太陽光は蓄電池なしでも動く
太陽光は蓄電池がなくても発電し、昼の電気は家で使えます。蓄電池の有無で違いが出るのは、夜・停電・余った電気の扱いの3つの場面です。


太陽光発電協会は、住宅用太陽光発電の機器のうち、蓄電池を「電気をためる装置」と説明しています。同協会の機器の説明では、光を電気に変えるのは太陽電池モジュール、家で使える電気に変えるのはパワーコンディショナで、蓄電池は昼の電気をためて夜に使うための機器です。
「蓄電池なしでも大丈夫か」は、発電できるかどうかの問題ではありません。どの場面で使える電気が変わるかを知ると、自分の家で要るかどうかを考えやすくなります。
昼の場面は、蓄電池があってもなくても同じです。差が出るのは残りの3つで、この記事では順に数字で確かめます。
昼に家にいる時間が長く、発電している間に電気を多く使う家では、蓄電池がなくても家で使う割合は高くなります。反対に、昼は留守がちで夜に電気を多く使う家では、売る割合が大きくなります。
住宅用太陽光は発電の6〜7割を売っている
国の委員会は、住宅用太陽光では発電の3割を家で使い、7割を売る想定で買取価格を計算しています。実際の案件でも売った割合の平均は64.8%で、昼に使いきれない電気は、蓄電池がなければためられずに家の外へ出ていきます。
国の委員会は、10kW未満の住宅用太陽光の買取価格を決めるとき、余った電気を売る割合(余剰売電比率)を70.0%と置いています。家で使うのは残りの3割という前提です。
1kWあたり年約1,200kWhの発電なら、家で使うのは360kWh、売るのは840kWhになります。蓄電池がない家では、昼に使いきれなかった電気はためられず、そのまま電線へ流れます。
委員会が2025年1月から8月に集めた案件では、売った割合の平均が64.8%、中央値が60.7%でした。家によって差はありますが、発電の半分以上を売っている家が多いことが分かります。
売る割合が高いこと自体は、損を意味しません。売った電気にも代金が入るからです。問題になるのは、売る単価が家で使う電気の価値より低い期間で、次の章で比べます。
売るより使う方が1kWhの価値が高い
2026年度に認定を受ける10kW未満の売電単価は、4年目までが24円、5年目から10年目が8.3円です。家で使った電気の価値は国の想定で27.45円なので、差が大きく開くのは5年目以降です。
家で使った電気は、その分だけ電力会社から買わずに済みます。国の委員会は、この「買わずに済んだ分」の価値を1kWhあたり27.45円と置いています。
4年目までは、売っても1kWhあたり24円になるため、蓄電池がなくても差は小さめです。5年目からは8.3円に下がり、家で使う価値は売る単価の3倍以上になります。
27.45円は、大手電力の過去10年間の家庭用電気料金単価の平均に消費税を加えた数字です。委員会は2015〜2024年度で計算し直すと27.86円になるとしたうえで、想定値は据え置きました。実際の単価は、契約している料金プランで変わります。
10年の買取期間が終わると、売り先は電力会社の買取メニューになります。委員会が確認した平均は10.0円(中央値9.5円)で、10円以上のメニューは、その会社の電気を買うセット販売や蓄電池の併設などの条件付きが比較的多いと指摘しています。売り方の選び方は卒FITの記事にまとめています。
蓄電池なしだと停電時は昼だけ使える
太陽光発電協会によると、蓄電池がなくても自立運転に切り替えれば、太陽が出ている間は自立運転用コンセントから最大1.5kWまで電気を使えます。夜は発電しないため使えません。
太陽光発電協会によると、停電するとシステムは自動的に止まり、自立運転に切り替えると、テレビや炊飯器、電気ポット、携帯電話の充電器などを使えます。使える量は、太陽が出ている時間帯の日射量で変わります。
資源エネルギー庁も、太陽光発電は災害時の非常用電源になり、蓄電池と組み合わせるとより強い非常用電源として期待されると説明しています。夜の停電にも備えたい家では、ここが蓄電池を足す理由になります。切り替えの手順は太陽光発電の仕組みの記事で図にしています。
太陽光発電協会は、自立運転用コンセントの位置と切り替え方法を、平常時に取扱説明書で確かめておくよう勧めています。同協会の手順では、停電が復旧したら自立運転モードを解除し、主電源ブレーカー、太陽光発電ブレーカーの順にオンにして必ず元に戻し、通常の運転に戻ったことを確かめます。操作はメーカーで異なるため、取扱説明書で確認してください。
蓄電池なしで家で使う割合を増やす
蓄電池がなくても、電気を使う時間を昼に寄せれば、家で使う割合は上がります。太陽光発電協会は、洗濯や掃除、エコキュートのお湯沸かしを昼に回す方法を挙げています。
太陽光発電協会は、卒FITを迎える家に向けて「余らせて売る」から「使ってお得」へと呼びかけ、売電より自宅で使う方が経済メリットが出る場合があると説明しています。昼の家事や冷房を発電の多い時間に回すことが、蓄電池なしでできる工夫です。

同協会は、既築の住宅に設置した場合、設置前と設置後の電気使用料金を比べることを勧めています。昼に寄せる工夫の効果も、検針票で買った電気の量を前後で比べると確かめられます。
昼に寄せる工夫は、新しい機器の費用がかかりません。ただし在宅の時間や天気で効果は変わり、夜の電気はこれまでどおり買うことになります。夜の分まで減らしたいときに、蓄電池が次の選択肢になります。
蓄電池を足すか決める前に確かめること
