購入者は申請できない
▼ 別々に申請
市町村
購入者が実際に使えるのはここだけ
千葉市・船橋市・市川市・松戸市・柏市・浦安市・流山市などに制度あり。金額も条件も市ごとに違う
購入する場合、実質は「国(終了)+市町村」の2層。県の枠はリース・PPA契約を選んだ場合にだけ関係する。

国の制度でもらえるもの

戸建ての太陽光に対する国の直接補助はありません。蓄電池向けのDR事業は2026年5月29日に予算到達で終了しています。

国の家庭用蓄電池補助は「DR家庭用蓄電池事業」でした。DRとは、電力の需給に応じて蓄電池の充放電を調整する仕組みに参加することです。執行はSII(環境共創イニシアチブ。国の補助事業を実施する団体)で、1申請あたりの上限は60万円でした。

この事業は終了しています。公式サイトには「2026年5月29日(金)に交付申請額の合計額が予算に達したことを確認したため、公募は終了しました」とあります。年度の途中で枠がなくなった形です。太陽光そのものに対する国の直接補助は、戸建ての新築・既築を問わず現在ありません。

千葉県の制度でもらえるもの

太陽光7万円/kW、蓄電池12万円。ただし申請するのはリース・PPA事業者で、住宅所有者は申請できません。受け取り方はリース料金の引き下げなどになります。

県の制度は「千葉県住宅用太陽光発電設備等に係るリース等導入促進事業補助金」です。金額は太陽光が発電出力1kWあたり70,000円、蓄電池が120,000円で、太陽光は10kW未満が対象です。太陽光と蓄電池をセットでリースまたはPPAにより県内の住宅に設置する事業が対象になります。

仕組みは2段階です。まず事業者が県に「設置プラン」を登録し(令和8年度の募集は5月7日から10月30日まで)、そのプランで県民と契約した事業者が県に補助金の交付申請を行います。交付申請の受付期間は令和8年6月26日から12月18日までです。住宅所有者が県の窓口に出向く場面はありません。

図2 同じ設備でも、買うか借りるかで県の補助の届き方が変わる
購入する場合
県の補助使えない(対象外)
申請者
受け取り方
使える制度市町村の補助のみ
設備の所有者自分
リース・PPAの場合
県の補助太陽光7万円/kW+蓄電池12万円
申請者リース・PPA事業者
受け取り方事業者経由で全額還元
使える制度県の制度(市町村は要確認)
設備の所有者事業者(契約期間中)
県は登録プランの契約で、補助金を住宅所有者に全額還元することを事業者に求めている。太陽光と蓄電池のセット設置が条件。

還元の形は現金の振込とは限りません。県は「補助金については、登録プランに係る契約において、契約の相手方である住宅所有者に全額還元」するよう求めていますが、実務ではリース料金の引き下げに充てられることが一般的です。契約前に、還元額がいくらで、月額にどう反映されているかを書面で確認しておく必要があります。

県にはもうひとつ「太陽光発電設備等共同購入支援事業」があります。こちらは補助金ではなく、購入希望者をまとめて一括発注することで価格を下げる共同購入の仕組みです。令和8年度の参加登録期間は4月1日から12月15日までで、割引率と施工事業者は決定後に公表されるとしています。補助金と混同しやすいので、金額の見込みには入れないでください。

市町村の制度でもらえるもの

購入者にとっての本命です。太陽光の単価は千葉市の1万円/kWから市川市の5万円/kWまで5倍の開きがあり、蓄電池は多くの市が7万円で揃っています。

市町村の制度には、はっきりした傾向が2つあります。ひとつは、蓄電池の補助額が7万円で横並びになっていることです。千葉市・船橋市・市川市・松戸市・柏市・浦安市・流山市の7市すべてが、蓄電池を上限7万円としています。もうひとつは、太陽光の単価だけが市ごとに大きく違うことです。

図3 太陽光の補助単価の違い(万円/kW・2026年9月7日時点)
7.0
柏(終了)
5.0
市川
2.5
流山(既存)
2.0
松戸
1.5
船橋
1.0
千葉
単価が高くても上限で頭打ちになる。柏市の7万円/kWは令和8年8月24日に予算到達で受付終了。浦安市は太陽光が対象外。

市川市:太陽光の単価が最も高く、枠も残っている

市川市のスマートハウス関連設備導入費補助金は、太陽光が1kWあたり50,000円で上限225,000円、蓄電池が上限7万円です。現在受付中の市では単価が最も高く、上限に達するまでの4.5kW分をフルに使えます。

枠にも余裕があります。令和8年8月28日現在で、太陽光は予算6,750,000円に対し申請9件・残額4,905,500円、太陽光以外は予算18,700,000円に対し申請38件・残額15,600,000円です。受付は5月7日に始まり、太陽光のみ令和9年3月31日必着、太陽光以外は令和9年2月26日必着と、期限も市の中では長めです。

