蓄電池の容量は何kWhがいいか 1日の使用量と余る電気で決める

容量は夜に使う電気・昼に余る太陽光の電気・停電時に使う電気の3つで考えます。環境省の統計では、戸建てが買う電気は平均で1日約13.5kWh、太陽光の家が売る電気は平均で1日約10.8kWhです。

日没後、屋根に太陽光パネルと外壁沿いに蓄電池を備え、窓に明かりがともる架空の住宅
太陽光と蓄電池のある住宅の夕方から夜の暮らしを表現したAI生成画像。住宅と周囲の街並みは架空です。※画像はイメージです。
目次
  1. 容量は3つの量で決まる
  2. 1日に使う電気は、家族の人数で変わる
  3. 太陽光のある家は、平均で1日約10.8kWhを売っている
  4. 蓄電池を使う家と、出荷されている容量
  5. 補助は、容量で増える枠と定額の枠がある
  6. 容量を決める前に確かめる4つのこと

容量は3つの量で決まる

蓄電池の容量(kWh)は、夜に使う電気の量、昼に余る太陽光の電気の量、停電時に使いたい電気の量の3つで考えます。3つのうち小さい量に合わせるか大きい量に合わせるかで、選ぶ容量が変わります。

図1 容量を考える3つの量
1夜に使う電気発電が止まったあとに家で使う量
2昼に余る電気太陽光で発電し、使いきれずに売っている量
3停電時に使う電気停電の間に動かしたい家電と時間
kWhは「ためられる電気の量」、kWやkVAは「一度に使える電気の大きさ」を表す。この記事は量(kWh)の考え方を扱う。

資源エネルギー庁は2026年10月8日の解説で、家庭用蓄電池の分かりやすいメリットとして電気代の削減を挙げ、太陽光発電を設置している家では、昼に発電した電気をためて夜や朝に使い、電力会社から買う電気を減らせることを挙げています。もうひとつのメリットは、地震や台風で電気が止まったときの備えです。

夜に使う量より大きな容量を入れても、毎日使い切れずに残ります。太陽光だけで充電する場合、昼に余る量が容量より少ない日は満たせません。この2つの量を知ってから、停電への備えとして上乗せするかを考えるのが、編集部のすすめる順番です。

1日に使う電気は、家族の人数で変わる

環境省の統計では、集合住宅を含む全世帯が1年に使う電気(電力会社から買った分)は平均で3,911kWh、1日にすると約10.7kWhです。世帯人数別に換算すると、1人世帯は1日約6.6kWh、4人世帯は約15.7kWhでした。

図2 世帯人数別の1日あたりの電気の使用量(令和5年度・全国、kWh/日)
1人
6.6
年約2,417kWh
2人
10.9
年約3,972kWh
3人
14.1
年約5,139kWh
4人
15.7
年約5,722kWh
5人
17.7
年約6,444kWh
6人以上
24.6
年約8,972kWh
環境省「家庭部門のCO2排出実態統計調査」資料編(確報値)図1-62の世帯人数別の電気の消費量(1人8.7GJ、2人14.3GJ、3人18.5GJ、4人20.6GJ、5人23.2GJ、6人以上32.3GJ)を、1kWh=3.6MJで編集部がkWhに換算し、365日で割った値。戸建てと集合住宅を合わせた全国の平均で、太陽光で発電して自分で使った電気は含まない。

同じ統計で、関東甲信の1世帯の電気の使用は年3,600kWhで、全国平均の3,911kWhより少なくなっています。電気の使用が最も多いのは北陸の5,300kWhで、環境省は、地方によって気候などが異なり、使われるエネルギーの種類にも差があるとしています。

図3 1世帯の電気の使用量(令和5年度)
全国平均
3,911
kWh/年
1日約10.7kWh
>
関東甲信
3,600
kWh/年
1日約9.9kWh
出典:環境省「家庭でのエネルギー消費量について」(資料編(確報値)図1-72)。1日あたりの値は年の値を365日で割った編集部の計算。集合住宅を含む全世帯の平均で、太陽光で発電して自分で使った電気は含まない。同じ統計の戸建ての電気は年17.74GJ(約4,928kWh、1日約13.5kWh)。

