V2Hは、車から家へ電気を出せる設備
V2H(Vehicle to Home。車から家へ、の意味)は、電気自動車の電池から家に電気を送り、車に充電もできる設備です。電気を取り出すだけの外部給電器とは、国の制度上も別の機器として扱われます。
電気自動車を「動く蓄電池」として扱えるのがV2Hです。家庭用蓄電池と違い、電気をためる本体は車の側にあり、壁際や駐車スペースの脇に置くのは充放電のための機器になります。
国がこの設備に補助を出してきた目的は、災害時のレジリエンス(回復力)の向上です。応募要領には、販売促進やデモンストレーションを目的とする設置は補助の対象外だと明記されています。
家に流せる電気の大きさ
国の補助対象として承認された型式の一覧では、放電出力は3kWから9.9kWまでの幅があり、5.9kWと6kWの型式が多数を占めます。コンセントから取る外部給電器の1500Wとは桁がひとつ違います。
出力の数字は、同じ時間にどれだけの電気を動かせるかを表します。放電側が大きいほど、家電を同時に動かしたときの余裕が出ます。
ただし出力が大きい型式ほど工事の条件も重くなります。機器の選定は、車種の対応と分電盤のつなぎ方を含めて施工会社と決める順番になります。
個人宅で補助の対象になる条件
国の補助では、個人宅に置けるのは1基までです。設置場所を使用の本拠の位置とする電気自動車等があることが条件で、駐車スペースは幅2.5m・奥行5mが目安とされています。
条件の中で見落としやすいのが、駐車スペースの取り方です。充放電のときに車が公道にはみ出す置き方は認められません。
舗装されていない駐車スペースでも設置はできますが、舗装にかかる費用は補助の対象外です。既存の駐車スペースがある家は、まずそこを使うことが前提になります。
国の補助は8月27日到着分で終わった
国の補助の交付申請期間は令和8年7月17日から9月30日17時まででしたが、8月28日に到着した申請で予算額を超えました。8月27日中に到着した申請までで受付は終わっています。
補助額の決まり方は2本立てでした。機器は購入費(税抜)の2分の1以内と、型式ごとに定められた上限額のいずれか低い額です。
工事費は項目ごとに上限が決まっており、個人宅の場合は1基あたり55万円が上限でした。項目ごとの上限の合計、申告額の審査結果、この55万円のうち最も低い額が交付額になります。
東京都の助成は受付が続いている
東京都内の戸建住宅なら、クール・ネット東京の助成が令和9年3月31日17時まで事前申込を受け付けています。助成額は対象経費の2分の1・上限50万円で、要件を満たす太陽光と電気自動車がある家は全額・上限100万円です。
増額申請は、交付申請兼実績報告のときに要件を満たす太陽光発電システムと、電気自動車またはプラグインハイブリッド自動車を所有している場合にできます。太陽光は発電出力50kW未満で、設置場所が車検証に記載の使用の本拠の位置などにあることが条件です。
県の枠では、埼玉県の家庭向け補助の対象は太陽光・太陽熱・蓄電池・エネファームで、V2Hは入っていません。市区町村の制度は自治体ごとに違うため、お住まいの自治体のページで確認する形になります。
申請の順番を間違えると対象外になる
東京都の助成は、原則として機器設置の契約前に事前申込をします。事前申込の受付日より前に工事や契約をした費用は対象外です。国の補助も、発注・着工・支払は交付決定日以降と決まっていました。
置いたあとの持ち続ける期間も決まっています。国の補助では設置完了の日から5年間、東京都の助成では処分制限期間が6年で、その間に処分するには事前の承認が必要です。
増額申請をした場合は、助成金を受け取った後も処分制限期間の間、太陽光と車を持ち続ける要件を満たし続けることが交付の条件になります。
入れる前に確かめる3点
確かめるのは、車の置き場所と分電盤のつなぎ方、今使える制度、そして申込と契約の順番の3つです。都の増額を狙うなら、太陽光と車をそろえる時期も合わせて考えます。



順番としては、まず駐車スペースと分電盤の位置を見て、機器を置ける場所があるかを施工会社に見てもらいます。次に、都内なら都の助成の事前申込を契約より前に出す日程を組みます。
