家庭用蓄電池とは 4つの型とカタログの数字の見方

家庭用蓄電池は、太陽光の電気や買った電気をためて夜や停電時に使う機器です。停電時に家全体へ送る全負荷型と一部だけの特定負荷型、変換機器の持ち方で単機能型とハイブリッド型に分かれます。

太陽光パネルのある住宅の外壁沿いで、コンクリート基礎の上に据え付けられた家庭用蓄電池
家庭用蓄電池は住宅の屋外にも据え付けられます。※画像はイメージです。
目次
  1. 家庭用蓄電池は、電気をためて後で使う機器
  2. 蓄電システムの出荷は年15万台、平均は約10kWh
  3. 停電時に電気を送る範囲で2つに分かれる
  4. 変換機器の持ち方で2つに分かれる
  5. カタログで確かめる3つの数字
  6. 選ぶ前に確かめること

家庭用蓄電池は、電気をためて後で使う機器

家庭用蓄電池は、充電してくり返し使える電池(二次電池)を家に置く機器です。太陽光の余った電気や夜の電気をためて、夜や停電したときに使えます。

図1 資源エネルギー庁が挙げる蓄電池の役割
1あまった電気をためる太陽光の電気を夜に使う
2防災に役立てる停電時の非常用電源
3ピークシフト使用が集中する時間帯にためた電気を使う
4電力系統の安定家庭の蓄電池を束ねて使う取り組みも
出典:資源エネルギー庁「知っておきたいエネルギーの基礎用語 ~『蓄電池』は次世代エネルギーシステムの鍵」。同ページが挙げる役割のうち、家庭に関わる4つを編集部が選んだ。

資源エネルギー庁は、蓄電池を「充電をおこなうことで電気をたくわえ、くり返し使用することができる電池」と説明しています。スマートフォンの電池と同じ仲間で、家に据え付ける大きなものが家庭用蓄電池です。

同庁は2017年の解説で、住宅用太陽光の固定価格での買取期間が終わると、売電中心の使い方から、蓄電池を使って自宅で消費する使い方へ移っていくと見ていました。停電時には、ためた電気で自立的に電気をまかなえるとも説明しています。

家庭の蓄電池は、自分の家のためだけの機器にとどまりません。同庁は、電力系統(発電や送電などの設備全体)を安定させる取り組みとして、VPP(仮想発電所)のように家庭やオフィスの蓄電池を活用することも考えられると説明しています。

太陽光がない家に蓄電池だけを置くこともできます。東京都の助成も、再生可能エネルギーの電力メニューを契約している場合に限って、蓄電池だけの設置を対象にしています。オムロン ソーシアルソリューションズの製品案内では、太陽光の電気をためて朝や夜に使えるほか、夜間の電気が安いプランなら夜間の電気をためて使うこともできると説明しています。太陽光の仕組みは太陽光発電の仕組みの記事にまとめています。

蓄電システムの出荷は年15万台、平均は約10kWh

日本電機工業会(JEMA)の統計では、2025年度の出荷は15.4万台、累計は113.6万台です。1台あたりの平均容量は10.06kWhで、台数では6〜10kWh未満がいちばん多く出荷されています。

図2 定置用リチウムイオン蓄電システム(系統連系型)の出荷台数(万台)
1.2
2013
2.7
2015
4.2
2017
10.5
2019
12.3
2021
15.6
2023
15.9
2024
15.4
2025
年度の値。JEMA公表の台数(2013年度12,318台、2015年度27,433台、2017年度42,424台、2019年度104,767台、2021年度123,046台、2023年度156,079台、2024年度158,852台、2025年度153,645台)を万台に丸めた。参加14社の集計で、家庭用のほか業務用・産業用も含む。出典:JEMA「蓄電システム自主統計 2025年度出荷実績」。

日本電機工業会の報告によると、2025年度の出荷は15.4万台で前年度の97%、出荷容量は154.5万kWhでした。この統計は会員企業14社の集計で、家庭用だけでなく業務用・産業用も含みます。

ここでの系統連系型は、電力会社の電線につないで使う型のことです。JEMAの調査概要では、統計の対象を蓄電容量1kWh以上の定置用の蓄電システムとし、電線につながないスタンドアロン型と系統連系型に分けています。統計開始からの累計は、台数で113.6万台、容量で956.8万kWhになりました。