図4 市川市の計算例(太陽光5kW+蓄電池1台の場合)
太陽光 5kW
5万円 × 5kW = 25万円
上限で頭打ち
22.5万円
蓄電池
上限額
7万円
市の補助
合計
29.5万円
蓄電池は「補助対象経費から国等の補助申請額を引いた額」と7万円のうち少ない方。国のDR事業が終了しているため、現在は差し引く額がない。

柏市:太陽光の枠は8月に終わり、蓄電池だけが残っている

柏市は年度当初、1kWあたり7万円・最大5kW相当の35万円という県内最高水準の太陽光補助(太陽光発電設備設置加速化補助金)を出していました。この制度は令和8年8月24日に「予算額に達したため、申請の受付を終了しました」と告知されています。

一方で、ゼロカーボンシティ促進総合補助制度(家庭向け)の蓄電池枠は残っています。上限70,000円、受付は令和8年5月1日から令和9年2月26日までの先着で、令和8年9月1日時点の予算残額は33,250,000円中26,041,000円です。柏市で今から検討する場合、太陽光分は市の補助なしで見積もる必要があります。

千葉市・船橋市・松戸市・浦安市・流山市

千葉市は太陽光が1kWあたり1万円で最大4.5万円、蓄電池が7万円です。受付は令和8年5月1日から令和9年1月29日必着で、残り受付目安は太陽光が約155件/約200件、蓄電池が約360件/約460件と公表されています。申請の型が他市と違い、工事が完了してから申請します。

船橋市は太陽光が1kWあたり1.5万円で上限6万円、蓄電池が7万円ですが、併設要件が両方向にかかります。太陽光には蓄電池かHEMSの併設が、蓄電池には太陽光の併設が必要です。令和8年9月4日現在の予算残額は、太陽光が720万円中284万1千円と半分以下まで減っています。

松戸市は太陽光が1kWあたり2万円で上限6万円、蓄電池が上限7万円。受付は令和8年4月1日から令和9年2月26日までの先着です。浦安市は太陽光そのものが補助対象に入っておらず、蓄電池のみを「補助対象経費または70,000円のうちいずれか少ない額」で補助します。太陽光を導入済みであることが条件です。

流山市は建物の新旧で単価が変わります。太陽光は新築が1kWあたり15,000円で上限60,000円、既存住宅が25,000円で上限100,000円。蓄電池は70,000円で、太陽光と併設する場合は50,000円の上乗せがあります(1住宅1回限り)。ただし「流山市内の事業者から購入し、流山市内の事業者に設置させた設備であること」という要件があり、施工会社の所在地で対象外になる点に注意が必要です。

主要市の一覧

各市の公式ページをもとに編集部が整理しました(確認日:2026年9月7日)。先着制の市が多く、状況は週単位で変わります。申請前に必ず各市の公式ページで確認してください。

自治体 状況 太陽光 蓄電池
市川市 受付中(〜令和9年3/31・太陽光以外は2/26) 5万円/kW・上限22.5万円 上限7万円
柏市 太陽光は8/24終了/蓄電池は受付中 ―(終了。終了前は7万円/kW・最大35万円) 上限7万円
流山市 受付中(7/21〜令和9年3/31) 既存2.5万円/kW・上限10万円/新築1.5万円/kW・上限6万円 7万円+太陽光併設で5万円上乗せ
松戸市 受付中(4/1〜令和9年2/26・先着) 2万円/kW・上限6万円 上限7万円
船橋市 受付中(5/1〜令和9年2/26・太陽光の残額は約4割) 1.5万円/kW・上限6万円(蓄電池かHEMSの併設必須) 7万円(太陽光の併設必須)
千葉市 受付中(5/1〜令和9年1/29必着・完了後申請) 1万円/kW・最大4.5万円 7万円
浦安市 受付中(4/1〜令和9年2/26) 対象外 上限7万円(太陽光導入済みが条件)
市原市 未確認(公式ページで要確認) 未確認 未確認

併用できる組み合わせ・できない組み合わせ

県と市の併用を考える場面はほとんどありません。県の枠がリース・PPA限定なので、購入した時点で県の分は最初から存在しないためです。

神奈川県や東京都では「県と市を足していくら」という計算が成り立ちますが、千葉県ではその足し算が起きにくくなっています。購入した場合、県の補助はそもそも対象外だからです。逆にリース・PPAを選んだ場合は設備の所有者が事業者になるため、市の補助のほうが対象外になることがあります。市の要件が「自ら所有し居住する住宅に設置」となっている場合です。

そのため千葉県での比較は、補助金の合計額ではなく、購入とリースのどちらが総支払額で有利かという形になります。購入なら市の補助(市川市なら約30万円)を受けて設備は自分のもの、リースなら県の補助が料金に反映されるかわりに契約期間中の所有権は事業者にある、という違いです。

