太陽光の火災は起きる? 事故260件の約7割はパワコンから

起きています。NITEが受け付けた2015〜2024年度の事故260件中239件が火災で、事故の約7割はパワコンでした。消費者安全調査委員会が調べた、野地板まで燃えた7件はすべて鋼板等なし型です。

洗面台の上方に屋内パワーコンディショナがあり、隣に洗濯機を置いた架空の洗面室
屋内に付けたパワーコンディショナのある架空の洗面室のイメージ。取扱説明書で浴室近くへの設置を禁じているパワーコンディショナも多く、置ける場所は使う機種の説明書で確かめてください。※画像はイメージです。
目次
  1. 太陽光の火災は起きるか まず件数を見る
  2. どの設備で起きたか 事故の約7割はパワコン
  3. 屋根の上の火 パネルとケーブルで原因が違う
  4. 延焼の差を分けた設置の型
  5. 蓄電池の事故と、消防の基準の見直し
  6. 家でできる確認と、火災を口実にした勧誘

太陽光の火災は起きるか まず件数を見る

起きています。NITE(製品評価技術基盤機構)が受け付けた製品事故では、2015〜2024年度の10年間に太陽電池発電設備の事故が260件あり、そのうち239件が火災でした。

図1 太陽電池発電設備の事故と、そのうちの火災(2015〜2024年度)
事故
260件
10年間の合計
>
うち火災
239件
約9割
NITE製品安全センターが受け付けた製品事故情報。NITE「住宅用の太陽電池発電設備の事故に注意」(2025年8月29日)の、住宅用の設備についての説明の中の数字による。

NITEは2025年8月29日、防災の日に合わせて住宅用の太陽電池発電設備の事故に注意を呼びかけました。この発表は、近年の事故件数が上昇傾向だとしています。

一方で、住宅の太陽光は数が多い設備です。消費者安全調査委員会の2019年1月の報告書では、住宅用の累積設置棟数は約2,374,700棟(2018年10月時点)でした。件数の大小より、どこで・なぜ起きたかを知っておくと備えにつながります。

同じ報告書は、戸建ての所有者1,500人へのアンケート(2017年2月)で、保守点検を約7割が実施していなかったとしています。火災などのリスクの認識も十分ではなかったと分析しました。

どの設備で起きたか 事故の約7割はパワコン

NITEの集計では、事故の約7割がパワーコンディショナ(パネルの直流を家で使う交流に変える機器)で起きています。屋根の上のパネルは2割弱でした。

図2 事故が起きた設備の内訳(2015〜2024年度・260件)
パワーコンディショナ
170件
約7割
太陽電池モジュールパネル
41件
2割弱
接続ケーブル
18件
蓄電池
14件
その他の設備
17件
右の割合は NITE の発表の表現(発表に割合の記載がある2つだけ)。件数は NITE「住宅用の太陽電池発電設備の事故に注意」(2025年8月29日)による。棒の長さはパワーコンディショナの170件を100%とした。

NITEによると、パワーコンディショナの事故は、施工不良を除けば、温度・湿度・水分・ほこりといった設置環境によるトラッキング現象での発煙が多く見られます。トラッキング現象は、付着したほこりや水分で電気の通り道ができ、異常に発熱する現象です。

図3 パワーコンディショナ・接続箱から火が出た主な原因
設置場所
始まり仕様に合わない場所に設置
結果水分が入り、絶縁不良・トラッキング
接触不良
始まり入力端子部などの接触不良
結果発熱して発火
部品の劣化
始まりコンデンサの絶縁破壊
結果破裂やスパーク
消費者安全調査委員会「事故等原因調査報告書 住宅用太陽光発電システムから発生した火災事故等【概要】」(2019年1月28日)による。同報告書は、多くの取扱説明書が浴室近くへの設置を禁じているのに、守られていない場合があったとしている。

NITEは、脱衣所の壁に付けたパワーコンディショナで基板が焼けたと推測される2022年の東京都の事例を紹介しています。その製品の説明書には、高温・多湿・ほこりの多い脱衣所などに設置しないと書かれていました。

