太陽光の容量とは kWの決まり方と10kWで変わる制度

太陽光の容量は、パネルの合計出力とパワコンの出力のうち小さい方のkWです。国の認定も東京都の助成もこの決め方を使い、10kW未満か以上かで買取の期間や要件が変わります。

二段の屋根に整然と並ぶ太陽光パネルを真上から見た様子
屋根の2つの段に分けて並べた太陽光パネル。容量はパネル1枚の出力と枚数、パワーコンディショナの出力で決まります。実際の設置例です。
目次
  1. 太陽光の容量は、kWで表す出力の大きさ
  2. パネルとパワコンの小さい方が容量になる
  3. 10kW以上になると、制度の区分が変わる
  4. 東京都の助成は、容量で単価が変わる
  5. 容量が同じでも、発電量は月で変わる
  6. 自分の家の容量を考える手順

太陽光の容量は、kWで表す出力の大きさ

太陽光の容量は、一度にどれだけの電気を出せるかを表す出力の大きさで、単位はkWです。1年に発電する量(kWh)とは別の数字で、見積りや補助の申請ではこのkWが基準になります。

図1 容量(kW)と発電量(kWh)の違い
容量
kW(キロワット)
一度に出せる電気の大きさ。設備で決まる
≠
発電量
kWh(キロワット時)
一定の期間に発電した電気の量。天気や季節で変わる
容量は買取価格の区分や補助額の計算に、発電量は電気代や売電額の計算に使う。

「5kWの太陽光」という言い方の5kWが容量です。同じ5kWでも、晴れの多い月と少ない月では1か月に発電する量が変わります。

容量は設備の組み合わせで決まります。東京都の助成金の手引きは、パネル(太陽電池モジュール)1枚の公称最大出力に使う枚数を掛けた値と、パワーコンディショナ(パネルの電気を家で使える電気に変える機器)の定格出力を比べ、小さい方を発電出力とすると定めています。

図2 容量(発電出力)の決まり方
1パネルの合計1枚の公称最大出力 × 枚数
2パワコンの出力定格出力(複数台なら系列ごと)
3小さい方が容量国の認定も都の助成もこの決め方
資源エネルギー庁「10kW未満の太陽光発電事業計画認定申請書」の記載例、クール・ネット東京「助成金の手引き」の交付額の算出方法による。
住宅の外壁に設置された壁掛け型のパワーコンディショナのイメージ
太陽光パネルの電気を家庭で使える電気に変えるパワーコンディショナ。容量を確認するときは、この機器の出力も見ます。※画像はイメージです。

パネルとパワコンの小さい方が容量になる

国の申請書の記載例では、パネルの合計出力とパワーコンディショナの出力のうち小さい方を発電出力とします。パワコンが複数台なら、系列ごとに小さい方を求めて足します。

図3 パワコンが3台ある場合の発電出力(国の記載例)
系列1
パネル5.0
パワコン5.5
5.0kW
+
系列2
パネル4.5
パワコン4.0
4.0kW
+
系列3
パネル6.5
パワコン5.0
5.0kW
=
発電出力
小さい方の合計
14.0kW
資源エネルギー庁「10kW未満の太陽光発電事業計画認定申請書」記載例の「太陽光発電設備の発電出力の考え方について」の例。単位はkW。この例は合計が10kW以上になるため、申請の様式は10kW以上50kW未満のものになる。

パネルの合計が4.5kWでもパワコンが4.0kWなら、その系列の容量は4.0kWです。申請書の記載例は、発電出力を小数第1位まで(第2位は切り捨て)書くよう求めています。

資源エネルギー庁のよくある質問は、パワコンの出力よりパネルの合計出力を大きくすることを「過積載」と呼んでいます。同庁は、過積載や、蓄電池を併設して夕方以降に放電・逆潮流することは、再生可能エネルギーの利用の拡大や系統安定化に資する面があるとしたうえで、認定の後に増やす場合に制限を設けています。

図4 パネルの合計がパワコンより大きいとき(資源エネルギー庁の説明)
新しく認定を受けるとき
過積載認定後の制限は、新規に申請する段階の過積載を妨げない
申請する容量パネルとパワコンの小さい方
認定の後にパネルを増やすとき
10kW以上一定の制限がある
10kW未満パネルの合計出力を増やす制限の対象外
資源エネルギー庁「よくある質問」(FIT・FIP制度)と「10kW未満の太陽光発電事業計画認定申請書」記載例による。認定の後の制限は、安くなったパネルを後から足して、認定時点の調達価格のままで売電量を増やすと、認定時に想定していない国民負担が生じるため、と同庁は説明している。同庁の整理表は、運転開始後に認定出力を10kW未満から10kW以上へ増やす変更認定は一律に認めないとしている。

10kW以上になると、制度の区分が変わる

国の固定価格買取制度(FIT)では、10kW未満と10kW以上で買取の価格・期間・要件が変わります。国の委員会は10kW未満を住宅用として扱い、10kW以上50kW未満には自家消費の要件が付きます。

