太陽光パネルのリサイクル法 売電する家は指導の対象、施行は1年半以内

売電している家も、施行後にパネルを廃棄するときは国の判断基準をもとに必要に応じて指導・助言を受けることがあります(資源エネルギー庁の説明)。廃棄前の届出の義務は多量に廃棄する人だけです。

屋根のある場所でパレットと支持ラックに整えて保管した使用済み太陽光パネルのイメージ
リサイクルに向けて、撤去済みの太陽光パネルを保管したイメージ。実在の施設や作業現場ではありません。※画像はイメージです。
目次
  1. 何が決まったか
  2. 家の屋根のパネルは対象になるか
  3. なぜ今、リサイクルの法律ができたか
  4. 今、屋根のパネルを外すときの流れ
  5. これから決まることと、確かめ先

何が決まったか

太陽光パネルのリサイクルを進める「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律」が2026年5月29日に成立し、6月5日に公布されました。施行は、一部の規定を除き、公布から1年6か月以内の政令で定める日です。

図1 法律ができるまでと、これから(2026年10月25日時点)
2026/4/3
法律案を閣議決定
経済産業省・環境省が発表
2026/5/12
衆議院で可決
参議院へ送られる
2026/5/29
参議院で可決・成立
本会議で可決
2026/6/5
公布
令和8年法律第33号
2026/10/30
下位法令の検討会(第1回)
政令・省令の中身を話し合う(予定)
施行
公布から1年6か月以内(一部を除く)
政令で定める日
施行日は未定で、認定の準備などの一部の規定は公布の日から施行。資源エネルギー庁は、施行時期はおよそ2027年末頃の予定と説明している。出典:参議院「議案審議情報」、経済産業省(2026年4月3日)、環境省(2026年10月23日)、資源エネルギー庁「エネこれ」(2026年7月15日)(2026年10月25日確認)。

2026年4月3日に閣議決定された法律案は、衆議院・参議院の可決を経て成立し、令和8年法律第33号として公布されました。所管は環境省・経済産業省などで、法律の細かな基準は、これから政令・省令で決めていきます。

環境省は、その政令・省令をつくるための検討会の第1回を2026年10月30日に開く予定と10月23日に発表しました。予定の議題は、対象になる太陽電池の種類・重量と、「多量」とする量の基準などです。会議はYouTubeでもライブ配信されます。

図2 法律の5つの柱
①国
基本方針
リサイクルの目標や役割を示す
②廃棄する人
判断基準と届出
届出は多量に廃棄する人だけ
③リサイクル事業者
国の認定
都道府県ごとの許可が不要に
④メーカー・販売業者
設計と情報提供
努力義務
⑤附則
見直しの検討
対象を広げる義務付けの検討
出典:環境省「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律について」(2026年10月・資料1)、資源エネルギー庁「エネこれ」(2026年7月15日)(2026年10月25日確認)。

メーカーと輸入業者には、長く使える・軽い・分解しやすい設計と、鉛やカドミウムなどの含有物質の情報を示すことが、努力義務として求められます。販売業者には、長く使うことや再使用(リユース)、リサイクルの情報を伝える努力義務があります。

家の屋根のパネルは対象になるか

対象は3段です。資源エネルギー庁は、売電している家の屋根のパネルも「事業用」に含まれ、施行後に廃棄するときに国の判断基準をもとに必要に応じて指導・助言を受けると説明しています。廃棄前の届出の義務は「多量」の人だけです。

図3 法律の対象の3段
太陽電池を
廃棄する人
太陽電池廃棄者
長く使う・再使用する・リサイクルを含む処分の方法を選ぶよう努める(努力義務)
▼ そのうち
収益事業で
使う・使ったもの
事業用太陽電池廃棄者売電する家も含む
国の判断基準をもとに、指導・助言を受けることがある
▼ そのうち
量の基準に
当たる人
多量事業用太陽電池廃棄者
廃棄実施計画を国に届け出る。受理から原則30日は廃棄できない。著しく不十分なら勧告、正当な理由なく従わなければ命令
「多量」の重量の要件と、対象になる太陽電池の種類・重さは政令で決める(2026年10月25日時点で未定)。「売電する家も含む」は資源エネルギー庁の説明。出典:衆議院「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律案」第2条・第6条〜第9条、資源エネルギー庁「エネこれ」(2026年7月15日)(2026年10月25日確認)。

法律は「事業用太陽電池」を、収益事業で使っている(または使っていた)太陽電池としています。資源エネルギー庁は、この事業用太陽電池廃棄者に、住宅の屋根に設置したパネルで売電する人も含まれると説明しています。

一方で、届出の義務と勧告・命令が掛かるのは「多量」の人だけです。資源エネルギー庁は、今から住宅用も含めたすべてのパネルに一律にリサイクルを義務付けるのではなく、まず多量に廃棄する事業者から規制を段階的に強めると説明しています。

