さいたま市の太陽光・蓄電池補助金 市の制度はなく県の枠だけ

さいたま市は市民向けの太陽光・蓄電池の補助金を実施していません。今から申請できるのは埼玉県の蓄電池10万円だけで、県の太陽光枠は5月27日に受付を終了しています。

秋の木々に囲まれた住宅の屋根に設置した太陽光パネル
住宅の屋根に設置した太陽光パネル。さいたま市内では、県の補助を受けるために県が認定した事業者との契約が条件になる(編集部取材の設置例)。
目次
  1. さいたま市で使える補助金の全体像
  2. 市で太陽光・蓄電池に出る補助は事業者向けだけ
  3. 市の住宅向け補助は、全区分が受付を終えた
  4. 今から申請できるのは県の蓄電池10万円
  5. 県の枠で見落としやすい4つの条件
  6. 補助金ではない「共同購入」という道
  7. 今の家の状態で、取れる枠が決まる

さいたま市で使える補助金の全体像

国・埼玉県・さいたま市の3層のうち、2026年9月12日時点で戸建ての所有者が自分で申請できるのは、県の蓄電池10万円だけです。市には市民向けの設置補助がありません。

図1 さいたま市で使える補助金の3層構造(2026年9月12日時点)
DR家庭用蓄電池事業2026年5月29日に終了
1申請あたり上限60万円。予算に達して公募が締め切られ、既存住宅への後付けで使える国の枠は残っていない
▼ 別々に申請
埼玉県
家庭における省エネ・再エネ活用設備導入補助金太陽光は5月27日に受付終了蓄電池は受付中(10万円/件)
県が認定した「あんしん事業者」との契約が条件
▼ 別々に申請
さいたま市
市民(住宅)向けの太陽光・蓄電池の補助はなし今後の実施予定もなしと公表
市が案内しているのは共同購入事業
国の枠は「DR家庭用蓄電池事業」。DRとは電力の需要と供給に合わせて、家庭の蓄電池などの充放電を調整する仕組みのこと。県の太陽光枠と国の枠はいずれも予算に達して閉じている。

3層のうち、いちばん下が空いているのがさいたま市の特徴です。市の公式ページには「さいたま市では、市民(住宅)向けの太陽光発電・蓄電池に対する補助金制度は実施しておりません。また、今後の実施予定もありません」と明記されています。

国の枠はDR家庭用蓄電池事業で、上限は1申請あたり60万円でした。公式サイトには2026年5月29日に交付申請額が予算に達して公募を終了したと掲示されています。既存住宅に太陽光・蓄電池を後付けする場合、今から申請できる国の枠は残っていません。

市で太陽光・蓄電池に出る補助は事業者向けだけ

検索で出てくる創エネ・蓄エネ設備導入補助金と重点対策加速化事業補助金は、どちらも事業者・団体向けです。市民向けの窓口は省エネ・断熱住宅普及促進補助金と共同購入の2つに分かれます。

図2 さいたま市の制度は誰向けか(2026年9月12日時点)
市民(住宅)向け
太陽光・蓄電池の補助実施していない
省エネ・断熱住宅普及促進補助金全区分が受付終了
共同購入事業補助金ではない価格低減
事業者・団体向け
創エネ・蓄エネ設備導入補助金上限60万円/件
重点対策加速化事業補助金太陽光 5万円/kW
個人住宅対象外
右の2制度は、市の公式ページに「事業者向けの補助金です」と明記されている。創エネ・蓄エネは太陽光3.5kW超・蓄電池4.0kWh以上、重点対策加速化は太陽光12kW超が対象で、いずれも戸建て住宅の規模とは前提が違う。

事業者向けの2制度は、対象とする設備の大きさが戸建てと噛み合いません。創エネ・蓄エネ設備導入補助金は太陽光3.5kW超・蓄電池4.0kWh以上で予算は420万円、重点対策加速化事業補助金は太陽光12kW超で発電した電力の50%以上を事業所で自家消費することが条件です。

市内の住宅に設置する戸建ての所有者が見るのは、県の枠と市の共同購入になります。市の補助金の提出先はゼロカーボン推進戦略課で、共同購入には市が案内する事務局の相談窓口が別にあります。

市の住宅向け補助は、全区分が受付を終えた

省エネ・断熱住宅普及促進補助金はZEHと高効率給湯機、断熱改修の3区分です。2026年は断熱改修が6月26日、高効率給湯機が8月27日、ZEHが9月10日に受付を終了しました。

