太陽光の訪問販売が来たとき 契約前に確認する5点

その場で契約せず、見積書の内訳と会社の所在地・許可を確かめ、他社の見積りと並べてから決めます。訪問販売はクーリング・オフの対象で、書面を受け取った日から数えて8日以内なら撤回できます。

足場を組んで太陽光パネルを設置中の住宅(上空から)
屋根の上は住んでいる人からは見えない。だからこそ、点検を名目にした勧誘が起きやすい。
目次
  1. 訪問販売が来たとき、まず何をするか
  2. 相談は増えている、という事実
  3. 契約前に確認する5点
  4. 1 その場で契約しない クーリング・オフという逃げ道
  5. 2 見積書は、内訳が分かれているかを見る
  6. 3 補助金は誰が、いつ申請するのか
  7. 4 会社の所在地、許可、保証の主体
  8. 5 同じ条件で、ほかの見積りと並べる
  9. 迷ったときの相談先

訪問販売が来たとき、まず何をするか

その場では契約しません。玄関先で決めなくても、話が本当に良いものなら数日後も良いままです。会社名と用件を聞き、資料と見積書を置いてもらうところまでで一度切ります。

図1 玄関先での最初の5分
事業者が先に告げる3つ
1つめ会社の名称
2つめ勧誘が目的であること
3つめ売る商品の種類
こちらがする3つ
1つめ会社名と用件を聞く
2つめその場では決めない
3つめ資料と見積書をもらう
事業者側の3つは特定商取引法が課している義務。出典:消費者庁「訪問販売|特定商取引法ガイド」。

訪問販売そのものは違法な商売ではありません。特定商取引法(訪問販売や通信販売など、トラブルの起きやすい取引を規制する法律)が定める正規の販売形態のひとつで、そのぶん事業者側にいくつもの義務が課されています。

事業者側の3つを名乗らずに話を始める相手は、その時点で法律の求める形を外しています。こちらの3つまでで一度切れば、あとから落ち着いて判断する材料が手元に残ります。

相談は増えている、という事実

太陽光発電システムの点検商法に関する相談は、2022年度154件、2023年度304件、2024年度613件と2年続けて前年度の約2倍になりました。契約当事者の平均年齢は69.1歳です。

図2 点検商法の相談件数と、契約した人の年代
相談件数の推移(件・年度)
57
2017
59
2018
53
2019
62
2020
90
2021
154
2022
304
2023
613
2024
契約当事者の年代(平均69.1歳)
70歳代
39.0%
212件
80歳代以上
20.0%
109件
年代は2024年度の相談613件のうち不明等を除く544件が母数。70歳以上で約59.0%。相談件数は2025年3月31日時点の登録分。出典:国民生活センター「太陽光発電システムの点検商法が急増!」(2025年6月4日)。

国民生活センターは2025年6月4日、「太陽光発電システムの点検商法が急増!」という報道発表を出しました。「点検が義務化された」「火災事故が発生している」などと不安をあおり、無料点検から高額な契約に誘導する手口が挙げられています。

屋根の上は住んでいる人には見えません。「傷んでいますよ」と言われても、その場では確かめようがない、という構図が下敷きにあります。

蓄電池も同じ流れです。国民生活センターは2021年6月に「家庭用蓄電池の勧誘トラブルにご注意!」を出しており、相談件数は2016年度325件から2020年度1,314件へ増えていました。

契約前に確認する5点

その場で契約しない、見積書の内訳を見る、補助金の申請主体と時期を確かめる、会社の所在地と許可を調べる、他社の見積りと並べる。この5つです。

図3 契約前に確認する5点
1その場で契約しない署名も押印もしない
2見積書の内訳機器・工事・諸経費の別
3補助金の主体と時期誰がいつ申請するか
4会社と許可所在地・登録・保証
5相見積り同じ条件で2〜3社
国民生活センターのアドバイスも「その場で契約しない」「複数社から見積もりを取る」を柱にしている。

5つに共通しているのは、どれも玄関先ではできないということです。だから1つめが「その場で契約しない」になります。

1 その場で契約しない クーリング・オフという逃げ道

訪問販売は、法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内なら、理由を問わず申込みの撤回や契約の解除ができます。ただし、はじめから使わずに済むほうが手間はかかりません。

図4 クーリング・オフの数え方と手順
1書面を受け取る契約日ではなくこの日が1日目
28日目まで出せば足りる。届く日ではない
3通知を出す書面・メール・FAX・専用フォーム
4控えを残す送信日時が分かる記録
出典:消費者庁「訪問販売|特定商取引法ガイド」「電磁的記録によるクーリング・オフに関するQ&A」。