2025年8月の発表では、2017年に広島県で、台風による雨漏りで屋内用のパワーコンディショナに雨水が入り、基板の一部が焼けたと推定される事例も挙げています。屋内に置く機器でも、水が回る場所かどうかは確かめておきたい点です。

NITEは、パワーコンディショナの寿命は10〜15年と言われているとし、長く使うと基板や部品の劣化で事故の発生率も高くなると注意しています。交換の費用と時期はパワコンの交換費用と寿命で整理しています。

屋根の上の火 パネルとケーブルで原因が違う

消費者安全調査委員会によると、パネルが発火箇所とされた5件は、使用7年以上の製品で起きていました。ケーブルの発火は、挟み込みなど施工の不良が主な原因と推定されています。

図4 調査委員会が想定したパネルの発火の4段階
1配線接続部の高抵抗化経年劣化や製造上の問題
2バイパス回路の常時通電安全のための回路に電気が流れ続ける
3バイパス回路の断線安全のための機能を失う
4配線接続部の断線・異常発熱アーク放電で封止材が発火するおそれ
消費者安全調査委員会「事故等原因調査報告書【概要】」(2019年1月28日)の図9による。バイパス回路は、発電できないセルを迂回させるための回路。調査委員会は使用中の製品6件を現地で調べ、各段階の不具合があるパネルを確認した。

この発火は、配線接続部とバイパス回路の不具合が時間をかけて進むことで起きると考えられています。調査委員会は、同じ不具合が複数の製造業者の製品で見つかったとしています。

報告書の事例には、ベランダで異臭とパチパチという音に気づき、軒先の煙を見つけて通報したものがあります。屋根の上は住む人から見えにくく、近所の人や通行人が煙に気づいて知らせた事例も並んでいます。

図5 パネルとケーブル 推定発火箇所ごとの特徴
パネル(5件)
使用年数7年以上の製品
主な原因パネルの不具合が年数とともに進む
ケーブル(10件)
施工不良10件のうち6件
そのほかコネクタの緩み2件・小動物の噛害1件
消費者安全調査委員会「事故等原因調査報告書【概要】」(2019年1月28日)による。対象は、パネルまたはケーブルから発生した火災事故等13件を推定発火箇所で分けたもの。どちらか推定が難しかった2件は両方に数えているため、合計は15件になる(同報告書の本体による)。施工不良は、ケーブルの挟み込みと、技術基準に照らして不適切な中間接続・延長接続。

NITEは、架台のレールにケーブルが挟まれて傷み、異常発熱して出火したと推測され、屋根の防水シートと野地板まで燃えた2022年の事例を挙げています。発電を遠隔で見守るサービスで約4年前から異常の兆候が出ていましたが、施工店がマニュアルの保守点検をしていなかったとされています。

調査委員会は、同じ回路の2か所で電気が地面側に漏れる「2点地絡」が起きると、パネルに光が当たる限り地絡の電流が流れ続けるとしています。断路器(回路を切り離す器具)を切るだけでなく、その回路のパネルを遮光するなどの処置が適切だとしています。

延焼の差を分けた設置の型

野地板まで燃え広がった7件は、消費者安全調査委員会の調査ではすべて鋼板などの無い「鋼板等なし型」でした。この型は住宅用の約4.5%で、屋根置き型と鋼板等敷設型が合わせて約94.8%です。

図6 住宅用のパネルの設置の型と、その割合(2018年10月時点)
屋根置き型+鋼板等敷設型
約94.8%
約2,250,000棟
鋼板等なし型
約4.5%
約107,000棟
鋼板等付帯型
約0.7%
約17,700棟
消費者安全調査委員会「事故等原因調査報告書【概要】」(2019年1月28日)による。累積設置棟数 約2,374,700棟に対する割合で、経済産業省からのヒアリング結果(2018年10月現在)。棒の長さは約94.8%を100%とした。

屋根は、垂木(たるき)の上に野地板(のじいた)という板を張り、防水シート(ルーフィング)を敷いて屋根材を載せる構造です。屋根置き型は屋根材の上に架台でパネルを載せるため、パネルと防水シートの間を屋根材が遮ります。鋼板等なし型はパネルを防水シートの上に直接置くため、火が下へ移る可能性があると調査委員会は分析しました。