図3 省エネ・断熱住宅普及促進補助金の区分と上限額(令和8年度)
ZEHZEH・ZEH+のみ
30万円
工事費の1/3
断熱改修(全体)住宅まるごと
10万円
工事費の1/3
高効率給湯機給湯機の入替
5万円
工事費の1/3
断熱改修(部分)窓や一部の部屋
5万円
工事費の1/3
棒の長さは30万円を100%とした比。高効率給湯機は、ガス給湯器・電気温水器からの交換で国の給湯省エネ2026事業の補助額が一定以上の機器の場合に5万円が加算される。いずれの区分も2026年9月12日時点では受付を終えている。市の公式ページには「蓄電池はZEHの補助対象経費に含まれません」と書かれており、この枠で蓄電池の費用は見てもらえない。出典:さいたま市 令和8年度 省エネ・断熱住宅普及促進補助金(2026年9月12日確認)。

対象になるのは、実績報告書の提出時点でさいたま市内に住民票があり、自ら居住する住宅で工事をする人です。市税の滞納がないことも条件に入ります。

ZEHの区分は「ZEH」と「ZEH+」だけが対象で、ZEH水準の住宅は含まれません。蓄電池が補助対象経費から外れている点は、太陽光と蓄電池をまとめて入れようとする家にとって効いてきます。

交付申請の期間そのものは令和8年4月1日から令和9年3月1日までと長く取られています。ただし受付は先着順で、市は予算の残額が200万円を下回った場合に抽選へ切り替えると案内しており、区分ごとに予算がなくなった日で締め切られました。

つまり年度の後半に工事を考えた家は、期間が残っていても申請できません。次年度に同じ枠を使うなら、4月の受付開始に間に合う日程で見積りと契約を組む順番になります。

図4 2026年に受付が閉じた順番
5/27
県の太陽光・太陽熱が終了
受付開始の5月18日から10日足らずで予算に達した
5/29
国のDR家庭用蓄電池事業が終了
交付申請額が予算に達して公募終了
6/26
市の断熱改修が終了
予算1,500万円。17時15分で受付終了
8/27
市の高効率給湯機が終了
予算5,400万円。17時15分で受付終了
9/9
共同購入の1次募集が締切
3月5日から始まった参加登録の締切日
9/10
市のZEHが終了
予算9,600万円。17時15分で受付終了
いずれも2026年(令和8年)の日付。市の3区分は交付申請の期間を令和8年4月1日から令和9年3月1日までとしていたが、先着順のため予算がなくなった時点で閉じた。

今から申請できるのは県の蓄電池10万円

県の「家庭における省エネ・再エネ活用設備導入補助金」のうち、受付が続いているのは蓄電池10万円/件とエネファーム5万円/件です。太陽光7万円/kWは5月27日に閉じました。

図5 県の設備ごとの補助額と受付状況(2026年9月12日時点)
太陽光発電設備受付終了
35万円
7万円/kW
太陽熱利用システム受付終了
20万円
経費の2/3
家庭用蓄電池受付中
10万円
定額
エネファーム受付中
5万円
定額
棒の長さは太陽光の上限35万円を100%とした比。太陽光と太陽熱は令和8年5月27日に「補助金申請額が予算額に達しました」として受付を終えている。蓄電池・エネファームの申請額は予算の約54%(9月9日時点)。県全体の予定件数は全設備合計で3,100件程度。出典:埼玉県・環境ネットワーク埼玉(2026年9月12日確認)。

受付期間は令和8年5月18日から令和9年1月29日までで、先着順です。申請額が予算額に達すればその時点で終わるため、蓄電池の枠も年度末まで残るとは決まっていません。

残り具合は県の委託先が公表しています。蓄電池とエネファームを合わせた申請額は予算の約54%で、これは9月9日時点の数字です。県全体の予定件数は全設備合計で3,100件程度とされており、太陽光枠のように10日で閉じる速さでは動いていません。

締切の日付は2段構えです。交付申請書の締切が令和9年1月29日17時、実績報告書の締切が令和9年2月26日17時で、工事と書類をこの間に収める必要があります。

図6 5kWの太陽光と蓄電池を入れる家の計算例(2026年9月12日時点)
太陽光 5kW
7万円 × 5kW(受付終了)
0円
蓄電池 1件
定額
10万円
受け取れる額
市の補助はなし
10万円
5月27日朝の受付終了までに申請できていれば太陽光35万円と合わせて45万円だった。市の設置補助がないさいたま市では、太陽光枠が閉じた分がそのまま差として残る。

