太陽光の点検は義務化された? 答えは3つの場合で分かれる
太陽光発電協会は、FITを使っているか、いつ設置したかで答えを3つに分けています。2016年度以前にFITで設置した家とFITを使っていない家には、電気事業法で設備を安全に管理する義務があるとしています。
太陽光発電協会のQ&Aによると、2017年度以降にFITで設置した家は、国に申請したときに「保守点検責任者」と「保守点検及び維持管理計画」を申告しています。点検の中身は、その計画に書いてあるとおりです。
同協会のホームページ「長く使っていただくために」は、改正FIT法にもとづく事業計画策定ガイドラインで「保守点検および維持管理を実施すること」とされ、点検は義務であることが示されていると案内しています。
同協会は、2016年度以前にFITで設置した家について、所有者に点検の実施そのものが定められているわけではないとしています。ただし、電気事業法で設備を安全に管理する義務がある点は、FITを使っていない家と同じです。
資源エネルギー庁の事業計画策定ガイドラインは、国の認定を受けて発電する人に適用されると定めています。それ以外の人にも、このガイドラインを参考にすることが望ましいとしています。FITを使っていない家でも、点検の考え方を知っておく意味はあります。
FITの家に掛かる国の決まりの中身
資源エネルギー庁の事業計画策定ガイドラインは、保守点検の計画を作り、計画どおりに点検し、記録を残すことを求めています。守らないと改善命令や認定の取消しの対象になり得ます。
ガイドラインは、計画に書く例として、点検のスケジュール、範囲、方法、安全対策、結果の記録方法を挙げています。計画や体制を作るときは、専門家への相談や専門業者への委託も有効だとしています。
ガイドラインの解説によると、計画や体制を考えていなかったために、発電量の低下や不具合の発見と対処が遅れた事例が報告されています。実施体制の目安としては、故障から3か月以内を目途に修理できる体制が適切だとしています。
ガイドラインは、FITの調達期間に限らず、設備の撤去と処分が終わるまでの期間に適用されると書いています。卒FIT(固定価格での買取期間が終わること。住宅用は10年)を迎えても、点検の考え方は変わりません。卒FIT後の売電の選び方は卒FITの記事で整理しています。
「努めること」とされた努力義務も、怠っていると認められれば指導・助言の対象になる可能性があるとガイドラインは書いています。低圧の太陽光は火災保険などへの加入率が低いと報告されており、火災保険や地震保険、第三者への賠償の保険に入るよう努めることも求めています。
同じガイドラインは、10kW未満の設備のうち、屋根とパネルの間に鋼板などが無い「鋼板等無し型」は延焼のリスクが高いとしています。消費者安全調査委員会の意見を踏まえ、別の型への変更や応急点検などの対応が望ましいとしています。
出力で変わる電気事業法の扱い
電気事業法では、10kW未満の太陽光は一般用電気工作物です。ガイドラインによると、所有者に自主保安の体制を確保する義務はありません。10kW以上は届出や自己確認の手続きが加わります。
戸建ての屋根の太陽光が10kW未満なら、一般用電気工作物に当たります。ガイドラインによると、自主保安の体制の義務は無いものの、設備が基準に合っていなければ電気事業法にもとづく改善命令が出る場合があります。10kWの境目で何が変わるかは、太陽光の容量の記事でも整理しています。
この調査は、所有者が頼む点検とは別の、法律で決まった仕組みです。測定器や目視で調べ、基準に合わない所があれば所有者に知らせます。
出力の境目は、撤去の費用の扱いにも出てきます。ガイドラインでは、10kW以上の事業用太陽光は原則として売電収入から廃棄等の費用を積み立てる制度の対象です。10kW未満は、買取期間が終わったあとの売電も踏まえ、撤去と処分の時期・方法・費用を見込んだ計画を作るよう努めることとされています。
点検はいつ・何をするか 業界団体の目安
日本電機工業会と太陽光発電協会の保守点検ガイドライン(2019年改訂)は、住宅の屋根の太陽光で、設置1年目・5年目・9年目以降4年ごとの定期点検と、毎月1回程度の日常点検を例に挙げています。
太陽光発電協会のホームページでは、同じ考え方を「設置後1年目、その後は4年に1度」と短く案内しています。点検の項目は、設置後の年数や使い方、故障の有無で変わるとしています。
保守点検ガイドラインでは、9年目以降の点検で機器や部材の保証期間を確かめ、メーカーが指定する消耗部品の交換なども行うとしています。パワーコンディショナのメーカーなどが精密点検や部品の定期交換を決めている場合は、それに従うことを同ガイドラインは勧めています。

太陽光発電協会によると、日常点検は、問題なく動いて順調に発電しているかと、できる範囲で機器の外観や音、においを確かめることです。発電モニターで毎日の発電量をグラフにすると、性能の確認ができるとしています。

事業計画策定ガイドラインも、発電量を計って記録するよう努めることを求めています。ただし、設備の安全が損なわれていても、発電量に影響が出ないこともあると注意しています。発電量だけでは分からない傷みを見るのが、専門の技術者による定期点検の役割です。