この数字は昼と夜を合わせた1日の量で、そのうち夜に使う分がどれだけかは統計からは分かりません。共働きで昼に家にいない家は夜と朝の割合が高く、在宅の時間が長い家は昼の割合が高くなります。自分の家の時間帯別の使用量は、電力会社の会員ページなどで確かめられる場合があります。

太陽光のある家は、平均で1日約10.8kWhを売っている

環境省の統計では、太陽光を使う世帯は年5,800kWhを発電し、3,953kWhを売っています。1日にすると約10.8kWhが、家で使われずに外へ出ている電気で、蓄電池にためられる候補になります。

図4 太陽光を使う世帯の1年の発電と売電(令和5年度・1世帯あたり)
発電量
平均5.0kW
5,800kWh
−
売電量
1日約10.8kWh
3,953kWh
=
家で使った分
1日約5.1kWh
1,847kWh
発電量・売電量・平均の容量は、環境省「家庭部門のCO2排出実態統計調査」資料編(確報値)図2-95〜2-97の使用世帯あたりの値。家で使った分と1日あたりの値は、編集部が引き算と365日の割り算をした値。
スレート屋根に沿って設置された太陽光パネル
スレート屋根に沿って設置された太陽光パネルの実際の設置例。

統計の平均では、発電した電気の3分の2ほどを売っています。蓄電池があれば、この売っている電気の一部を夜に回せます。ただし売電量は季節で大きく変わるため、1年の平均だけで容量を決めると、冬に満たせない日が増えます。

図5 太陽光を使う世帯の1日あたりの売電量(kWh/日)
5月最も多い月
14.6
月453kWh
1年の平均
10.8
年3,953kWh
1月最も少ない月
7.3
月225kWh
月の売電量(2023年5月453kWh、2024年1月225kWh)と年の売電量を、編集部が月の日数(31日)と365日で割った値。2月も月225kWhで、1月と並んで最も少ない。出典:環境省「太陽光発電システムについて」(資料編(確報値)図2-97・図2-99)。

環境省は、売電量は5月に最も多く、1月と2月に最も少ないとしています。1月の売電量は5月の半分ほどで、冬は余る電気が少なくなります。月ごとの発電量は太陽光の容量の記事で図にしています。

蓄電池を使う家と、出荷されている容量

環境省の統計では、家庭用蓄電システムを使う世帯は戸建てで3.7%、2021年以降に建った住宅では7.3%です。日本電機工業会の統計では、2025年度の出荷は6〜10kWh未満が55.8%で最も多くなっています。

図6 家庭用蓄電システムの使用率(令和5年度・全国)
2021年以降に建った住宅
7.3%
建築時期別
5人世帯
6.5%
世帯人数別
戸建て全体
3.7%
建て方別
全体
2.0%
集合住宅を含む
出典:環境省「家庭部門のCO2排出実態統計調査」資料編(確報値)図2-124〜2-126。世帯人数別は1人0.5%、2人1.7%、3人3.3%、4人4.4%、5人6.5%、6人以上6.6%。関東甲信は1.8%。

同じ統計で、蓄電システムを使う世帯の割合は、世帯人数が多いほど高く、建てた時期ではおおむね新しい住宅ほど高くなっています(2011〜2015年の2.7%は2006〜2010年の3.3%より低い)。

図7 2025年度に出荷された蓄電システムの容量帯別の割合(台数)
3〜6kWh未満
5.6%
8,612台
6〜10kWh未満
55.8%
85,775台
10〜20kWh未満
38.0%
58,376台
棒の長さは55.8%を100%とした比。20〜30kWh未満は非公表、30kWh以上は44台(0.03%)。用途別の区分はなく、家庭用だけの集計かどうかは示されていない。日本電機工業会の蓄電システム業務専門委員会の参加企業14社の集計。出典:日本電機工業会(JEMA)「蓄電システム自主統計 2025年度出荷実績」。