自分の家の型が分からないときは、製造業者や住宅・建築業者に問い合わせて確かめるよう消費者庁は案内しています。屋根置き型と鋼板等敷設型では、調査対象の中で野地板への延焼は起きていません。

図7 消費者庁が示した、火災のリスクを下げる方法
鋼板等なし型
下げ方屋根置き型・鋼板等敷設型へ変更
鋼板等付帯型
下げ方ケーブルの挟み込みを防ぎ、防水シートの上にケーブルを可能な限り敷かない構造へ
地絡検知機能が無い
下げ方機能のある製品へ変更
消費者庁「住宅用太陽光発電システムに起因した住宅の火災事故に注意!」(2019年1月28日)による。鋼板等付帯型は、パネル裏面に鋼板などを付けて防水シートの上に直接置く型。

報告書を受けた対応として、経済産業省は2020年1月の調査委員会で、鋼板等なし型の応急点検の状況を報告しました。2019年12月の集計時点で、対象2万4,357件のうち2,209件の点検を終え、意見に示された不具合が、自主点検・自主交換の対象とした製品グループで129件見つかり、その他の製品グループでは見つかっていないとしています。業界団体の保守点検ガイドラインも2019年12月に改訂され、こうした点検の項目が加わりました。

蓄電池の事故と、消防の基準の見直し

NITEの集計では、260件の事故のうち蓄電池は14件でした。総務省消防庁は、家庭での普及を受けて、蓄電池設備の消防の基準を見直しています。

図8 住宅の太陽光・蓄電池の火災をめぐる国と業界団体の動き
2019
1月 消費者安全調査委員会が報告書
鋼板等なし型の対応と保守点検を求める
2019
12月 保守点検ガイドライン改訂
業界団体が点検の項目を追加
2023
3月 消防庁の検討部会が報告書
家庭用の蓄電池設備の防火対策
2023
6月 消防庁が通知
省令で単位がkWhに改められたことに伴う届出書の様式の改正
2025
8月 NITEが注意喚起
住宅用の事故と日々の確認
消費者庁の報告書ページ・フォローアップ資料、総務省消防庁の報道資料(2023年3月28日)と通知(2023年6月12日)、NITEの発表(2025年8月29日)による。

消防庁の報道資料によると、蓄電池設備の消防の基準は1961年の制定からほぼ変わらず、主に鉛蓄電池を想定したものでした。検討部会は、一般家庭で太陽光の電気をためる使い方が広がったことを背景に、リチウムイオン蓄電池の届出が要る容量を20kWh超とすべきだとまとめました。

その後、2023年の省令の改正で、蓄電池設備の規制の対象を決める単位がアンペアアワー・セルからキロワット時(kWh)に改められ、消防庁は同年6月の通知で届出書の様式も改めました。届出が要るかは市町村の火災予防条例で決まるため、迷ったら管轄の消防署に確かめます。蓄電池の型と容量の見方は家庭用蓄電池とはで整理しています。

家でできる確認と、火災を口実にした勧誘

NITEは、発電量を前年の同じ月と比べること、機器の異音・異臭を確かめること、定期点検を受けることを勧めています。火災を口実にした点検の勧誘には注意します。

室内で壁の発電量モニターを離れて確認する家の人の後ろ姿
発電量モニターを確認するイメージ。NITEは前年の同じ月の発電量との比較を勧めています。画面は架空の模式表現です。※画像はイメージです。
図9 NITEが勧める、住宅の太陽光の日々の確認
1発電量を比べる前年の同じ月と比べ、大きな変化は相談
2機器を見る外観の異常・異音・異臭
3置き場所を見る屋外に置く機器は、雨・砂ぼこり・虫が入りやすくないか
4定期点検設置後1年目、その後は4年に1度
5壊れたら近づかない光が当たれば発電し、感電のおそれ
NITE「住宅用の太陽電池発電設備の事故に注意」(2025年8月29日)による。4の間隔は、NITEが太陽光発電協会の案内として紹介している住宅用の推奨。相談先は販売店・工務店・メーカー。