市町村の枠を持つ自治体では、県の枠が閉じても市町村の補助が残ります。さいたま市にはその一段が無いため、受け取れる額は県の枠の残り具合だけで決まります。

県の枠で見落としやすい4つの条件

契約相手が県の認定事業者であること、既存住宅であること、交付決定より後に着工すること、太陽光がある家であることの4つです。どれも後から直せません。

図7 県の補助を受けるときの順番
1あんしん事業者を選ぶ県の認定を受けた事業者との契約が条件
2契約・交付申請環境ネットワーク埼玉の申請フォームから
3交付決定これより前に着工すると対象外
4工事・設置県内の自ら居住する既存住宅。太陽光と同時に設置するか、すでに設置されていること
5実績報告令和9年2月26日17時まで
交付申請の締切は令和9年1月29日17時。千葉市のように工事のあとに出す事後申請とは順番が逆で、契約だけ先に進めて着工を待つ形になる。

認定事業者は令和8年9月2日時点で256事業者です。県内に事業所があり、過去1年間に1件以上の契約実績があることなどが要件で、事業者が新たに認定を受けるには書類が整ってから1か月程度かかります。

すでに見積りを取っている会社が認定を受けていない場合、その会社で契約すると県の補助は使えません。契約の前に認定事業者の一覧で社名を確かめておく順番になります。

対象は既存住宅で、新築は含まれません。受付が続いている蓄電池の枠は、太陽光発電設備と同時に設置するか、太陽光発電設備がすでに設置されていることが要件です。FIT認定を受けないことと発電量の30%以上を自家消費することは、受付を終えた太陽光発電設備・太陽熱利用システムの枠に掛かる要件で、蓄電池とエネファームには掛かりません。

提出する書類も早めに確かめておくと手戻りが出ません。蓄電池で申請する場合は、交付申請書のほかに契約書の写し、世帯全員分の住民票の写し、建物の登記事項証明書・固定資産税公課証明書・評価証明書のいずれか1点、それに太陽光発電設備の設置が確認できる書類が並びます。

住民票や登記の書類は取り寄せに日数がかかります。交付決定を待ってから着工する制度なので、書類が揃うまでの日数も工事の日程に入れておく形になります。

補助金ではない「共同購入」という道

市が案内する「みんなのおうちに太陽光」は、参加者をまとめて入札にかけて価格を下げる仕組みです。1次募集は9月9日に締め切られ、2次募集が予定されています。

図8 1次募集で示された割引率(さいたま市公表)
蓄電池のみ単品で設置
約33.2%
割引率
太陽光+蓄電池まとめて設置
約31.0%
割引率
太陽光のみ単品で設置
約29.3%
割引率
棒の長さは約33.2%を100%とした比。市が1次募集のページで示した割引率で、個々の家の見積額を保証するものではない。補助金とは別の仕組みなので、条件を満たせば県の蓄電池の枠と重ねて使える。出典:さいたま市(2026年9月12日確認)。

仕組みは、参加登録した人の数をもとに販売施工事業者の入札を行い、割引価格を提示するものです。登録しても契約は義務ではなく、事前見積り、現地調査、見積額の確定を見てから判断できます。

1次募集からは県内の市町との共同実施になりました。さいたま市・川越市・春日部市・狭山市・上尾市・蓮田市・鶴ヶ島市・日高市・宮代町・飯能市が並び、参加する世帯の数が増えるほど価格を下げる力が働く形です。

対象になる太陽光は10kW未満です。市は1次募集の受付終了を掲示したうえで、2次募集を予定していると案内しています。

市は参加登録後の流れを3つに分けて案内しています。入札のあとに事前見積りが届き、検討するなら調査を申し込み、選定された販売施工事業者の調査を経て見積額が確定します。

参加登録の時点では設置する義務も費用も発生しません。価格を一度見てから判断したい家にとっては、相見積もりを取る前の目安として使える仕組みです。

今の家の状態で、取れる枠が決まる

すでに太陽光がある家は、蓄電池を足せば県の10万円が申請できます。これから両方を入れる家は、太陽光枠が閉じているため蓄電池の10万円だけになります。

図9 家の状態ごとに申請できる枠(2026年9月12日時点)
太陽光パネルを載せた戸建てのイラスト
太陽光がある家
蓄電池を足せば県の10万円
家庭用蓄電池を置いた戸建てのイラスト
蓄電池だけの家
太陽光枠は閉じている
太陽光パネルと家庭用蓄電池のある戸建てのイラスト
両方を入れる家
申請できるのは蓄電池の10万円
いずれも県の枠の話で、さいたま市からの設置補助は付かない。蓄電池の枠は太陽光と同時に設置するか、太陽光がすでに設置されていることが要件。FIT認定や自家消費の割合は蓄電池の枠では問われない。県の太陽光枠は蓄電池の同時設置が要件だが、2026年5月27日朝に受付を終えている。※画像はイメージです。