日本電機工業会の統計によると、2025年度に出荷された系統連系型(電力会社の送配電網につないで使う型)の平均容量は10.06kWhでした。出荷の多い容量は全体の傾向で、自分の家の夜の使用量や余る電気の量と同じとは限りません。カタログの容量の種類(定格容量と初期実効容量)は家庭用蓄電池の記事にまとめています。

補助は、容量で増える枠と定額の枠がある

東京都の助成は蓄電容量1kWhあたり10万円で、DR実証に参加しない場合は1戸120万円が上限です。国のみらいエコ住宅2026事業(リフォーム)は、設置台数によらず1戸96,000円です。

図8 東京都の蓄電池の助成額の計算例(令和8年度・DR実証に参加しない場合)
10kWh
100万円
10kWh×10万円
12kWh
120万円
上限に届く
15kWh
120万円
上限で止まる
単価10万円/kWhと上限120万円/戸はクール・ネット東京「家庭における蓄電池導入促進事業」(令和8年度)の公表値。容量ごとの金額は編集部の計算。実際の助成額は助成対象経費(税抜)が上限で、国や他の自治体の補助を差し引いた経費で計算する。令和8年10月1日以降の事前申込は、令和8年度にSIIが登録した機器に限る(4月1日〜6月30日に契約した事業などを除く)。

東京都の助成は、DR実証(電気の需給に合わせて充放電を調整する取り組み)に参加すると、1台あたり10万円または15万円が加算されます。東京都の蓄電池の助成は、太陽光が既にあるか蓄電池と同時に設置する場合、または再生可能エネルギー電力メニューを契約済みの場合が対象です。国のみらいエコ住宅2026事業は、窓などの開口部の断熱改修を含む決められた組み合わせの工事(要件化工事)と一緒に行うリフォームが対象で、蓄電池は設置台数によらず定額です。国の枠は、登録された「みらいエコ住宅事業者」が申請を代行し、原則として平成28年12月31日以前に建った住宅が対象です。受付状況は国の補助金の記事と東京都の補助金の記事で確かめてください。

容量が変わると、1kWhあたりの価格も変わります。国の資料で見た価格の目安は、太陽光と蓄電池の価格の記事にまとめています。

容量を決める前に確かめる4つのこと

夜に使う電気の量、太陽光の売電量、停電時に使いたい家電、補助の条件の4つを順に確かめます。見積りの容量が、この4つのどれに合わせた数字なのかを、販売する事業者に聞いて確かめます。

図9 容量を決める前の確認の順番
1夜の使用量検針票や時間帯別の使用量で確かめる
2売電量太陽光のある家は、月ごとの売電の明細を見る
3停電時の使い方全負荷型か特定負荷型か、出力(kVA)も見る
4補助の条件対象機器と上限額を契約前に確かめる
東京都の助成は、原則として業者と契約する前に事前申込が要る(令和8年4月1日〜6月30日の契約などの例外あり)。国・都とも、SIIに登録された機器であることが条件(登録の年度の範囲は国と都で異なる)。

太陽光がない家では、蓄電池にためる電気は電力会社から買った電気になります。この場合は、夜の使用量と停電時に使いたい量が、容量を考える物差しになります。太陽光がある家は、編集部の考え方では、夜の使用量と売電量を並べ、小さい方に合わせるか、停電の備えとして上乗せするかを決めるのが一つの方法です。

停電時に何がどれだけ使えるかは、容量だけでなく、一度に出せる電気の大きさと、電気を送る範囲で決まります。太陽光発電協会によると、太陽光だけの家でも、自立運転機能に切り替えれば専用のコンセント(自立運転用コンセント)で電気を使えます。なお、蓄電池がない場合、発電していない夜などは使えません。蓄電池を後から足す場合の型と手続きは、蓄電池の後付けの記事で図にしています。

夜の室内で、照明のもとスマートフォンに充電ケーブルをつなぐ手元
停電への備えとして、夜に照明とスマートフォンの充電を使う場面を表現したAI生成画像。停電時に使える機器やコンセントは、蓄電池の機種・配線・設定によって異なります。※画像はイメージです。
数字についての注記
※電気の使用量・発電量・売電量は、環境省「家庭部門のCO2排出実態統計調査」(令和5年度・確報値)の平均値です。1日あたりの値と、世帯人数別のkWhへの換算(1kWh=3.6MJ)は編集部が計算しました。個々の家の量は、暮らし方・地域・機器で変わります。
※東京都の助成額の計算例は、令和8年度の公表単価から編集部が計算した値です。実際の助成額は助成対象経費(税抜)が上限になり、対象機器の条件を満たす必要があります。
※記事の数字は、個々の家に合う容量や金額を保証するものではありません。