図5 10kW未満と10kW以上(屋根設置)の違い(2026年度の認定)
10kW未満
買取価格24円(〜4年)・8.3円(5〜10年)
買取期間10年
申請の様式様式第2
10kW以上(屋根設置)
買取価格19円(〜5年)・8.3円(6〜20年)
買取期間20年
50kW未満の要件30%以上の自家消費・災害時の給電用コンセント
価格は1kWhあたり。資源エネルギー庁「買取価格・期間等」(2025年度下半期から2026年度に適用)と「事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)」第4節の地域活用要件による。

資源エネルギー庁のガイドラインは、10kW以上50kW未満の設備には、2020年度以降の認定で自家消費型の地域活用要件を求めるとしています。発電した電気の少なくとも30%を自家消費(または特定供給)することと、停電時に自立して発電でき、給電用コンセントを災害時に使えることの両方です。

同じガイドラインは、近くに10kW未満の設備を複数並べ、意図的に10kW未満に分けて要件を逃れる疑いのある案件があったとしています。このため2022年度から、10kW未満で地上設置を選んだ案件には建物表題登記などの提出を求めています。

東京都の助成は、容量で単価が変わる

東京都の既存住宅向けの太陽光の助成は、3.75kW以下が1kWあたり15万円(上限45万円)、3.75kWを超えると12万円です。容量は国と同じく、パネルとパワコンの小さい方で数えます。

図6 東京都の太陽光の助成額の計算例(既存住宅・令和8年度)
3kW15万円/kW
45万円
15万×3
3.75kW15万円/kW
45万円
上限
4kW12万円/kW
48万円
12万×4
5kW12万円/kW
60万円
12万×5
クール・ネット東京「令和8年度 家庭における太陽光発電導入促進事業」の既存住宅の単価(3.75kW以下 15万円/kW・上限45万円、3.75kW超 12万円/kW・50kW未満)から編集部が計算した例。手引きでは、発電出力×単価(1,000円未満切り捨て)で、算定額の上限か設置工事費用の低い方が上限になる。新築住宅は3.6kW以下12万円/kW(上限36万円)、3.6kW超10万円/kW。

3.75kW以下の単価15万円で計算すると、3kWで上限の45万円に届きます。3kWから3.75kWまでは、助成額が45万円のまま変わりません。

都の助成は、既存のシステムの一部として増設されたものではないことが要件で、手引きは既存系列にモジュールを追加して同一系列の出力を増強する行為を助成対象外としています。既存システムの系列に接続しない独立した系列一式を新設する場合(独立系統)や、既存の太陽光発電システムをすべて撤去して新たに系列一式を設置する場合(更新)は、既存システムの一部増設に当たらないと手引きは説明しています。ただし、撤去する設備が過去に都の助成金を受けたもので、設置日から17年の処分制限期間内に処分する場合は、事前に処分承認申請が必要で、助成金の一部を返納する必要があります。また、都の助成金額と国・区市町村の重複する補助金の額の合計は、助成対象経費までです。区市町村の上乗せは、東京都の補助金の記事と東京都のページにまとめています。

容量が同じでも、発電量は月で変わる

環境省の調査では、太陽光を使う世帯の1世帯あたりの月の発電量は8月が619kWhで最も多く、12月が347kWhで最も少なくなっています。国の委員会の想定から計算すると、1kWあたり年約1,200kWhです。

図7 太陽光を使う世帯の月別の発電量と売電量(令和5年度・1世帯あたり)
4月
553
売電 408
5月
606
売電 453
6月
508
売電 378
7月
575
売電 356
8月
619
売電 383
9月
514
売電 336
10月
486
売電 333
11月
411
売電 325
12月
347
売電 233
1月
358
売電 225
2月
356
売電 225
3月
467
売電 292
単位はkWh/使用世帯・月。棒が発電量、「売電」の数字が売電量。2023年4月〜2024年3月の全国の値で、容量は世帯ごとに異なる。環境省「家庭部門のCO2排出実態統計調査」(令和5年度・資料編(確報値)図2-99)による。

環境省の調査は、発電量と売電量の季節の変わり方は似ていて、売電量は5月に最も多く、1月と2月に最も少ないとしています。同じ調査で、太陽光を使う世帯は全国の6.3%、戸建て全体では11.7%でした。

国の調達価格等算定委員会は、住宅用太陽光の設備利用率(1年中最大の出力で動いた場合に対する実際の発電の割合)を13.7%と見込んでいます。1年の8,760時間に掛けると、1kWあたり年約1,200kWhです。向きや角度で日射量がどう変わるかは、太陽光シミュレーションの記事で図にしています。

自分の家の容量を考える手順

容量は、家で使う電気の量、1kWあたりの発電量、家で使う割合の3つから考え始めます。そのうえで屋根の広さ、10kWの境目、補助の単価の区分を見積りで確かめます。

図8 容量を考えるときの3つの数字(公表値)
①
家で使う電気
関東甲信の1世帯あたり年3,600kWh(住宅の建て方を問わない世帯当たりの平均・令和5年度)
▼
②
1kWあたりの発電量
年約1,200kWh(国の想定の設備利用率13.7%から計算)
▼
③
家で使う割合
国の想定では売る割合が70.0%、家で使うのは残りの3割
①は環境省「家庭部門のCO2排出実態統計調査」の地方別の世帯当たり年間電気消費量(全国平均は3,911kWh)。②③は調達価格等算定委員会「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」の住宅用(10kW未満)の想定値。