NITEは、出力10kW未満の家の太陽光にも電気事業法で技術基準に合わせる義務があり、合っていなければ経済産業大臣が技術基準適合命令を出す場合があるとしています。点検が義務かどうかの整理は太陽光の点検の記事、機器のつながりは太陽光発電の仕組みで確かめられます。

国民生活センターは2025年6月、「パネルによる火災事故が起こっている」などと言って無料点検を持ちかけ、洗浄とコーティングで約40万円の契約に至った相談事例を紹介しました。同センターは、「点検が義務化された」などと言われても安易に契約せず、まず点検が必要かを確かめること、点検やメンテナンスを契約する場合はその場で決めずに複数社から見積もりを取ること、不安なときは消費生活センター等(消費者ホットライン188)に相談することを勧めています。断り方は訪問販売の記事で整理しています。

よくある質問

Q. 自分の家のパネルが「鋼板等なし型」かどうか、どう調べればいいですか
消費者庁は、設置の型が分からない場合は、製造業者や住宅・建築業者に問い合わせて確かめるよう案内しています。屋根材の上に架台で載せた「屋根置き型」なら、消費者安全調査委員会の調査対象では野地板への延焼は起きていません。
Q. 台風のあと、割れたパネルや垂れた配線に触ってもいいですか
NITEは、壊れた発電設備にはむやみに近づかないよう呼びかけています。破損や浸水をしていても光が当たれば発電することがあり、触れると感電するおそれがあるためです。対処は電気工事士や販売施工業者など、電気の知見のある人に任せるよう案内しています。
Q. 家庭用蓄電池を置くのに、消防への届出は要りますか
総務省消防庁の検討部会は2023年3月、リチウムイオン蓄電池の届出が要る容量を「20kWh超」とすべきだとまとめました。実際に届出が要るかは市町村の火災予防条例で決まるため、管轄の消防署に確かめてください。

この記事の用語

kW
発電設備の出力の大きさを表す単位。「4kWの太陽光」はこの値。パネル1枚は0.4〜0.5kW程度で、戸建てでは3〜6kWが多い。 用語集で見る
kWh
電気の量を表す単位。蓄電池の容量(何kWhためられるか)や、1か月に使った電力量に使う。1kWの機器を1時間動かすと1kWh。 用語集で見る
パワーコンディショナ
太陽光パネルがつくる直流の電気を、家庭で使える交流に変換する機器。補助金の出力判定に使われることがある。 用語集で見る

出典

発行元ページ名確認日
独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)住宅用の太陽電池発電設備の事故に注意(2025年8月29日・PDF)2026年10月29日
独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)PSマガジン VOL.473「太陽光発電設備の事故」(2025年3月25日・PDF)2026年10月29日
消費者庁(消費者安全調査委員会)住宅用太陽光発電システムから発生した火災事故等2026年10月29日
消費者庁(消費者安全調査委員会)事故等原因調査報告書 住宅用太陽光発電システムから発生した火災事故等【概要】(平成31年1月28日・PDF)2026年10月29日
消費者庁住宅用太陽光発電システムに起因した住宅の火災事故に注意!(平成31年1月28日・PDF)2026年10月29日
消費者庁(消費者安全調査委員会)意見のフォローアップに係る関係行政機関ヒアリング議事録(令和2年1月27日)2026年10月29日
消費者庁(消費者安全調査委員会)「住宅用太陽光発電システムから発生した火災事故等」に関するフォローアップ資料(令和4年・PDF)2026年10月29日
総務省消防庁「蓄電池設備のリスクに応じた防火安全対策検討部会報告書」の公表(令和5年3月28日・PDF)2026年10月29日
総務省消防庁「火災予防条例(例)中に規定する標識類及び届出書の様式について」の一部改正について(通知)(令和5年6月12日・PDF)2026年10月29日
独立行政法人国民生活センター太陽光発電システムの点検商法が急増!(2025年6月4日公表)2026年10月29日