図4 パネルの種類とリサイクルのしやすさ
シリコン系
約95%
原則リサイクル可能
化合物系
約5%
一部可能
有機系(ペロブスカイトなど)
ほぼ無し
技術開発中
割合は国際市場の年間生産量にしめるシェア。シリコン系でも、建材一体型など構造によっては技術的・経済的に難しい場合がある。出典:環境省「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律について」(2026年10月・資料1)(2026年10月25日確認)。
太陽光パネルから分別したアルミ枠、ガラス、セルを含むシート片などの材料のイメージ
アルミ枠、ガラス、セルを含むシート片などに分別したイメージ。回収物の形や分け方は処理方法によって異なります。※画像はイメージです。

法律の「太陽電池」は、板状でガラスを使った部品を含み、政令で決める重さ以上の機器のうち、リサイクルが技術的・経済的にできる種類として政令で決めるものです。どの種類が入るかは、10月30日に予定されている検討会の議題に挙がっています。薄くて軽い新しい電池の現在地は、ペロブスカイト太陽電池の記事で整理しています。

なぜ今、リサイクルの法律ができたか

2030年代後半からパネルの廃棄が大きく増え、資源エネルギー庁は最大で年約50万トンになる見込みとしています。埋立に比べてリサイクルは費用が高く、施設も地域に偏っていることが課題です。

図5 処分の費用の目安(1kWあたり・現状)
埋立処分
2,000円/kW程度〜
管理型の最終処分場へ
<
リサイクル
8,000〜12,000円/kW
ガラスや金属を材料に戻す
住宅用と事業用を分けた値ではなく、屋根から取り外す工事の費用を含むかも資料には書かれていない。埋立先が管理型最終処分場であることはガイドラインによる。出典:環境省「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律について」(2026年10月・資料1)、資源エネルギー庁「エネこれ」(2026年7月15日)、環境省「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン(第三版)」(令和6年)(2026年10月25日確認)。

資源エネルギー庁は、パネルの耐用年数は20〜30年とされ、2012年に始まった固定価格買取制度(FIT)のあとに増えたパネルが2030年代後半以降に寿命を迎えると説明しています。使い終えたパネルは今も廃棄物処理法で適正な処理が義務付けられていますが、リサイクルそのものを求める決まりはなく、多くは埋立処分が選ばれてきました。

すべてを埋め立てると最終処分場の残りの容量を圧迫するため、法律で廃棄の抑制とリサイクルを進めます。リサイクル費用と埋立費用の差が大きいままでは選ばれにくいため、国はリサイクル事業者の認定や設備の支援で費用を下げるとしています。

図6 1都3県のパネル専用リサイクル施設の処理能力(トン/年)
埼玉県
7,709
5件
千葉県
5,256
1件
東京都
2,304
1件
神奈川県
2,304
1件
右の数字は施設の件数。全国では87件・約13万トン/年で、8府県には施設が無い。2025年11月時点に環境省が都道府県・政令市に調べた値。出典:環境省「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律について」(2026年10月・資料1)(2026年10月25日確認)。

環境省の資料は、施設の偏りと稼働率の低さを課題に挙げ、廃棄がピークを迎えるまでに処理能力を増やす必要があるとしています。認定を受けたリサイクル事業者は、都道府県ごとの廃棄物処理法の許可なしに広い地域で事業ができるようになります。

今、屋根のパネルを外すときの流れ

今は廃棄物処理法の決まりで処分します。工事で外したパネルは産業廃棄物になり、撤去を請け負った業者が処理の責任を負います。家の持ち主は、処分の方法を伝え、処理が終わったことを確かめます。

図7 屋根のパネルを外して処分する流れ
1使い続けられるか再使用できるかの判断も
2撤去を発注処分の方法と費用を決める
3解体・撤去業者が排出事業者になる
4収集・処分リサイクルか管理型処分場
5完了の確認FITの認定設備は廃止の届出
環境省のガイドラインの流れを編集部が5つにまとめた。出典:環境省「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン(第三版)」(令和6年)(2026年10月25日確認)。

環境省のガイドライン(令和6年の第三版)は、撤去を発注する持ち主に、パネルの処分の方法(再使用・リサイクル・埋立)を業者に伝えること、適正な処理の費用を見込むこと、事前に処理の計画を出してもらい、工事のあとに処理が終わった報告を受けることを求めています。新しい法律も、施行後は、リサイクルを含む処分の方法を選び、契約で定めるよう努めることを、太陽電池を廃棄する人の責務としています。

FITの認定を受けた設備をやめるときは、国への廃止の届出が要り、ガイドラインはマニフェスト(産業廃棄物の処理を記録する伝票)の写しを付けるとしています。ガイドラインによると、10kW未満の一般用電気工作物には、電気事業法の届出を求める規定はありません。家の売買や相続での手続きは太陽光の名義変更の記事で扱っています。