図3 2025年度に出荷された台数の容量帯別の割合
3〜6kWh未満
5.6%
8,612台
6〜10kWh未満
55.8%
85,775台
10〜20kWh未満
38.0%
58,376台
30kWh以上
0.03%
44台
棒の長さは55.8%を100%とした比。20〜30kWh未満は、対象社数が3社に満たないため非公表。表に載っている帯を合わせると全体の99.4%。出典:JEMA「蓄電システム自主統計 2025年度出荷実績」の「容量帯別の傾向(台数ベース)」。

JEMAの統計では、平均容量は2016年度の7.09kWhから増え、2025年度は10.06kWhになりました。容量ベースで見ると、これまでいちばん多かった6〜10kWh未満に代わり、2025年度は10〜20kWh未満が最も多くなりました。出荷の平均はあくまで全体の傾向で、家族の人数や停電への備え方によって、それぞれの家に合う容量は変わります。

停電時に電気を送る範囲で2つに分かれる

停電したときに家じゅうへ電気を送るのが全負荷型、あらかじめ決めた回路だけに送るのが特定負荷型です。全負荷型には200Vの家電も使える製品があり、特定負荷型は電気を細く長く使えます。

図4 全負荷型と特定負荷型
停電時に4つの部屋へ電気を送れる範囲を明るく示した家の断面
全負荷型
家じゅうへ送る(200V対応の製品も)
停電時に台所の回路だけへ電気を送る例を示した家の断面
特定負荷型
決めた回路だけに送る
停電時に電気を送れる範囲の例。全負荷でも同時に使える電力には上限があり、特定負荷の対象回路は設計で決まります。※画像はイメージです。

オムロン ソーシアルソリューションズの製品案内では、全負荷型は停電時でもエアコンやIH調理器など200Vの家電を使え、普段どおりの生活ができると説明しています。特定負荷型は、給電先を限ることで電気の使いすぎを防ぎ、細く長く使えるとしています。

ただし全負荷型でも、一度に出せる電気には上限があります。同社は、全負荷対応型の説明に付けた注記で、この製品の停電時の出力は4kVAのため、発電状況によって使える家電が制限される場合があるとしています。どこまで使えるかは、停電時の出力の数字で確かめます。

型は製品ごとに決まっているとは限りません。ニチコンは、単機能型の一部の製品で、停電時に全負荷で接続するか特定負荷で接続するかを選べると案内しています。同じ製品でも、設置のときの配線で使える範囲が変わるということです。

変換機器の持ち方で2つに分かれる

蓄電池専用の変換機器を持つのが単機能型、太陽光と蓄電池の変換を1台にまとめたのがハイブリッド型です。JEMAの統計では、2025年度に出荷された蓄電システム用パワコンの89.7%が、太陽光も直接つなげるタイプでした。

図5 単機能型とハイブリッド型
太陽光用と蓄電池用のパワコンを別々に設け、分電盤を介して充電・放電する構成図
単機能型
今ある太陽光に蓄電池を後から足す
太陽光と蓄電池を1台のハイブリッド型パワコンにつなぐ構成図
ハイブリッド型
太陽光と蓄電池を1台で変換する
青は太陽光からの給電、橙(オレンジ)は蓄電池への充電、緑は蓄電池からの放電です。単機能型の充電は太陽光パネル→太陽光用パワコン→分電盤→蓄電池用パワコン→蓄電池、放電は蓄電池→蓄電池用パワコン→分電盤の順で、2台のパワコンは直接つながっていません。充電と放電は別々の場面を1枚に並べています。線は電気の流れを示す模式表現で、実際の配線ではありません。機器の数だけで価格や性能の良し悪しは判断できません。※画像はイメージです。

オムロン ソーシアルソリューションズは、単機能型を、今ある太陽光発電システムはそのままに、蓄電池だけを後から付けられる型と説明しています。ニチコンも、単機能型を既設の太陽光に併設できる型、ハイブリッド型を新築やこれから太陽光を買う人向けの型として案内しています。

停電中に太陽光で蓄電池を充電するときの動きも、型や機種で違います。ニチコンは、単機能型の ESS-U5 シリーズでは停電時も太陽光の自立運転への切り替えなしで充電できると案内しています。同社の販売を終えた製品には、太陽光の自立運転への切り替えが手動になるものもありました。停電が長引いたときに昼の発電をどう使うかは、見積りの段階で確かめておきます。