確認する順番は3つです。まず県の申請ページで蓄電池枠の消化状況を見て、次に契約しようとしている会社が県のあんしん事業者かを確かめ、最後に交付決定より後に着工する日程を組みます。

市からの補助が無い分、県の枠を取りこぼさない段取りが効きます。県の太陽光枠は年度ごとに受付が開くため、次年度に太陽光を入れる予定なら、受付開始の5月を前提に見積りを先に揃えておく形になります。

市には補助金以外の仕組みもあります。さいたまJ-クレジット事業は、市のZEH補助金を申請して太陽光と蓄電池を設置した家庭を対象に、発電で生まれた環境価値を市がまとめて市内企業へ売却するもので、参加者に金銭の負担は求めないと市は説明しています。

モニタリング調査に協力した人には、謝礼としてデジタル地域通貨が渡されます。令和7年度・8年度の補助金申請者で実績報告書を提出済みの人の募集は、令和8年8月31日で締め切られています。

県内の他の市町の制度は埼玉県の補助金の整理にまとめています。市町ごとの一覧は埼玉県の補助金・制度ページから見られます。

蓄電池をどれくらいの期間使えるかは蓄電池の寿命の記事で扱っています。設置費用を何年で回収できるかの考え方は太陽光は何年で元が取れるかの記事にまとめています。

金額についての注記
※本記事は 2026年9月12日時点 で公開されている制度の内容にもとづきます。制度は年度ごとに改定されます。
※いずれの制度も予算の上限に達した時点で受付が終了する場合があります。記事中で「受付中」としたものが、閲覧時点では終了していることがあります。
※実際の設置費用と補助額は、住宅の条件・選ぶ機器・施工会社によって異なります。記載の金額は制度上の単価や上限であり、受け取れる額を保証するものではありません。

よくある質問

Q. さいたま市から太陽光や蓄電池の補助金は本当に出ないのですか
市の公式ページに「さいたま市では、市民(住宅)向けの太陽光発電・蓄電池に対する補助金制度は実施しておりません。また、今後の実施予定もありません」と書かれています。検索で出てくる創エネ・蓄エネ設備導入補助金と重点対策加速化事業補助金は、どちらも事業者・団体向けの制度です。市内の住宅で使えるのは埼玉県の枠になります。
Q. 太陽光だけを新しく載せる家は、県の補助を受けられますか
県の太陽光発電設備の枠は、蓄電池を同時に設置することが要件になっています。加えて令和8年5月27日朝に申請額が予算額に達して受付を終了しているため、今から太陽光で申請することはできません。受付が続いている蓄電池の枠は、太陽光発電設備と同時に設置するか、太陽光発電設備がすでに設置されていることが要件で、FIT認定や自家消費の割合は問われません。
Q. 共同購入に申し込めば補助金ももらえますか
共同購入はまとめて発注して価格を下げる仕組みで、補助金ではありません。1次募集の参加登録は令和8年9月9日で締め切られ、市は2次募集を予定していると案内しています。共同購入で設置する場合も、条件を満たせば県の蓄電池の枠は別に申請できます。

この記事の用語

kW
発電設備の出力の大きさを表す単位。「4kWの太陽光」はこの値。パネル1枚は0.4〜0.5kW程度で、戸建てでは3〜6kWが多い。 用語集で見る
kWh
電気の量を表す単位。蓄電池の容量(何kWhためられるか)や、1か月に使った電力量に使う。1kWの機器を1時間動かすと1kWh。 用語集で見る
FIT
太陽光などでつくった電気を、国が決めた価格で一定期間(住宅用は10年)電力会社が買い取る仕組み。 用語集で見る
自家消費
発電した電気を売らずに自宅で使うこと。買う電気を減らせるので、売電単価より買電単価が高い今は有利になりやすい。 用語集で見る
交付決定
補助金を出すという行政の正式な決定。通知書の日付が基準になり、これより前に工事を始めると対象外になる制度が多い。 用語集で見る
DR
電力の需要と供給に合わせて、家庭の蓄電池などの充放電を調整する仕組み。国の蓄電池補助の参加条件になっていた。 用語集で見る
家庭用蓄電池
太陽光でつくった電気や夜間の安い電気をためて、必要なときに使う装置。停電時の備えにもなる。 用語集で見る

出典