図8 パネルの廃棄物としての区分
産業廃棄物
どんなとき持ち主が解体・撤去業者に頼んで外し、廃棄する
処理の責任解体・撤去業者(排出事業者)
埋め立てるなら管理型最終処分場
一般廃棄物の場合あり
どんなとき独立型など、解体・撤去工事を伴わずに一般家庭から出る
確かめ先市区町村
独立型は、ベランダ等に設置できる太陽光発電キットなどで、施工業者に依頼せず自分で設置できるもの。出典:環境省「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン(第三版)」(令和6年)(2026年10月25日確認)。

ガイドラインは、パネルは光が当たると発電し、感電のおそれがあるため、太陽光発電設備に不用意に触れないよう注意しています。電気工事士などが適切に接続を切断し、カバーガラスが割れてセルが露出した状態やケーブルの金属部の露出などがなく絶縁された状態のパネルは感電のおそれがないとして、無理に壊して外す解体をしないことも求めています。

これから決まることと、確かめ先

対象になるパネルの種類・重さ、多量の量の基準、判断基準の中身は、10月30日予定の検討会を経て政令・省令で決まります。附則には廃棄に関係する人への義務付けなどの検討規定があり、資源エネルギー庁は将来的には住宅用も対象と説明しています。

図9 これからの流れ(2026年10月25日時点)
1検討会(第1回)2026年10月30日(予定)
2政令・省令種類・重さ・多量の基準・判断基準
3施行公布から1年6か月以内(一部を除く)
4制度の見直し必要なら対象を広げる義務付け
見直しは附則第4条で、時期は定められていない。廃棄量の見込み、リサイクルの状況、最終処分場の状況、費用の推移などを踏まえて検討するとされている。出典:衆議院「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律案」附則、環境省「下位法令の策定等に係る検討について」(令和8年10月・参考資料2)(2026年10月25日確認)。

附則第4条は、政府が制度の在り方を検討し、必要と認めるときに、多量の要件の見直しや、廃棄に関係する人にリサイクルの選択を義務付けることなどを講じるとしています。資源エネルギー庁は、段階的に規制を強め、その間に住宅用も含めたすべてのパネルのリサイクルを義務付けるために必要な環境を整えると説明しています。

公表資料には、今使っているパネルについて、家庭に新しい手続きを求める記載はありません。外すときは、撤去と処分を分けた見積りで処分の方法と費用を確かめ、検討会の資料は環境省のページで確かめられます。設置後の点検は太陽光の点検の記事、パネルが電気をつくる仕組みは太陽光発電の仕組みの記事で扱っています。

数字についての注記
※処分の費用(1kWあたり)は、環境省・資源エネルギー庁の資料にある現状の目安です。住宅用と事業用を分けた値ではなく、屋根から取り外す工事の費用を含むかも資料には書かれていません。
※リサイクル施設の数と処理能力は、環境省が2025年11月時点で都道府県・政令市に調べた値です。
※記事の数字は、実際の処分の費用を保証するものではありません。

よくある質問

Q. 今、屋根のパネルを外して処分するとき、新しい法律の届出は要りますか
届出などの決まりは、公布から1年6か月以内の政令で定める日に施行されるため、まだ始まっていません(認定の準備などの一部の規定は公布の日から施行)。施行後も届出の義務があるのは、廃棄する量が政令の基準に当たる多量事業用太陽電池廃棄者だけで、その量は、2026年10月30日に開かれる予定の国の検討会から話し合われます。今は廃棄物処理法の決まりで、撤去を請け負った業者が排出事業者として処理します。
Q. パネルの処分にはどれくらい費用が掛かりますか
環境省・資源エネルギー庁の資料では、現状の目安としてリサイクルは1kWあたり8,000〜12,000円程度、埋立処分は1kWあたり2,000円程度からです。住宅用と事業用を分けた値ではなく、屋根から取り外す工事の費用を含むかも書かれていません。実際の費用は、撤去と処分を分けた見積りで確かめます。
Q. 自分でパネルを外して、ごみに出してもいいですか
環境省のガイドラインは、パネルは光が当たると発電し、感電や割れたガラスでけがをするおそれがあるとしています。屋根の設備は解体・撤去業者に頼む前提で書かれ、工事で出たパネルは産業廃棄物になります。ベランダ等に設置できる太陽光発電キットのような独立型など、解体・撤去工事を伴わずに一般家庭から出るものは一般廃棄物になる場合があるため、市区町村に確かめます。

この記事の用語

kW
発電設備の出力の大きさを表す単位。「4kWの太陽光」はこの値。パネル1枚は0.4〜0.5kW程度で、戸建てでは3〜6kWが多い。 用語集で見る
FIT
太陽光などでつくった電気を、国が決めた価格で一定期間(住宅用は10年)電力会社が買い取る仕組み。 用語集で見る
売電
発電した電気を電力会社などに売ること。単価は制度と時期で決まる。 用語集で見る

出典