図6 2025年度に出荷された蓄電システム用パワーコンディショナの内訳
シングル(蓄電池だけをつなぐ)
15,768台
単機能型に近い(編集部の整理)
/
マルチ(蓄電池と太陽光をつなぐ)
137,877台
全体の89.7%
JEMAは「シングル」を蓄電池のみが直接接続可能な機器、「マルチ」を蓄電池と太陽光発電が直接接続可能な機器と定義している。単機能型・ハイブリッド型との対応づけは編集部による。出典:JEMA「蓄電システム自主統計 2025年度出荷実績」。

JEMAの報告によると、マルチの比率は2016年度にシングルを上回り、その後も増えています。電気自動車ともつなげる型もあり、ニチコンは太陽光・蓄電池・電気自動車の電池を1台で制御する型を「トライブリッド」と呼んでいます。車とのつなぎ方はV2Hの記事で扱っています。

カタログで確かめる3つの数字

容量(kWh)、実際に使える容量(初期実効容量)、停電時に一度に出せる電気(kVA)の3つを見ます。国や都の補助は、登録された機器と容量を基準に計算されます。

図7 カタログの3つの数字
どれだけためられるか
定格容量kWh
初期実効容量kWh
一度にどれだけ使えるか
停電時の出力kVA
200Vの家電使えるか
初期実効容量は、補助の計算で使われる、導入時点で実際に使える容量を表す値。停電時の出力は、機種によって「自立運転出力」などと書かれている。

容量はためられる量、出力は一度に使える量です。容量が大きくても、停電時の出力を超える分の家電を同時に動かすことはできません。

容量にも2つの書き方があります。定格容量はカタログに書かれた容量で、初期実効容量は、補助の計算で使われる、導入時点で実際に使える容量を表す値です。補助金の計算には初期実効容量を使う制度もあるため、見積りに書かれた容量がどちらなのかを確かめます。

図8 補助の計算に使われる機器と容量の例
国(令和7年度補正・受付終了)
基準額3.45万円/kWh
計算に使う容量初期実効容量
上限60万円/申請
東京都(令和8年度・受付中)
助成額10万円/kWh
計算に使う容量蓄電容量
上限(DR実証なし)120万円/戸
国はSII「令和7年度補正 家庭用蓄電システム導入支援事業」(補助率3/10以内。2026年5月29日に予算に達して公募終了)。東京都はクール・ネット東京「家庭における蓄電池導入促進事業」で、助成対象経費(税抜)が上限。いずれもSIIに登録された機器が対象で、東京都は令和8年10月1日以降の事前申込では令和8年度にSIIが登録した機器に限る(4月1日〜6月30日の契約分などを除く)。

国の事業は、SIIに登録された機器であることや、安全規格(日本産業規格 JIS C 8715-2 など)の類焼試験に適合している証明を求めていました。都の事業も、SIIが登録した機器だけを対象にしています。令和8年10月1日以降に事前申込をする場合は、令和8年度にSIIが登録した機器に限られます(令和8年4月1日から6月30日までに契約した事業などを除く)。金額や受付状況は国の補助金と東京都の補助金の記事で確かめてください。

選ぶ前に確かめること

太陽光があるか、停電時にどこで使いたいか、どれだけためて一度にどれだけ使うか、補助の条件に合う機器か、の4点を順に確かめます。

図9 見積りの前に確かめる4つのこと
1太陽光はあるか単機能型かハイブリッド型か
2停電時にどこで使うか全負荷型か特定負荷型か
3どれだけ使うか容量(kWh)と出力(kVA)
4補助の対象か登録された機器か・容量の数え方
1と2で型が決まり、3で容量と出力の大きさが決まる。4は使う補助金の要件で確かめる。

家庭用蓄電池は、型と容量の組み合わせで値段も使い勝手も変わります。停電時に使いたい部屋と家電を書き出しておくと、全負荷型か特定負荷型か、どれだけの出力が要るかを販売店と話しやすくなります。