経費控除の扱いも確認しておく点です。市川市は蓄電池の補助額を「補助対象経費から国等の補助申請額を引いた額」と7万円の少ない方としています。国の補助を受けると市の補助が目減りする方式ですが、DR事業が終了している現在は差し引く額がなく、上限の7万円が出やすい状況です。

申請の順番と、間に合わなくなりやすい点

千葉県内の市は「完了後に申請する型」と「先に申請する型」が混在します。千葉市は工事完了後の申請で、他市の多くは先着枠を確保してから進める形です。

つまずく箇所は3つあります。ひとつめは申請の型の違いです。千葉市は「補助事業の完了前の受付はできません」として工事完了後に申請しますが、この型は先に工事を終えるぶん、申請時点で枠が埋まっていれば受け取れません。残り受付目安が公表されているのは、この型だからこそ意味を持つ情報です。

ふたつめは先着と予算到達です。柏市の太陽光補助は35万円という金額の大きさもあって、令和9年2月までの受付期間を待たず8月24日に終わりました。船橋市の太陽光枠も9月4日時点で残額が4割を切っています。年度の初めに調べた情報のまま秋に動くと、制度が消えていることがあります。

図5 2026年度に予算到達で終わった制度
5/29
国 DR家庭用蓄電池事業
交付申請額が予算に達し公募終了。上限60万円/申請
8/24
柏市 太陽光発電設備設置加速化補助金
7万円/kW・最大35万円。予算額に達し受付終了
9/4
船橋市 太陽光枠
予算720万円に対し残額284万1千円(受付は継続中)
受付期間の終わりまで枠が残る保証はない。金額の大きい制度ほど早く終わる。

みっつめは設備と施工会社の要件です。流山市は市内の事業者からの購入と市内の事業者による施工を求めており、市外の会社に頼むと対象外になります。船橋市は太陽光と蓄電池の併設が双方向の条件になっているため、太陽光だけを載せる計画では補助が受けられません。金額を調べる前に、自分の計画がその市の要件に当てはまるかを先に確かめてください。

図6 申請の流れ(型によって順番が変わる)
1市の要件を確認併設条件・市内事業者要件・対象製品
2購入かリースかを決める購入=市の補助/リース=県の補助
3申請の型を確認千葉市は完了後申請。事前申請型の市で先に着工すると対象外
4申請・交付決定先着制。残額の公表があれば着工前に再確認
5着工・設置・系統連系型番は対象製品リストと照合
6実績報告・請求必着期限は市ごとに異なる(1月〜3月)
千葉県内は「完了後申請」と「事前申請」が混在する。どちらの型かを最初に確かめる。
金額についての注記
※本記事は 2026年9月7日時点 で公開されている制度の内容にもとづきます。制度は年度ごとに改定されます。
※いずれの制度も予算の上限に達した時点で受付が終了する場合があります。記事中で「受付中」としたものが、閲覧時点では終了していることがあります。
※実際の設置費用と補助額は、住宅の条件・選ぶ機器・施工会社によって異なります。記載の金額は制度上の単価や上限であり、受け取れる額を保証するものではありません。

よくある質問

Q. 千葉県には県の補助金がないということですか
制度自体はあります。ただし申請するのはリース・PPA事業者で、住宅所有者が自分で申請することはできません。設備を購入して設置する場合、県の補助は届かず、使えるのは市町村の制度だけになります。
Q. リース契約なら県の7万円/kWを受け取れますか
現金で受け取る形ではありません。県は登録事業者に対し、補助金を契約相手である住宅所有者に全額還元するよう求めています。還元はリース料金の引き下げなどの形になるため、契約前に還元額と月額をあわせて確認してください。
Q. 太陽光だけ、蓄電池だけでも市の補助は使えますか
市によって違います。船橋市は太陽光に蓄電池かHEMSの併設が必要で、蓄電池には太陽光の併設が必要です。浦安市は太陽光そのものが対象外で、蓄電池のみを太陽光設置済みの住宅に対して補助します。市川市や松戸市のように単価の高い太陽光補助を単体で受けられる市もあります。

この記事の用語

kW
発電設備の出力の大きさを表す単位。「4kWの太陽光」はこの値。パネル1枚は0.4〜0.5kW程度で、戸建てでは3〜6kWが多い。 用語集で見る
経費控除
国や県の補助額を設置費用から差し引いてから、市の補助額を計算する方式。単純な足し算にならない。 用語集で見る
SII
国の補助事業の執行を担う一般社団法人。補助対象になる蓄電池の登録製品リストを管理している。 用語集で見る
DR
電力の需要と供給に合わせて、家庭の蓄電池などの充放電を調整する仕組み。国の蓄電池補助の参加条件になっていた。 用語集で見る
家庭用蓄電池
太陽光でつくった電気や夜間の安い電気をためて、必要なときに使う装置。停電時の備えにもなる。 用語集で見る
PPA
事業者が家の屋根に太陽光を設置して所有し、家庭はその電気を買う仕組み。初期費用がかからない代わりに設備は自分のものではない。 用語集で見る

出典