太陽光の売電と税金 給与以外の所得20万円超で申告、耐用年数17年

家庭用の太陽光で余った電気を売る会社員の売電収入は、国税庁の回答では雑所得です。給与1か所で全部源泉徴収なら給与以外の所得20万円超で確定申告が要り、20万円以下でも住民税の申告が要る場合があります。

家庭のテーブルに書類、電卓、太陽光パネルのある住宅の写真を並べたイメージ
売電収入や設備費用の資料を整理するイメージ。書類は架空の表現で、実際の申告様式ではありません。※画像はイメージです。
目次
  1. 会社員が余った電気を売ると、その収入は雑所得になる
  2. 所得税の確定申告は、給与以外の所得20万円が分かれ目
  3. 減価償却の耐用年数は17年、売った割合だけを経費にする
  4. 会社員が余った電気を売るだけなら、消費税はかからない
  5. 補助金で設備を買ったときの扱いは、税務署で確かめる
  6. 固定資産税は、屋根材一体型かどうかで区分が分かれる

会社員が余った電気を売ると、その収入は雑所得になる

国税庁の質疑応答事例では、会社員が自宅の太陽光を家庭用に使い、余った電気を売っている場合、売電収入は雑所得です。事業として売っている場合や、ほかの事業の付随業務の場合は事業所得になります。

図1 売電収入の所得の区分(国税庁の質疑応答事例)
会社員が家庭用に使い、余りを売る
所得の区分雑所得
設備の位置づけ家事用資産
事業として売る・事業の付随業務
所得の区分事業所得
例他に事業所得があり、その付随業務として売る
国税庁「自宅に設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却収入」(2026年10月27日確認)による。同じ回答の注では、会社員が全量売電をしている場合も、事業として行う場合を除き雑所得に当たると考えられるとしている。

余った電気を売る仕組みは、太陽光発電の仕組みと自家消費の記事で扱っています。この記事は、売ったお金と太陽光の設備にかかる税金の扱いを整理します。ほかの疑問はよくある疑問の一覧にまとめています。

図2 雑所得の金額の出し方
総収入金額
1年間に売った電気の代金
売電収入
−
必要経費
減価償却費のうち売った割合の分など
必要経費
=
雑所得
確定申告の判定に使う
所得
国税庁 No.1500「雑所得」の計算式(業務に係るもの・その他とも、総収入金額−必要経費)に、上の質疑応答事例の内容を当てはめた。余剰売電が業務に係る雑所得かその他の雑所得かは、質疑応答事例には書かれていない。雑所得で出た損失は、給与など他の所得と差し引き(損益通算)できない。

ここで出す「所得」は、売った代金そのものではありません。代金から必要経費を引いた額で、次の節の20万円の判定にもこの所得を使います。

所得税の確定申告は、給与以外の所得20万円が分かれ目

給与を1か所から受け、全部が源泉徴収される会社員は、給与・退職所得以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要です。20万円以下でも、住民税の申告は別に要る場合があります。

売電代金や設備費用の資料を手元で見比べ、申告が必要か確認するイメージ
売電代金や設備費用の資料を整理し、申告が必要か確かめるイメージ。書類は架空の表現で、実際の申告様式ではありません。※画像はイメージです。
図3 会社員と年金を受け取る人の、所得税の確定申告の要否
給与を1か所から受ける会社員
給与以外の所得合計20万円を超える
所得税確定申告が必要
公的年金等を受け取る人
年金の収入400万円以下
年金以外の所得20万円以下なら確定申告は不要
国税庁 No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」と No.1600「公的年金等の課税関係」(いずれも令和8年4月1日現在法令等)による。給与以外の所得は、給与所得・退職所得を除く各種の所得金額の合計(確定申告をしないことを選択した上場株式等の配当等や、源泉分離課税とされる預貯金の利子等などは含まない)。会社員は給与の全部が源泉徴収の対象の場合、年金は全部が源泉徴収の対象の場合の基準。給与の年間収入が2,000万円を超える人などは、別に確定申告が必要。
図4 住民税の申告が要るか(世田谷区の例)
1確定申告を出した住民税の申告は不要
2給与収入だけ勤務先が区に給与支払報告書を出していれば不要
3給与のほかに売電の所得確定申告をしないなら住民税の申告が要る
4年金400万円以下、ほかの所得20万円以下住民税の申告が要る
世田谷区「特別区民税・都民税(住民税)の申告について」(最終更新日 2026年10月19日)の「申告が必要な方」「以下に該当する方の申告は不要です」「申告に関する注意」を編集部が4つに並べた。3は、同区が申告不要とする「給与収入のみ」に当たらないため。2でも、源泉徴収票に無い扶養親族を追加する場合や各種控除を受ける場合は申告が必要。板橋区も、公的年金等に係る雑所得のみの方について、所得税の確定申告が要らない場合でも住民税の申告が必要な場合があると案内している。

