何が決まったか
太陽光発電と蓄電池を電力網につなぐときの決まりに、JC-STAR★1を取得した製品の使用が加わります。家庭用を含む低圧(50kW未満)は2027年10月、高圧・特別高圧は2027年4月以降の接続の申込みからです。
2026年10月23日に閣議決定された「エネルギー白書2026」(令和7年度エネルギーに関する年次報告)は、2025年12月のグリッドコード検討会で、太陽光発電と蓄電池にJC-STAR★1を取得した製品の使用を要件化すると決めたことを記しています。グリッドコードは、発電設備を電力網につなぐときに守る技術的な決まりのことです。
2026年3月31日の第21回検討会では、資源エネルギー庁が規程の改定案を示しました。8月21日の第22回の資料は、第21回の議論を「提案通りに要件化していくことで整理された」とまとめ、今後は規程類の改定に進むとしています。
住宅用の太陽光(10kW未満)は、資料が低圧とする50kW未満の区分に入ります。対象は太陽光と蓄電池の両方で、パワーコンディショナ(PCS。直流の電気を家で使える交流に変える機器)やEMS(電気の使い方を管理する機器)など、通信機能を持つ制御システムです。
JC-STARとは何か
JC-STARは、ネットにつながる機器(IoT製品)のセキュリティ機能を共通のものさしで確かめ、ラベルで示す国の制度です。IPAが運営し、★1から★4までの段階があります。
政府機関や重要インフラ事業者などの重要なシステムでの利用を想定
★1はIoT製品に共通の最低限の要件。★2は製品の種類ごとの要件を追加
IPAによると、★1と★2は、メーカーが決められた基準と手順で自己評価したチェックリストに基づいて、IPAがラベルを付ける方式です。適合に疑いが出たときはIPAが検査を行い、結果によってはラベルが取り消されることもあるとしています。
太陽光と蓄電池に求められるのは、いちばん下の★1です。IPAは、ラベルは最低限満たしてほしい水準に達していることを確かめるもので、完全なセキュリティを保証するものではないと注意しています。
製品情報ページでは、ラベルの対象になっている製品型番、アップデートや脆弱性(ぜいじゃくせい。悪用されうる弱点)の情報、問い合わせ先も確かめられます。IPAは、購入するときにステータスが「有効」(または「失効猶予」)になっているかを確かめるよう勧めています。
なぜ太陽光と蓄電池が対象になったか
エネルギー白書2026は、太陽光発電の監視装置の弱点が悪用され、サイバー攻撃の踏み台にされた事案を挙げています。資源エネルギー庁は、今後も多くの接続が見込まれるため早く対応する必要があるとしています。
白書は、太陽光や蓄電池などの分散型電源(家や事業所に分かれて置かれる発電・蓄電の設備)の活用が進む一方で、太陽光発電の監視装置の脆弱性が悪用された事案が起き、サイバーセキュリティ上のリスクが指摘されているとしています。資源エネルギー庁の資料は、諸外国でも分散型電源への対策が検討されていることを挙げています。
資源エネルギー庁の改定案は、対象をIP通信を使う制御機器に絞っています。一般用電気工作物では、インターネット回線につなぐルータ等は対象から外れますが、対象外の機器でも、発電設備を制御する機能を持つ場合や、ゲートウェイ等を介さずにパワコンなど主要な機器につながる場合は対象になると書かれています。自分の設備が一般用電気工作物にあたるかは、販売・施工会社に確かめます。
家庭用の燃料電池(ガスから電気とお湯をつくる機器)も、PCSを使う形式が2028年4月から対象になります。資源エネルギー庁は、家庭用燃料電池では本体と給湯器の組み合わせの検証や第三者認証が要り、多くのメーカーで★1の製品の導入が2028年4月までに終わる見込みだと説明しています。
いつ、どの設備から当てはまるか
改定案では、低圧の太陽光と蓄電池は、2027年10月以降に電力会社へ接続の契約申込みをする案件から当てはまります。すでにつながっている設備に取り替えを求める記載は、公表資料にありません。
低圧だけ半年遅いのは、メーカーが★1の製品を出したあとも、しばらくは流通の途中に旧製品の在庫が残ると見込まれるためだと、資源エネルギー庁は説明しています。第21回検討会では、自家用電気工作物で500kW以下の、FITやFIPを使わない完全自家消費型の設備や、高圧で受電して低圧と同じパワコンを使う設備について、在庫を理由に低圧と同じ猶予を求める意見も出ましたが、その後の関係者の協議の結果、提案どおりに進めることになったと、第22回の資料に記録されています。
規程類の改定はこれからです。各電力会社の系統連系技術要件(低圧)にも、ガイドラインで求める認証を取得した機器とする一文を足す案が示されており、細かな扱いは改定後の要件で確かめます。
蓄電池の一部の補助では、もう条件になっている
国と東京都の一部の蓄電池の補助では先に条件になっています。SIIの令和8年度の蓄電システム製品登録(ZEH補助事業向け)は★1が必須で、東京都の蓄電池システムの助成も2026年10月1日以降の事前申込はその登録機器に限ります。
SIIの令和8年度の蓄電システム製品登録では、新規登録と登録移行のどちらも、BMS(蓄電池の状態を管理する装置)、PCS、EMSなどの主要な制御機器にJC-STAR★1の取得が必須になりました。国のDR家庭用蓄電池事業も同じ条件を置いていましたが、2026年5月29日に交付申請額が予算に達して公募を終えています。
東京都の家庭における蓄電池導入促進事業は、蓄電池システム(蓄電池パッケージ)について、2026年10月1日以降に事前申込をする場合、令和8年度にSIIが登録した機器に限るとしています(2026年4月1日〜6月30日に契約した事業などは、それ以前の年度の登録機器も対象)。都の資料にJC-STARの語はありませんが、令和8年度のSIIの登録は主要な制御機器にJC-STAR★1を必須にしています。都の助成の金額や手続きは東京都の補助金の記事、国の枠は国の補助金の記事で整理しています。
これから買う人が確かめること