数えはじめは契約日ではなく、法律で決められた書面を受け取った日です。特定商取引法ガイドには、その日から数えて8日以内であれば申込みの撤回・契約の解除ができる、と書かれています。

通知の方法は紙に限りません。消費者庁のQ&Aは電子メール・FAX・事業者の専用フォームなどを挙げ、事業者が通知方法を一方的に不合理なものに限定することは認められないとしています。

書面の中身にも決まりがあります。クーリング・オフの事項は赤枠の中に赤字で書き、字体は8ポイント以上。これらが欠けた書面が出てくるなら、それ自体が事業者側の義務違反です。

2 見積書は、内訳が分かれているかを見る

総額しか書かれていない見積書は比較ができません。機器、工事、諸経費が分かれているかどうかを最初に見ます。分けられない理由を説明できない相手は、それ自体が判断材料です。

図5 見積書で見る6つの欄
1機器の型番メーカー名と型番
2出力と容量kWとkWhの数字
3工事費設置・電気・足場の別
4諸経費何に対する費用か
5保証メーカーか販売店か
6会社の表示住所・電話・代表者氏名
6は特定商取引法が書面の記載事項として求めている項目。蓄電池の容量は初期実効容量か定格容量かの別も見る。

「工事一式◯◯万円」とだけ書かれた見積書では、高いのか安いのかを確かめようがありません。他社と比べようにも、何と何を比べているのかが分からないからです。

特定商取引法が書面に住所や電話番号を求めているのは、後から連絡が取れる状態を保つためです。住所がなく携帯電話の番号しかない見積書なら、その場で理由を聞いてかまいません。

3 補助金は誰が、いつ申請するのか

補助金は「先に工事をして後から申請」ではありません。多くの制度は交付決定の前に着工すると対象外になります。誰が申請するのか、いつ工事を始めるのかを、契約前に紙で確かめてください。

図6 訪問を受けてから決めるまでの時間の流れ
当日
訪問を受ける
会社名と用件を確認。契約はしない
数日
見積書を読む・調べる
内訳、型番、会社の所在地と許可、補助金の締切
翌週
他社の見積りを取る
同じ容量・同じ条件でそろえて依頼する
その後
契約 → 交付申請 → 交付決定 → 着工
交付決定の前に着工すると対象外になる制度が多い
8日
クーリング・オフ期間
契約した後でも、書面受領日から数えて8日以内なら撤回できる
補助金の締切が近いことは、その場で契約する理由にはならない。締切の日付は制度の公式ページで確かめられる。

補助金は勧誘の場で使われやすい材料です。国のDR家庭用蓄電池事業では、交付申請と審査を経た交付決定のあとに発注・設置へ進みます。SII(環境共創イニシアチブ。国の補助事業を実施する団体)は「交付決定となったことを確認できたら、補助事業に着手可能となります」としています。

「今月の締切に間に合わないから今日決めてほしい」と言われたら、その締切を自分で確かめてください。受付期間は制度の公式ページに載っており、間に合わなければ次の期を待てば済む話です。

4 会社の所在地、許可、保証の主体

住宅の太陽光工事は、金額によっては建設業の許可がなくても請け負えます。だからこそ、電気工事業の登録の有無や、保証を誰が引き受けるのかを確かめる意味があります。

図7 建設業の許可と、電気工事業の登録
建設業の許可
対象建築一式以外の工事
500万円未満なら軽微な工事。許可は不要
読み方無くても違法ではない
電気工事業の登録
義務営業所と施工場所に標識を掲示
記載氏名または名称と登録番号
読み方登録番号を聞けば分かる
出典:国土交通省「建設業の許可とは」、経済産業省 関東東北産業保安監督部の登録電気工事業者の案内。

国土交通省の説明によれば、建築一式工事以外では請負代金500万円未満の工事は軽微な建設工事とされ、建設業の許可がなくても請け負えます。許可がないこと自体は違法ではありません。

電気工事業法は、営業所と施工場所ごとに、見やすい場所へ氏名または名称と登録番号などを記載した標識を掲げなければならないと定めています。

保証を誰が引き受けるのかも同時に確かめます。販売店独自の保証は、その会社が続いていることが前提になります。

5 同じ条件で、ほかの見積りと並べる

国民生活センターのアドバイスにも「複数社から見積もりを取る」が入っています。並べるときは、容量も機器も工事範囲もそろえないと比べたことになりません。

図8 見積りを並べる前にそろえる4つ
1太陽光の出力kWの数字をそろえる
2蓄電池の容量kWhの数字をそろえる
3工事の範囲足場・撤去・分電盤
4保証の年数年数と対象をそろえる
ここがずれていると、金額だけを見比べても意味がない。「今日決めれば値引き」を含む見積りは、値引き前の金額で並べる。