蓄電池を足すかは、費用と補助、売電単価が下がる時期、夜の停電への備えの3つで考えます。費用は国の検討会の資料で、補助事業以外で入れる場合、事業者への聞き取りで1kWhあたり設備費15〜20万円と工事費2万円程度が標準的な水準です。
検討会の資料によると、この水準は補助事業の案件のデータとは別に、補助事業以外で導入する場合として事業者から聞き取ったものです。同じページの注では、工事費には基礎工事・据付工事・電気工事・付帯工事などが含まれ、範囲は事業者で異なる可能性があるとしています。
東京都の助成は、既にある蓄電池に足す増設も6万円/kWh(DR実証に参加しない場合は上限72万円/戸)で対象です。10月1日以降に事前申込をする場合は、令和8年度にSIIが登録した機器だけが対象になります(令和8年4月1日から6月30日までに契約した事業などを除く)。価格の見方は価格の記事、国の枠は国の補助金の記事にまとめています。
売電単価は、認定を受けた年度の調達価格が決められた期間続く仕組みです。すでに売電している家は、今の単価と残りの期間を確かめると、図5のどこにいるかが分かります。
売っている量が多く、売電単価が8.3円の期間に入っている家ほど、ためて夜に使う効果は大きくなります。蓄電池の種類や容量の見方は家庭用蓄電池の記事、発電の何年分で元が取れるかは回収年数の記事で確かめられます。お住まいの都県の補助は補助金の一覧から探せます。
よくある質問
- Q. 蓄電池がないと、昼に発電した電気は全部売ることになりますか
- なりません。発電した電気はまず家の中で使われ、使いきれなかった分だけが電線へ流れて売電になります。国の委員会は、住宅用太陽光では発電の3割を家で使い、7割を売る想定で買取価格を計算しています。
- Q. 蓄電池がなくても停電のときに電気は使えますか
- 太陽光発電協会によると、自立運転に切り替えれば、太陽が出ている時間帯に自立運転用コンセントから最大1.5kWまで使えます。夜は発電しないため、ためた電気を夜にも使いたい場合は蓄電池が要ります。
- Q. 蓄電池は太陽光と同時に入れないといけませんか
- 同時でなくてもかまいません。太陽光発電協会は、卒FITを迎える家に向けて、蓄電池や電気自動車を暮らしに合わせてうまく取り入れることも大切なポイントだとしています。補助は都県・区市町村ごとに条件が違い、東京都の助成は既にある蓄電池に足す増設も対象にしています。入れる前に、お住まいの都県と区市町村の制度を確認してください。
この記事の用語
- kW
- 発電設備の出力の大きさを表す単位。「4kWの太陽光」はこの値。パネル1枚は0.4〜0.5kW程度で、戸建てでは3〜6kWが多い。 用語集で見る
- kWh
- 電気の量を表す単位。蓄電池の容量(何kWhためられるか)や、1か月に使った電力量に使う。1kWの機器を1時間動かすと1kWh。 用語集で見る
- 卒FIT
- FITの買取期間(住宅用は10年)が終わること。またその状態の家庭。終わった後は売電単価が大きく下がる。 用語集で見る
- SII
- 国の補助事業の執行を担う一般社団法人。補助対象になる蓄電池の登録製品リストを管理している。 用語集で見る
- パワーコンディショナ
- 太陽光パネルがつくる直流の電気を、家庭で使える交流に変換する機器。補助金の出力判定に使われることがある。 用語集で見る
- DR
- 電力の需要と供給に合わせて、家庭の蓄電池などの充放電を調整する仕組み。国の蓄電池補助の参加条件になっていた。 用語集で見る
- 売電
- 発電した電気を電力会社などに売ること。単価は制度と時期で決まる。 用語集で見る
出典
| 発行元 | ページ名 | 確認日 |
|---|---|---|
| 調達価格等算定委員会(経済産業省) | 令和8年度以降の調達価格等に関する意見(令和8年2月5日) | 2026年10月1日 |
| 資源エネルギー庁 | 買取価格・期間等|FIT・FIP制度|なっとく!再生可能エネルギー | 2026年10月1日 |
| 資源エネルギー庁 | 太陽光発電|再エネとは|なっとく!再生可能エネルギー | 2026年10月1日 |
| 経済産業省(定置用蓄電システム普及拡大検討会) | 2024年度定置用蓄電システム普及拡大検討会の結果とりまとめ(2025年3月7日) | 2026年10月1日 |
| 一般社団法人 太陽光発電協会(JPEA) | 住宅用太陽光発電システムとは | 2026年10月1日 |
| 一般社団法人 太陽光発電協会(JPEA) | 住宅用太陽光発電システムのメリット | 2026年10月1日 |
| 一般社団法人 太陽光発電協会(JPEA) | 停電時でも電気が使えます | 2026年10月1日 |
| 一般社団法人 太陽光発電協会(JPEA) | 固定価格での買取期間満了(卒FIT)ユーザーへ | 2026年10月1日 |
| クール・ネット東京(東京都環境公社) | 家庭における蓄電池導入促進事業(令和8年度) | 2026年10月1日 |
| みらいエコ住宅2026事業事務局(国土交通省) | エコ住宅設備の設置【リフォーム】 | 2026年10月1日 |
| みらいエコ住宅2026事業事務局(国土交通省) | 対象要件の詳細【リフォーム】 | 2026年10月1日 |
| みらいエコ住宅2026事業事務局(国土交通省) | よくあるご質問(リフォーム)(PDF) | 2026年10月1日 |