見積りの製品がIPAの「適合ラベル取得製品リスト」に載っているか、ステータスが有効かを確かめます(型番は各製品の情報ページで照らし合わせる)。設置後は、初期パスワードの変更とファームウェアの更新でラベルの機能を生かします。

IPAは、申請が受理されて受理番号が通知される前に「JC-STAR適合予定」「適合ラベル取得申請中」などと表記することを認めておらず、仮登録番号の記載がないそうした表記は「不正な表示」にあたるとしています。そうした表記があってもラベルが取れる保証はないとも注意しています。説明を受けたときは、リストの登録番号や製品情報ページで確かめると確実です。
IPAは、ラベル付きの製品でも、推測されにくいパスワードへの変更、ファームウェアの更新、使わない機能を無効にすることを勧めています。サポートが終わるとラベルは失効か取消しになるため、買い替えを考える目安にもなります。パワコンの交換の費用はパワコンの交換費用と寿命の記事、蓄電池の型の違いは家庭用蓄電池の記事で扱っています。
よくある質問
- Q. 今ついている太陽光のパワコンも交換しないといけませんか
- 資源エネルギー庁の改定案は、低圧の太陽光と蓄電池について、2027年10月以降に接続の契約申込みをする案件から適用するとしています。すでにつながっている設備に交換を求める記載は、公表資料にありません。パワコンを取り替えるときの扱いは、規程の改定後に電力会社の要件で確かめます。
- Q. JC-STARのラベルが付いていれば安全ですか
- IPAは、ラベルは最低限満たしてほしい水準に達していることを確かめるもので、完全なセキュリティを保証するものではないとしています。推測されにくいパスワードへの変更やファームウェアの更新など、付いている機能を正しく使うことを勧めています。
- Q. 製品がJC-STARを取っているかはどこで確かめられますか
- IPAの「適合ラベル取得製品リスト」で、事業者名・製品名称・レベル・ステータスが確かめられます。ラベルの二次元バーコードから開くIPAの製品情報ページでも、対象の製品型番とラベルが今も有効かが分かります。ページのURLが jc-star.ipa.go.jp/conformance/ で始まることも確かめます。
この記事の用語
- kW
- 発電設備の出力の大きさを表す単位。「4kWの太陽光」はこの値。パネル1枚は0.4〜0.5kW程度で、戸建てでは3〜6kWが多い。 用語集で見る
- FIT
- 太陽光などでつくった電気を、国が決めた価格で一定期間(住宅用は10年)電力会社が買い取る仕組み。 用語集で見る
- 自家消費
- 発電した電気を売らずに自宅で使うこと。買う電気を減らせるので、売電単価より買電単価が高い今は有利になりやすい。 用語集で見る
- SII
- 国の補助事業の執行を担う一般社団法人。補助対象になる蓄電池の登録製品リストを管理している。 用語集で見る
- 系統連系
- 発電設備や蓄電池を電力会社の送電網につなぐこと。つないで初めて売電や買電ができる。 用語集で見る
- パワーコンディショナ
- 太陽光パネルがつくる直流の電気を、家庭で使える交流に変換する機器。補助金の出力判定に使われることがある。 用語集で見る
- DR
- 電力の需要と供給に合わせて、家庭の蓄電池などの充放電を調整する仕組み。国の蓄電池補助の参加条件になっていた。 用語集で見る
- 家庭用蓄電池
- 太陽光でつくった電気や夜間の安い電気をためて、必要なときに使う装置。停電時の備えにもなる。 用語集で見る
出典
| 発行元 | ページ名 | 確認日 |
|---|---|---|
| 資源エネルギー庁 | 令和7年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2026)PDF版(2026年10月23日 閣議決定・国会報告) | 2026年10月24日 |
| 資源エネルギー庁 | エネルギー白書2026 第2部第3章 地域と共生した再生可能エネルギーの導入拡大(PDF) | 2026年10月24日 |
| 資源エネルギー庁(電力広域的運営推進機関 掲載) | 第21回グリッドコード検討会 資料4 分散型電源のサイバーセキュリティ対策の要件化について(2026年3月31日・PDF) | 2026年10月24日 |
| 電力広域的運営推進機関 | 第22回グリッドコード検討会 資料3 第22回検討会の位置づけと資料内容(2026年8月21日・PDF) | 2026年10月24日 |
| 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA) | セキュリティ要件適合評価及びラベリング制度(JC-STAR) | 2026年10月24日 |
| 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA) | 適合ラベルの確認方法(最終更新日 2026年5月13日) | 2026年10月24日 |
| 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA) | 適合ラベル取得製品リスト(最終更新日 2026年10月15日) | 2026年10月24日 |
| 環境共創イニシアチブ(SII) | 令和8年度 蓄電システム製品登録公募 | 2026年10月24日 |
| 環境共創イニシアチブ(SII) | 令和8年度 蓄電システム製品登録 公募要領(令和8年9月4日改定・PDF) | 2026年10月24日 |
| 環境共創イニシアチブ(SII) | 令和7年度補正 DR家庭用蓄電池事業 事業概要 | 2026年10月24日 |
| 環境共創イニシアチブ(SII) | 令和7年度補正 家庭用蓄電システム導入支援事業 公募要領 1.1版(2026年3月26日・PDF) | 2026年10月24日 |
| 東京都・クール・ネット東京 | 令和8年度 家庭における蓄電池導入促進事業 助成金申請の手引き(2026/05/29 ver.1.0・PDF) | 2026年10月24日 |