住民税の申告の要否は、住んでいる区市町村ごとに案内されています。確定申告書を出した人は、改めて住民税の申告をする必要はないと世田谷区・板橋区とも案内しています。板橋区は、確定申告書の第二表の「住民税に関する事項」も記入するよう求めています。

減価償却の耐用年数は17年、売った割合だけを経費にする

国税庁の質疑応答事例では、会社員が自宅に設置した太陽光は「機械及び装置」に当たり、耐用年数は17年です。必要経費に入れる減価償却費は、発電量のうち売った電力量の割合で計算します。

図5 必要経費に入れる減価償却費の考え方
設備の減価償却費
耐用年数で計算する
耐用年数17年
×
業務用割合
売った電力量 ÷ 発電量
売った割合
=
必要経費に入る額
家で使った分は入らない
減価償却費の一部
国税庁「自宅に設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却収入」による。太陽電池モジュールやパワーコンディショナーなどが一体となって発電・送電する自家発電設備として「機械及び装置」に分類し、耐用年数省令の別表第二の55「前掲の機械及び装置以外のもの並びに前掲の区分によらないもの」の「その他の設備」「主として金属製のもの」に当たるとしている。

家で使った分は家事用で、経費になりません。売った割合が高い家ほど、経費に入る減価償却費が大きくなります。売る割合と家で使う割合の見方は太陽光は蓄電池なしでもいいかの記事で扱っています。

会社員が余った電気を売るだけなら、消費税はかからない

国税庁の質疑応答事例では、会社員が生活のために設置した太陽光の余った電気を売るのは、消費税の課税対象になりません。全量売電は、反復・継続・独立して行う取引として課税対象になるとしています。

図6 会社員の売電と消費税(国税庁の質疑応答事例)
余剰売電
対象外
生活用資産から生じた余りの電気の売却
/
全量売電
課税対象
発電した電気の全量を数年にわたり売る契約
国税庁「会社員が自宅に設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却」(2026年10月27日確認)による。消費税の課税対象は、事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等。

消費税の扱いと所得税の扱いは、別々の質疑応答事例です。全量売電でも、所得税では事業として行う場合を除き雑所得と考えられるとされ、消費税では課税対象とされています。

補助金で設備を買ったときの扱いは、税務署で確かめる

国税庁 No.2202 では、国や地方公共団体の補助金で交付の目的に合った固定資産を取得したとき、確定申告書に一定の事項を記載することを条件に、取得に充てた分を総収入金額に入れません。この扱いを受けた設備は、その分を取得費から引きます。

図7 国庫補助金等の総収入金額不算入の流れ
1補助金で設備を取得国・地方公共団体の補助金で、交付の目的に合った固定資産を取得
2確定申告「国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書」を付ける
3収入に入れない取得に充てた分を総収入金額に算入しない
4取得費を減らす減価償却も、総収入金額に入れなかった補助金の額を引いた取得費で計算
国税庁 No.2202「国庫補助金等を受け取ったとき」(令和8年4月1日現在法令等)による。申告先は所轄の税務署。No.2202 には、どの所得の人が対象か、自宅の太陽光の補助金に当たるかは書かれていないため、自分の受けた補助金の扱いは税務署に確かめる。

この扱いを受けた設備は、減価償却費の計算の元になる取得費が、総収入金額に入れなかった補助金の額だけ小さくなります。補助金の制度は国の補助金と東京都の補助金などの記事に、都県ごとの制度は東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県のページにまとめています。

固定資産税は、屋根材一体型かどうかで区分が分かれる

東京都(23区)の区分表では、屋根材一体型のパネルは家屋、それ以外のパネル・パワーコンディショナー・架台などは償却資産の区分です。償却資産は土地・家屋以外の事業の用に供することができる資産で、減価償却費が必要な経費に算入されるものです。