国の補助は次年度の予算が公表されるまで待つ形になります。今年度は7月17日に受付が始まり、1か月半ほどで予算に達しました。次があるなら、受付開始に間に合う見積りをそろえておくほうが取りこぼしが少なくなります。
都の制度の全体像は東京都の補助金の整理にまとめています。区市町村ごとの一覧は東京都の補助金・制度ページから見られます。
車ではなく据置きの蓄電池を考える場合、どれくらいの期間使えるかは蓄電池の寿命の記事で扱っています。設置費用を何年で回収できるかの考え方は太陽光は何年で元が取れるかの記事にまとめています。
よくある質問
- Q. V2Hがあれば、停電のとき家じゅうで電気が使えますか
- 使える範囲は機器と配線の組み方で決まるため、一律には言えません。国の補助の要件では、V2H充放電設備から放電した電気は、設備を置いた同じ施設の中で使うことになっています。どの回路まで電気が回るかは、設置前に施工会社と分電盤のつなぎ方を確認してください。
- Q. 電気自動車をまだ持っていなくても補助は申請できますか
- 国の補助では、個人宅に設置する場合、設置場所を使用の本拠の位置とする電気自動車等があることが条件です。購入のための発注が完了している場合は、実績報告で電気自動車等があることを報告すれば認められます。なお、この補助は2026年8月27日到着分で受付を終えています。
- Q. 国の補助と都の助成は両方受けられますか
- 東京都の手引きには、都および公社の他の同種の助成金との重複はできないが、国および区市町村の補助金とは併給できると書かれています。ただし都の助成額は、助成対象経費に国などの補助金を充当する場合、その額を差し引いて計算します。また同じ手引きには、他の補助金・助成金の側で制限を設けている場合があるので各申請先に確認するように、とも書かれています。
この記事の用語
- kW
- 発電設備の出力の大きさを表す単位。「4kWの太陽光」はこの値。パネル1枚は0.4〜0.5kW程度で、戸建てでは3〜6kWが多い。 用語集で見る
- 交付決定
- 補助金を出すという行政の正式な決定。通知書の日付が基準になり、これより前に工事を始めると対象外になる制度が多い。 用語集で見る
- V2H
- 電気自動車の電池から家に電気を送る設備(Vehicle to Home)。車を大きな蓄電池として使う考え方。 用語集で見る
- 家庭用蓄電池
- 太陽光でつくった電気や夜間の安い電気をためて、必要なときに使う装置。停電時の備えにもなる。 用語集で見る
出典
| 発行元 | ページ名 | 確認日 |
|---|---|---|
| 一般社団法人次世代自動車振興センター | 令和7年度補正予算 V2H充放電設備の導入補助金 | 2026年9月13日 |
| 一般社団法人次世代自動車振興センター | 令和7年度補正 クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てん設備等導入促進補助金 応募要領 V2H充放電設備(PDF) | 2026年9月13日 |
| 一般社団法人次世代自動車振興センター | 〈重要〉令和7年度補正予算 V2H充放電設備・外部給電器 における交付申請受付終了のお知らせ(PDF) | 2026年9月13日 |
| 一般社団法人次世代自動車振興センター | (別表1)型式ごとの補助金交付上限額(PDF・令和8年8月31日更新) | 2026年9月13日 |
| クール・ネット東京(東京都地球温暖化防止活動推進センター) | 令和8年度 戸建住宅におけるV2H普及促進事業 | 2026年9月13日 |
| クール・ネット東京(東京都地球温暖化防止活動推進センター) | 手続きの手引き 令和8年度 戸建住宅におけるV2H普及促進事業(PDF) | 2026年9月13日 |
| クール・ネット東京(東京都地球温暖化防止活動推進センター) | 戸建住宅におけるV2H普及促進事業助成金交付要綱(PDF) | 2026年9月13日 |
| 埼玉県 | 令和8年度 家庭における省エネ・再エネ活用設備導入補助金 | 2026年9月13日 |