価格の目安は太陽光と蓄電池の価格の記事に、何年もつかは蓄電池の寿命の記事にまとめています。お住まいの都県の補助金の一覧もあわせて確かめてください。

金額についての注記
※本記事は 2026年9月27日時点 で公開されている制度の内容にもとづきます。制度は年度ごとに改定されます。
※いずれの制度も予算の上限に達した時点で受付が終了する場合があります。記事中で「受付中」としたものが、閲覧時点では終了していることがあります。
※実際の設置費用と補助額は、住宅の条件・選ぶ機器・施工会社によって異なります。記載の金額は制度上の単価や上限であり、受け取れる額を保証するものではありません。

よくある質問

Q. 太陽光がなくても家庭用蓄電池は使えますか
使えます。東京都の助成は、再生可能エネルギーの電力メニューを契約している場合に限って蓄電池だけの設置も対象にしています。メーカーの製品案内にも、夜間の電気が安いプランなら夜間の電気をためられるとの説明があります。ただし補助金は、太陽光との組み合わせや電力プランを条件にしている場合があるので、使う制度の要件を先に確かめます。
Q. 全負荷型と特定負荷型はどちらを選べばいいですか
停電したときにどこで電気を使いたいかで決めます。オムロン ソーシアルソリューションズの製品案内では、同社の全負荷型はエアコンやIH調理器など200Vの家電も含めて家じゅうに送れ、特定負荷型は送る先を限ることで細く長く使えます。停電時に使いたい部屋と家電を書き出してから見積りを取ると選びやすくなります。
Q. 容量は大きいほどいいのですか
大きいほど多くためられますが、価格も上がります。業界団体の統計(家庭用・業務用・産業用を含む)では、2025年度の出荷は6〜10kWh未満が55.8%、10〜20kWh未満が38.0%で、平均は10.06kWhでした。平均に合わせる必要はなく、夜や停電時に使いたい量と予算から決めます。

この記事の用語

kW
発電設備の出力の大きさを表す単位。「4kWの太陽光」はこの値。パネル1枚は0.4〜0.5kW程度で、戸建てでは3〜6kWが多い。 用語集で見る
kWh
電気の量を表す単位。蓄電池の容量(何kWhためられるか)や、1か月に使った電力量に使う。1kWの機器を1時間動かすと1kWh。 用語集で見る
初期実効容量
蓄電池が導入時点で実際に充放電に使える容量。カタログの定格容量より小さい。補助金の計算にこの値を使う自治体がある。 用語集で見る
SII
国の補助事業の執行を担う一般社団法人。補助対象になる蓄電池の登録製品リストを管理している。 用語集で見る
系統連系
発電設備や蓄電池を電力会社の送電網につなぐこと。つないで初めて売電や買電ができる。 用語集で見る
売電
発電した電気を電力会社などに売ること。単価は制度と時期で決まる。 用語集で見る
家庭用蓄電池
太陽光でつくった電気や夜間の安い電気をためて、必要なときに使う装置。停電時の備えにもなる。 用語集で見る
定格容量
カタログに書かれた蓄電池の容量。実際に使える量(初期実効容量)はこれより少ない。 用語集で見る

出典

発行元ページ名確認日
資源エネルギー庁知っておきたいエネルギーの基礎用語 ~「蓄電池」は次世代エネルギーシステムの鍵2026年9月27日
一般社団法人 日本電機工業会(JEMA)JEMA 蓄電システム自主統計 2025年度出荷実績(2026年6月5日)2026年9月27日
一般社団法人 日本電機工業会(JEMA)定置用リチウムイオン蓄電システム自主統計 調査概要2026年9月27日
オムロン ソーシアルソリューションズ株式会社マルチ蓄電プラットフォーム KPBP-Aシリーズ2026年9月27日
ニチコン株式会社単機能蓄電システム2026年9月27日
ニチコン株式会社ハイブリッド蓄電システム2026年9月27日
ニチコン株式会社家庭用蓄電システム 製品一覧2026年9月27日
東京都家庭における蓄電池導入促進事業 実施要綱(令和8年4月17日)2026年9月27日
一般社団法人 環境共創イニシアチブ(SII)令和7年度補正 家庭用蓄電システム導入支援事業 公募要領2026年9月27日
一般社団法人 環境共創イニシアチブ(SII)令和7年度補正 家庭用蓄電システム導入支援事業2026年9月27日
クール・ネット東京(東京都環境公社)令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業2026年9月27日