図8 太陽光発電設備の家屋と償却資産の区分(東京都23区)
家屋に含める
パネル屋根材一体型ソーラーパネル
償却資産とする
発電設備屋根材一体型を除くパネル
機器パワーコンディショナー・保護回路
その他配管・配線・架台
東京都主税局「償却資産と家屋の区分表」(令和6年4月1日時点)による。家屋と設備の所有者が同じ場合の例示。償却資産を持つ人は、1月1日現在の内容を1月31日までに都税事務所に申告し、税率は100分の1.4(同局「固定資産税(償却資産)」)。区内に同じ人が持つ償却資産の課税標準額(各資産の評価額を区ごとに合算した額)の合計が150万円に満たない場合は課税されない(同局「固定資産税(償却資産)」の Q&A)。

区分表と同局のページには、自宅で使って余りを売る住宅の設備が償却資産の申告の対象になるかは書かれていません。横浜市の手引は、賃貸アパートなどを持つ人の申告例に太陽光発電設備を挙げています。自分の家の扱いは、都税事務所か区市町村の資産税の窓口で確かめてください。

図9 省エネ改修で固定資産税が減る制度(横浜市の例)
1窓の断熱改修必須の工事
2設備の設置(任意)太陽光発電設備なども併せて対象にできる
3工事費断熱の工事が60万円超、または50万円超で設備と合わせ60万円超
4区役所税務課へ申告工事完了から3か月以内
5翌年度に減額住宅に係る固定資産税・都市計画税の3分の1
横浜市「省エネ改修工事等を行った住宅に係る固定資産税・都市計画税の減額制度」(最終更新日 2026年6月29日)による。令和13年3月31日までの改修が対象。平成26年4月1日以前からある住宅で、貸家は対象外。改修後の床面積が40㎡以上240㎡以下(マンション等は専有部分。令和8年3月31日までに工事が完了した住宅は50㎡以上280㎡以下)で、居住部分が床面積の2分の1以上。工事費は補助金を除いた自己負担額。減額は120㎡相当分までで、1戸につき1度だけ。認定長期優良住宅に該当することとなった住宅は3分の2。土地の固定資産税・都市計画税は減額されない。

横浜市のこの制度では、太陽光だけを付けても減額の対象になりません。窓の断熱改修が必須で、太陽光は併せて行う設備の1つという位置づけです。

税の扱いについての注記
※本記事は、国税庁・東京都主税局・区市の公表資料に書かれた一般的な扱いをまとめたものです。国税庁の質疑応答事例は、照会の事実関係を前提にした回答です。
※20万円・400万円などの金額は、2026年10月27日時点で各機関のページに載っている基準です。20万円は所得(収入から必要経費を引いた額)、400万円は公的年金等の収入金額で判定します。
※自分の家の扱いは、所得税は税務署、固定資産税は都税事務所(東京23区)か区市町村の資産税の窓口、住民税は区市町村の窓口で確かめてください。

よくある質問

Q. 売電の所得が20万円以下なら、何も申告しなくてよいですか
所得税は、給与を1か所から受けて全部が源泉徴収される会社員なら、給与・退職所得以外の所得の合計が20万円以下で確定申告は不要です(国税庁 No.1900。給与の年間収入金額が2,000万円を超える人などは別に確定申告が必要)。ただし住民税は別で、世田谷区は、確定申告を出す人や、給与収入だけで勤務先が区に給与支払報告書を出している人などを除き、所得があった人は住民税の申告が必要と案内しています。お住まいの区市町村の案内を確かめてください。
Q. 家庭用の太陽光の耐用年数は何年ですか
国税庁の質疑応答事例では、会社員が自宅に設置して余った電気を売る太陽光は「機械及び装置」に当たり、耐用年数は17年です。必要経費に入れる減価償却費は、発電量のうち売った電力量の割合で計算します。
Q. 屋根の太陽光パネルに固定資産税はかかりますか
東京都(23区)の区分表(令和6年4月1日時点・家屋と設備の所有者が同じ場合の例示)では、屋根材一体型のパネルは家屋に含め、それ以外のパネルやパワーコンディショナー・架台は償却資産とする区分です。償却資産は、土地・家屋以外の事業の用に供することができる資産で、減価償却費が所得の計算上、必要な経費に算入されるものです。自宅の設備が申告の対象かは、都税事務所か区市町村の資産税の窓口で確かめてください。

この記事の用語

パワーコンディショナ
太陽光パネルがつくる直流の電気を、家庭で使える交流に変換する機器。補助金の出力判定に使われることがある。 用語集で見る
売電
発電した電気を電力会社などに売ること。単価は制度と時期で決まる。 用語集で見る

出典