よくある質問

Q. 4人家族なら、蓄電池は何kWhあればいいですか
環境省の統計を編集部が換算すると、4人世帯の電気の使用は1日約15.7kWhです。ただしこれは昼の分も含む全世帯(集合住宅を含む)の平均で、太陽光で発電して自分で使った電気は含みません。蓄電池で賄うのは主に夜の分です。夜にどれだけ使うかは家ごとに違うため、検針票や電力会社の時間帯別の使用量で確かめてから、見積りの容量と比べます。
Q. 容量は大きいほど得ですか
そうとは限りません。環境省の統計では、太陽光のある家が売っている電気は1日平均約10.8kWhですが、1月は約7.3kWhまで減ります。東京都の助成も、DR実証に参加しない場合は1戸120万円が上限のため、10万円/kWhで計算すると12kWhで上限に届きます。
Q. 停電のときに使える電気は、容量だけで決まりますか
容量はためられる量で、一度に使える量は停電時の出力(kVA)で決まります。停電時に家全体へ送る全負荷型か、決めた回路だけへ送る特定負荷型かでも、使える範囲が変わります。太陽光だけの家でも、太陽光発電協会によると自立運転機能に切り替えれば、専用のコンセント(自立運転用コンセント)で電気を使えます。なお、蓄電池がない場合、発電していない夜などは使えません。

この記事の用語

kW
発電設備の出力の大きさを表す単位。「4kWの太陽光」はこの値。パネル1枚は0.4〜0.5kW程度で、戸建てでは3〜6kWが多い。 用語集で見る
kWh
電気の量を表す単位。蓄電池の容量(何kWhためられるか)や、1か月に使った電力量に使う。1kWの機器を1時間動かすと1kWh。 用語集で見る
初期実効容量
蓄電池が導入時点で実際に充放電に使える容量。カタログの定格容量より小さい。補助金の計算にこの値を使う自治体がある。 用語集で見る
系統連系
発電設備や蓄電池を電力会社の送電網につなぐこと。つないで初めて売電や買電ができる。 用語集で見る
DR
電力の需要と供給に合わせて、家庭の蓄電池などの充放電を調整する仕組み。国の蓄電池補助の参加条件になっていた。 用語集で見る
売電
発電した電気を電力会社などに売ること。単価は制度と時期で決まる。 用語集で見る
家庭用蓄電池
太陽光でつくった電気や夜間の安い電気をためて、必要なときに使う装置。停電時の備えにもなる。 用語集で見る
定格容量
カタログに書かれた蓄電池の容量。実際に使える量(初期実効容量)はこれより少ない。 用語集で見る

出典

発行元ページ名確認日
環境省家庭でのエネルギー消費量について|家庭部門のCO2排出実態統計調査2026年10月18日
環境省太陽光発電システムについて|家庭部門のCO2排出実態統計調査2026年10月18日
環境省令和5年度 家庭部門のCO2排出実態統計調査 資料編(確報値)(PDF)2026年10月18日
資源エネルギー庁知っているようで知らない「蓄電池」——なぜ今、導入が広がっているの? どんな役割があるの?(2026年10月8日)2026年10月18日
一般社団法人 日本電機工業会(JEMA)蓄電システム自主統計 2025年度出荷実績(PDF)2026年10月18日
クール・ネット東京(東京都環境公社)令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業2026年10月18日
みらいエコ住宅2026事業事務局(国土交通省)エコ住宅設備の設置【リフォーム】2026年10月18日
みらいエコ住宅2026事業事務局(国土交通省)対象要件の詳細【リフォーム】2026年10月18日
一般社団法人 太陽光発電協会(JPEA)停電時でも電気が使えます2026年10月18日