保守点検ガイドラインの例では、日常点検は目視が中心で、異常が見つかったら定期点検の項目を点検の専門業者に頼むとしています。水没したり焼けたりした設備は、日中は感電のおそれがあるので近づかないよう注意しています。
「点検が義務化された」と言われたら
国民生活センターは、「点検が義務化された」などと言われても安易に契約せず、まず自宅の設備の点検の要否を確かめるよう呼びかけています。義務の対象かは、FITの有無や出力などで変わります。
国民生活センターの報告書には、「無料で点検する」と訪れた事業者に点検のあとで洗浄やコーティング、修理や撤去を勧められた相談が載っています。点検をきっかけに屋根工事など別の契約を迫られることもあるとしています。
国民生活センターと全国の消費生活センター等の相談情報を集めたPIO-NETでは、太陽光発電システムの点検商法の相談は2024年度に613件でした(2025年3月31日までの登録分)。2023年度と2024年度は、それぞれ前年度の約2倍に増えています。
太陽光発電協会は、知らない業者から「点検が義務化された」と勧められたら、まず保守点検の計画にもとづく点検内容と実施者かを確かめるよう案内しています。分からなければ即答を避け、販売店・施工店・メーカーに確かめるとしています。
国民生活センターによると、特定商取引法の訪問販売や電話勧誘販売に当たる場合は、契約書面を受け取った日から8日以内なら原則としてクーリング・オフができます。勧誘の手口と断り方は訪問販売の記事、機器の役割は太陽光発電の仕組みで確かめられます。
よくある質問
- Q. 卒FITになったら、点検の決まりはなくなりますか
- 資源エネルギー庁の事業計画策定ガイドラインは、FITの調達期間に限らず、設備の撤去と処分が終わるまでの期間に適用されると書いています。電気事業法で設備を安全に管理する義務については、太陽光発電協会が、2016年度以前にFITで設置した家にも、FITを使っていない家にもあると案内しています。
- Q. 定期点検の費用はいくらですか
- 太陽光発電協会は、定期点検の依頼先と費用は販売店・工務店・太陽電池モジュールのメーカーに相談するよう案内しています。メーカーによっては定期点検のメニューや費用を公表しているとしています。
- Q. 電力会社の関係で「電気設備の調査」に来る人と、点検の勧誘は何が違いますか
- 電気事業法では、家につながる電線路を維持・運用する者に、家の電気設備が技術基準に合っているかを調べることを求めています。調査は原則4年に1回以上で、調査をする人は身分を示す証明書を持ち、求められたら見せることが決まっています。
この記事の用語
- kW
- 発電設備の出力の大きさを表す単位。「4kWの太陽光」はこの値。パネル1枚は0.4〜0.5kW程度で、戸建てでは3〜6kWが多い。 用語集で見る
- FIT
- 太陽光などでつくった電気を、国が決めた価格で一定期間(住宅用は10年)電力会社が買い取る仕組み。 用語集で見る
- 卒FIT
- FITの買取期間(住宅用は10年)が終わること。またその状態の家庭。終わった後は売電単価が大きく下がる。 用語集で見る
- パワーコンディショナ
- 太陽光パネルがつくる直流の電気を、家庭で使える交流に変換する機器。補助金の出力判定に使われることがある。 用語集で見る
- 売電
- 発電した電気を電力会社などに売ること。単価は制度と時期で決まる。 用語集で見る
- クーリング・オフ
- 訪問販売などで契約した後、書面を受け取った日から8日以内なら理由なく契約をやめられる制度。 用語集で見る
出典
| 発行元 | ページ名 | 確認日 |
|---|---|---|
| 資源エネルギー庁 | 事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)(2026年4月改訂・PDF) | 2026年10月13日 |
| e-Gov法令検索(デジタル庁) | 電気事業法(第38条・第57条・第57条の2) | 2026年10月13日 |
| e-Gov法令検索(デジタル庁) | 電気事業法施行規則(第48条・第96条) | 2026年10月13日 |
| 独立行政法人国民生活センター | 太陽光発電システムの点検商法が急増!(2025年6月4日公表・2025年9月22日更新) | 2026年10月13日 |
| 独立行政法人国民生活センター | 太陽光発電システムの点検商法が急増! 報告書本文(PDF) | 2026年10月13日 |
| 一般社団法人太陽光発電協会 | 住宅用太陽光発電設備の点検について(令和7年6月4日・PDF) | 2026年10月13日 |
| 一般社団法人太陽光発電協会 | 長く使っていただくために | 2026年10月13日 |
| 一般社団法人日本電機工業会・一般社団法人太陽光発電協会 | 太陽光発電システム保守点検ガイドライン(2019年12月27日改訂・PDF) | 2026年10月13日 |