①を②で割ると、関東甲信の平均的な世帯が1年に使う量と同じだけ発電する容量は、約3kW分になります(編集部の計算)。ただし①は住宅の建て方を問わない世帯当たりの平均で、戸建てや家族の人数、オール電化かどうかで大きく変わります。

③のとおり、国の想定では発電した電気の7割は売る前提です。容量を大きくすると売る分が増えるため、売電単価と自家消費の価値の差は蓄電池なしの記事、1kWあたりの費用は価格の記事で確かめてください。

図9 見積りの前後に確かめること
1電気の使用量検針票などで1年分を確認
2載せられる量屋根の面積・形・向き・影
3発電出力の欄パネル合計とパワコンの小さい方
4区分の境目10kW、都の3.75kWなど
2は太陽光発電協会「設置までの流れ」の、屋根の面積や形状、方位や傾斜などが発電量に影響するという説明による。3・4は図2〜図6の内容。

見積りを受け取ったら、パネルの枚数と1枚の出力、パワコンの出力、申請する発電出力の3つがそろって書かれているかを見ます。後から蓄電池を足すときの手続きは蓄電池の後付けの記事、元が取れるまでの年数は元が取れるかの記事にまとめています。

自宅の机で電気の使用量の資料と太陽光の見積りを確認するイメージ
家で使う電気の量と見積りを照らし合わせ、パネルとパワーコンディショナの出力を確認します。※画像はイメージです。
数字についての注記
※買取価格は2026年10月8日時点で資源エネルギー庁が公表している調達価格、東京都の助成額は令和8年度の公表値です。
※東京都の助成額の計算例と、1kWあたり年約1,200kWhは、公表されている単価・想定値から編集部が計算した値です。実際の助成額は、助成対象経費や設置工事費用が上限になります。
※記事の数字は、個々の家の発電量や金額を保証するものではありません。

よくある質問

Q. 太陽光の容量が10kW以上になると、何が変わりますか
資源エネルギー庁の公表では、10kW未満は2026年度の認定で4年目まで24円、5〜10年目が8.3円で、買取期間は10年です。10kW以上(屋根設置)は5年目まで19円、6〜20年目が8.3円で、期間は20年になります。10kW以上50kW未満の新しいFIT認定には、発電した電気の30%以上を自家消費することなどの地域活用要件が付きます。
Q. パワーコンディショナの出力がパネルの合計より小さいと、容量はどうなりますか
国の申請書の記載例では、パネルの合計出力とパワーコンディショナの出力のうち、小さい方を発電出力として申請します。パネルの合計がパワコンより大きい組み合わせを、資源エネルギー庁は「過積載」と呼んでいます。見積りでは、パネルの合計とパワコンの出力の両方と、申請する発電出力を確かめてください。
Q. 後からパネルを増やすと、買取価格は変わりますか
資源エネルギー庁のよくある質問では、10kW未満の太陽光発電設備の出力増加であって、変更後も10kW未満の設備である場合は、調達価格の変更はないとしています。ただし同庁の整理表は、運転開始後に認定出力を10kW未満から10kW以上へ増やす変更認定は一律に認めないとしています。10kW未満の設備に自家発電設備等を新たに併設してダブル発電に変わる場合など、区分が変わる場合は、今の調達価格と同じ年度の、変更後の区分の調達価格に見直されます。出力を変えるときは、国への変更の手続きが要ります。東京都の太陽光の助成は、既存の系列にパネルを足して出力を増やす増設は対象外です。既存の系列に接続しない独立した系列一式の新設や、すべて撤去して一式を取り替える場合は、既存システムの一部増設に当たらないと手引きは説明しています。

この記事の用語

kW
発電設備の出力の大きさを表す単位。「4kWの太陽光」はこの値。パネル1枚は0.4〜0.5kW程度で、戸建てでは3〜6kWが多い。 用語集で見る
kWh
電気の量を表す単位。蓄電池の容量(何kWhためられるか)や、1か月に使った電力量に使う。1kWの機器を1時間動かすと1kWh。 用語集で見る
FIT
太陽光などでつくった電気を、国が決めた価格で一定期間(住宅用は10年)電力会社が買い取る仕組み。 用語集で見る
自家消費
発電した電気を売らずに自宅で使うこと。買う電気を減らせるので、売電単価より買電単価が高い今は有利になりやすい。 用語集で見る
逆潮流
自宅から電力会社側へ電気を送ること。余った電気を売る「余剰売電」はこれにあたる。 用語集で見る
パワーコンディショナ
太陽光パネルがつくる直流の電気を、家庭で使える交流に変換する機器。補助金の出力判定に使われることがある。 用語集で見る
売電
発電した電気を電力会社などに売ること。単価は制度と時期で決まる。 用語集で見る

出典