相見積りは値切るための手段ではなく、相場を知るための手段です。1社の見積書だけでは、その数字が妥当なのかは分かりません。2社、3社と並べてはじめて、どこに何がかかるのかの形が見えてきます。

迷ったときの相談先

消費者ホットライン188に電話すると、住んでいる地域の消費生活センターや相談窓口を案内してくれます。契約してしまった後でも、契約前の段階でもかまいません。

図9 相談するときの流れ
1書類を集める契約書・申込書・見積書
2188に電話する局番なし。近くの窓口へ
3経緯を伝えるいつ何を言われたか
4期間内に手を打つ書面受領日から8日
通話料は相談窓口に接続された時点から発生する(消費者庁の案内による)。

188(いやや)は全国共通の番号で、消費者庁が案内しています。かけると地方公共団体が設置している身近な消費生活センターにつながり、原則として土日祝日も利用できます。つながらない場合は平日10時から16時のバックアップ相談(03-3446-0999)があります。

訪問を受けて迷っている段階でも、言われた内容が制度として成り立っているかを確かめる相談はできます。

太陽光や蓄電池を訪問販売で買った人が全員損をしているわけではなく、まじめに施工している会社もあります。線を引くのは販売形態ではなく、その場で決めるかどうかです。玄関先で数分話しただけの相手と、10年以上つきあう設備の契約を結ぶ必要はありません。

よくある質問

Q. 訪問販売で契約してしまいました。もう取り消せませんか
法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内であれば、申込みの撤回や契約の解除ができます。通知は書面のほか、電子メールやFAX、事業者のクーリング・オフ専用フォームなど電磁的記録でも可能です。日付が分かる形で送り、控えを残してください。
Q. 「点検が義務化された」と言われました。本当ですか
国民生活センターは2025年6月に「太陽光発電システムの点検商法が急増」として注意を呼びかけており、「点検が義務化された」などと言われても安易に契約せず、まず点検の要否を確認するよう案内しています。設置した会社やメーカーの窓口に、点検が必要な時期かどうかを直接聞くのが確実です。
Q. その場で断ったのに、また来られたらどうすればよいですか
特定商取引法では、消費者が契約締結の意思がないことを示したとき、その訪問時に勧誘を続けることも、その後あらためて勧誘することも禁止されています。断る意思をはっきり伝えたうえで、続くようなら消費者ホットライン188に相談してください。

この記事の用語

交付決定
補助金を出すという行政の正式な決定。通知書の日付が基準になり、これより前に工事を始めると対象外になる制度が多い。 用語集で見る
SII
国の補助事業の執行を担う一般社団法人。補助対象になる蓄電池の登録製品リストを管理している。 用語集で見る
DR
電力の需要と供給に合わせて、家庭の蓄電池などの充放電を調整する仕組み。国の蓄電池補助の参加条件になっていた。 用語集で見る
家庭用蓄電池
太陽光でつくった電気や夜間の安い電気をためて、必要なときに使う装置。停電時の備えにもなる。 用語集で見る
クーリング・オフ
訪問販売などで契約した後、書面を受け取った日から8日以内なら理由なく契約をやめられる制度。 用語集で見る

出典

発行元ページ名確認日
消費者庁訪問販売|特定商取引法ガイド2026年9月7日
消費者庁特定商取引法における電磁的記録によるクーリング・オフに関するQ&A2026年9月7日
国民生活センター太陽光発電システムの点検商法が急増!(2025年6月4日 報道発表資料)2026年9月7日
国民生活センター家庭用蓄電池の勧誘トラブルにご注意!(2021年6月3日 発表情報)2026年9月7日
国民生活センター太陽光発電|消費者トラブルFAQ2026年9月7日
国民生活センター2025年度 全国の消費生活相談の状況−PIO-NETより−2026年9月7日
消費者庁消費者ホットライン2026年9月7日
国土交通省建設業の許可とは2026年9月7日
経済産業省 関東東北産業保安監督部登録電気工事業者として登録申請を行う場合2026年9月7日
環境共創イニシアチブ(SII)令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業 申請手続き詳細2026年9月7日